「経営力」と聞くとマネジメント層だけの問題のようにとらえがちだが...

競争する意思のない日本の太陽光発電業界を応援する必要があるのか?」や「CCT国際研究会ワークショップ参加報告」というエントリーに関連することで、グロービスの堀さんがご自身のblog「起業家の風景」で示唆に富む発言をされている。
僕は、あえて言いたい。「日本企業は、ものづくり神話を捨てて、経営力を磨くべきだ」、と。「日本企業は、ものづくりをすべきではない」とは、言っていない。日本の強みの一つは、ものづくりなので、継続すべきだ。ただ、「ものの品質さえ高ければ勝てる」というような神話にすがることは、もう止めよう、と言っているのだ。現実は、それほど甘くない。ものづくりで勝っても、経営力で負けているケースが山ほどあるからである。「経営力」、それが今後の企業の優位性を決める尺度になるであろう。…

「経営力」とは、何か。それは、必要な改革を行い、戦略を描き、実行する力だと考えるとわかりやすい。…

改革、戦略、実行面で不断の「経営力の強化」をやってきたかどうか。それが、会社の勝ち負けを決めるのである。それ以上でもそれ以下でもない。そして継続的にその努力をし続けた会社のみが、世界の舞台で優位に立つのである。…
国家を挙げて戦略を立て、実行している例は、堀さんが紹介されているように、まさに韓国なのかもしれない。エネルギーの分野の話ではあるが、「世界で82基の原子力発電所を運転する仏EDFをも破る韓国電力、あらためて恐るべし」や、「 「日の丸原子力」という勘違い」というエントリーを書きながらその一端を感じていたので、とてもしっくりくる。まさに、もはや「ものの品質さえ高ければ勝てる」という世界ではないということなのであろう。

ちなみに、つい先日、飲みながら話をしている中で、こんな意見を聞いた。
これまでの人材の流動性の低さが、日本人のビジネススキル・ホワイトカラーの生産性を向上させようというインセンティブを阻害している。流動性が高い状態では、ビジネスパーソンのスキル向上は必須。それは結果として日本の競争力の源泉になっていく。日本の経営者側にはそのような意識が希薄であり、ビジネスパーソンのスキル向上を評価しないことが多いのではないか。
どちらが原因でどちらが結果なのかは別にして、確かにこんな一面はあるのかもしれない。日本人の人口が減少する中で、日本が成長するためには、組織の力も必要だが、それを支えるのも、引っ張るのも個人の力がベースになる。

「経営力」と聞くとマネジメント層だけの問題のようにとらえがちだが、実は、ビジネスパーソン一人一人がその力を発揮すべきものである。そんな自覚を持って前に進んで行きたいものだ。
by yoshinoriueda | 2010-02-26 12:56 | 思うに・・・ | Trackback | Comments(0)

清涼剤はSilicon Valleyの抜けるような青い空。そして・・・


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