CCT国際協力研究会ワークショップ参加報告
2010年 02月 24日
主催は(財)石炭エネルギーセンターで、国連CDM理事会の黒木理事をはじめとして、IEAや、融資を行なうアジア開発銀行(ADB)、世界銀行(World Bank)、電源開発(J-Power)や三菱重工業といった石炭発電技術を持つところなど、顔ぶれが豪華。
石炭火力発電は価格面で優位性があるため、貧困・開発の観点から必要な技術であるとともに、先進諸国にとってもエネルギーセキュリティ面で優位性があり、重要なものである。その部分については、参加者すべての間で認識は一致している感じ。
米国は、世銀の石炭火力に対する融資ガイドラインとして、「炭素オフセット」を要求するといった案を提示。中国やインドはこれに猛反発しているようで、論争が巻き起こっているとか。世銀内では、今後、民間石炭火力への融資を控えるべきという意見も出始めている模様。
日本の石炭課力発電技術を担う電発や三菱重工は、ちょっと泣きが入っている感じのプレゼン。超々臨界圧火力発電(USC:Ultra Super Critical)を普及させるには、二国間スキームなどを構築し、公的資金が必要だとか、中国では、3大メーカ(東方、上海、ハルビン)が力をつけてきており、日本メーカによる参入は困難であるとか、アジア諸国も、中国メーカとの競争が激化しており、政府の資金援助が不可欠であるとか、そういった内容のプレゼンになっていた。
高い技術にそれなりのコストがかかるのは理解できるが、マーケットはそれをその価格で欲しているのかといえば、ちょっと違うかもしれない。
世銀からのプレゼンでは、日本の技術は最先端であるものの、途上国などに持っていく場合、補機動力をどうするか、高温側だけでなく低温側がきっちりと低温に落ちているか、といったとこが最適化できていないことがあるといった指摘がなされていた。ちなみに、世銀のClean Tech Fundでは、0.795kg-CO2/kWhを境に融資条件を変え、この排出係数よりも低くなる技術(USC等)がより普及しやすいような配慮をしているのだとか。数値レベルを何にするかは別にして、これはある意味、賢い方策だと感じる。
CCSについてはいろいろな議論がある模様。COP15では、CCSについて
he importance of carbon dioxide capture and storage in geological formations as a possible mitigatin technology, ...と位置づけられ(参考:Further guidance relating to the clean development mechanism)、今後、SBSTAで議論がなされていくことになるようだが、安全性、永続性、他のメカニズムとの比較など、課題は山積。
ちなみに、アジア開発銀行(ADB)によると、CCSを入れることで、石炭消費量が6~12%増加するという試算があるのだとか。
いずれにせよ、現時点では、石炭というエネルギーの重要性が一般的に正しく認識されていないということが浮き彫りとなっていることが明らかになったような感じ。「クリーンコール」という呼び名もなんだかイマイチのような気もするが(^^;;
(2010.2.26記)