パターン認識と自分で考えることのギャップを埋めるもの
2004年 03月 29日
公文式の特徴は、「公文式教育を貫くもの」という公文さんの連載記事によると、
■個人別・能力別、ちょうどの学習
■自学自習、学習習慣をつける
といったことがあるようです。個人別、能力別という考え方は、学習者が中心におかれた考え方であり、最近では、IT技術を駆使したe-learningの初歩的な応用でも見られるものだと思います。また、学習習慣については、多くの親が望むことだと思います。
公文式のよいところは、非常に簡単なところから難しい問題へとステップ・バイ・ステップでやっていけるところだと思います。そして、教材(プリント)の中に、この「ステップ」を埋め込んでいます。例えば、ひらがなの練習ならば、一筆書きできる「へ」や「し」や「つ」といった文字を練習し、そのうちに二画の「い」や「こ」といったものに進んでいくわけです。そして、間違いがなくなるまでプリントを繰り返し、定着させるようにしています。
ここには、「達成感の積み重ね」により、自分自身でやる気(モチベーション)を起こさせるという仕組みがあると思います。そして、プリントを毎日やることは、学習習慣をつけるという意味で無駄では無いと思います。
ただし、子供の様子を見ていると、ある段階までは、問題を解くにあたって、パターン認識で数式を覚えているだけで、その繰り返しによって、定着がなされているようです。つまり、5+2=7という式を覚えてしまって、5とか2といった数の概念が希薄なため、2+5=と出題されると、最初から数えなおすとか、分からないといった現象が発生してきます。
確かに、子供は、パターンでいろいろなものを認識するという話はよく聞きますし、巷の記憶術でもよく取り上げられていると思います。たとえば、七田(しちだ)式ではフラッシュカードを用いた右脳刺激によるパターン認識を特徴としています。
でも、パターン認識の段階から、「自分で考える」というか、「そこにある概念を理解するようになる」というか、そんなふうになるには、どうすればいいのでしょうか?自分で考えるためには、ベースとなる知識と、それをどうやって自分の引き出しにしまっておくかという枠組み(フレームワーク)が必要となり、それをたくさんのパターンの中から見出し、構築するということが必要になるのではないかと思います。
限られた時間のなかで、そのような能力を取得するためには、パターンとなる経験をたくさん積むだけでなく、フレームワークを使っていくことが必要となります。フレームワークを学ぶということも大切ですし、また、それを自分で生み出していくことも必要となるでしょう。
フレームワークを作るには、自分で自分が登れるステップを決めていかなければならなりません。目標がどこにあって、そこまで行くには、5ステップでいけるのか、10ステップでいけるのか、ステップの高さは均等でいいのか、あるいは最初は小さく後になれば大きくなるほうがいいのかといったようなことは、その人次第だと思います。
公文式は、確かにパターン認識の一部を手助けしてくれると思います。しかし、次ぎステップに行って、「自分で考える」段階に至るには、知識を蓄積すると同時に、フレームワークも蓄積させる必要があるのだと思います。