「顧客が熱狂するネット靴店 ザッポス伝説―アマゾンを震撼させたサービスはいかに生まれたか」

a0004752_7405544.jpg「顧客が熱狂するネット靴店 ザッポス伝説―アマゾンを震撼させたサービスはいかに生まれたか」読了。これはある意味、財務的な数字を除いたケーススタディーと言えるのではないだろうか。

ザッポスという会社に投資家として関わり始めてCEOとなり、アマゾンに買収されることとなった連続起業家(シリアルアントレプレナー)トニー・ジェイ(Tony Hsieh)の半生とともに、ザッポスのことやビジネスとは何かが描かれている。

投資家から資金を得て事業を成長させたときにぶつかる壁、企業文化をどうすれば構築できるか、人材育成をどのようにすればいいか、失敗したと感じたこと、などなど、起業を目指す人にとっては参考になるような話が随所にちりばめられている。もちろんこういった話は、起業を目指す人だけでなく、フツーのビジネスパーソンにとっても役立てることができる。

ザッポスに関する記述は、愛情に溢れている。自分が人生をかけてきたということもあるが、アマゾンに買収されるような話になっていく過程で、自分たちは「幸せを届ける会社」だということを見つけている。だから、原書のタイトルは、「Delivering Happiness」となっている。

ザッポスの企業文化を10のコアバリューとして紹介している。
1.サービスを通して「ワオ!」という驚きの体験を届ける
2.変化を受け入れ、変化を推進する
3.楽しさとちょっと変なものを創造する
4.冒険好きで、創造的で、オープンマインドであれ
5.成長と学びを追求する
6.コミュニケーションにより、オープンで誠実な人間関係を築く
7.ポジティブなチームとファミリー精神を築く
8.より少ないものからより多くの成果を
9.情熱と強い意志を持て
10.謙虚であれ
こう並べてみると、「ま、そんな感じか」ということで終わるかもしれないが、もしこれが組織に浸透していたら、スゴイかもしれない。その結果が、アマゾンによる12億ドルでの買収(株式交換)だったのかもしれないが。

投資家や取締役を探す際にすべき10の質問としては、以下のようなものが挙げられている。投資資金の本質を知った上での質問項目が並んでいるように感じる。
1.本当に投資家が必要か。もっと成長に時間をかけることで資金調達を避けられませんか。
2.投資家たちはどの程度積極的に関わってくれるでしょうか。あなたは投資家たちにどの程度積極的に関わってもらいたいですか。
3.資金援助以上のどのような価値(コネ、アドバイス、経験)を投資家はもたらせるでしょうか。
4.投資家が期待している資金回収の猶予期間はどのくらいでしょうか。
5.もしあれば、あなたの会社の投資家が単に金銭的リターン以外に投資で得たいと思っているものはなんでしょうか。投資家はこれらにどう優先順位をつけているでしょうか。
6.投資家や取締役たちは会社のビジョンや使命に賛同していますか。
7.ビジョンをより早く実現するためなら、投資家は利益がへることを受け入れてくれるでしょうか。
8.あなたの会社の投資家や取締役たちは、考え方にどの程度柔軟性がありますか。
9.誰が投資家をコントロールしていますか。誰が取締役会をコントロールしていますか。
10.あなたの会社の投資家や取締役たちのコア・バリューは、会社のコア・バリューとマッチしていますか。
文体や記述の仕方もユーモアが聞いていて、通勤電車の中で読んでいた際、声を出して笑ってしまったりした。例えば、スタンフォード大学で統計学の博士号を取ろうと頑張っていた友人、その友人は結局ザッポスに合流したわけだけれど、その友人がしていることを
「世界で二番目に退屈なことをしているように思えました」
と表現しているようなところ。
一番ぢゃなきゃダメなんですか?

ではなく、
じゃあ一番は何なんですか?
と聞きたくなる(^^;のだが、その後ろに、
(一番退屈なのは、暗くなりすぎてペンキの色がわからなくなった夜にペンキが乾くのを見ていることでしょう)
と書かれていたりする。

ちなみに、この友人アルフレッドは、ザッポスのCFO/COOであり、数字オタク。毎日1%ずつ改善すると1年で37倍になるということを主張しているが、それは、(1+1%)^365(365乗)=37.7834という計算によるものだということ。ベンチャー企業をしっかりと支えるのは、このような数字オタクのようなCFOが必要なのではないかと思ったりする。

いずれにしても、この本「顧客が熱狂するネット靴店 ザッポス伝説―アマゾンを震撼させたサービスはいかに生まれたか」は今年読むべき1冊として挙げることができそうである。

  by yoshinoriueda | 2011-01-07 23:59 | 思うに・・・ | Trackback | Comments(0)

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