で、結局、[二国間オフセット制度]って何なのか?

2011.2.18の日経新聞の1面トップにデカデカと「東芝など新興国で省エネ支援 排出枠取得にらむ 東芝:空調電力削減 出光など:火力発電の効率改善」という形で二国間オフセット制度に関連した話題が掲載されており、2面の「きょうのことば」では「二国間クレジット制度」と題して解説がなされている。確かに現在、経産省では、二国間オフセット制度に関するFS委託がなされており、来年度は、環境省と合わせて多額の予算を見込んでいるようである。

で、そもそもこんなアイデア、どっから出てきたの?


っていうと、おそらく大きく2つあって、今の仕組みに対する憤り?!から来るものと、将来の目標を「1990年比25%」というふうに掲げてしまった民主党の尻拭いをどうするか?というところから来るものがあるのではないだろうか。

今の仕組みに対する憤り?!という部分については、京都議定書によって生み出された排出権を日本政府、日本企業が購入することで、海外に資金が流れてしまっているということ。「国富の流出」といったキーワードで語られることが多いが、まさにそれはそのとおり。

日本政府の1億トン弱の購入は、京都議定書目標達成計画の中で1.6%の削減分に充てるものである。日本の企業が1億トン以上購入しているのは、それぞれの自主目標を遵守するためのものであるが、それにしてもかなりの量を買う必要がある。

「6%」の目標でコミットした当初は、それほどの負担になるとは思っていなかったのだろう。というか、その負担に気づいていたのは海外の連中で、日本はそんなことに気づいている人は少なかったのだろう。だから、大きな反対もなかった。というか、故・橋本元首相が勝手に決めたものだから、まともな相談とか調整とかそんなものはやってる時間さえなかったであろうし、実際どれだけできるのか、実際どれだけの負担になるのかといった分析を国民が共有し、意思決定に合意形成が図られていたという形跡もない。

排出権は、国連が認証するということになっており、その辺のスーパーやコンビニで売っているものではない。つくり出すのに、多大な手間と労力と時間とコストがかかっている。そんなこと、経済学者や政治家、官僚は、ほとんど知らない。というか、そういうことが分からないように仕組まれている。というわけで、そこに巣食って食いつないでいる輩がいるのも事実。

こんな排出権の世界にどっぷりの毎日だが、CO2という目に見えないもの、かつ実際何の役にも立っていそうにないものに対してお金を払うというのは、本当に切ない。空しい。まさに、断腸の思いである。o[>皿<]o

こんなことを繰り返してはいけない!という思いを持っている人たちは、25%なんて目標には反対するし、過ちを繰り返すべきではないということから、別の仕組みとして、この「二国間オフセット制度」のようなものが必要だということを切に願っているということだろう。

将来の目標を「1990年比25%」というふうに掲げてしまった民主党の尻拭いをどうするか?ということについて言えば、国連によって認証される排出権を待っているようでは、また、すでに費用対効果のいい対策が実施されている現段階からスタートするとなると、需要が大きく供給が制限される状況になるので、価格も高騰することになる可能性がある。

この際、いろいろな仕組みを考えて、とにかく幅広く日本として温室効果ガス削減に寄与しているのだということを認めてもらう必要がある!という思いが、この「二国間オフセット制度」が必要だという声になって出てくるのだろう。

で、この「二国間オフセット制度」ってどうよ?


というと、日本製の製品は品質はいいけれど高いから、日本製品が欲しい人に安く手に入れてもらうために、相手and/or売り手に補助をしてやろう、ってことになるのではないか?そんな制度って、「持続可能」なのだろうか?財源が尽きたらおしまいやん。

しかも、誰に補助がいくのかという基準はどこにもない。国民や企業から税金を集めた国が、どこに補助するかというのを恣意的に決めていくということになるのか、いやいや、外郭団体などに委託してるから、そこが勝手にやるんですよ、というのか、ともかくも、ロビーイングして言いくるめた奴が言いくるめられた奴からお金を引き出すという仕組みになるのか。甘い汁に群がるアリんこさん、たくさんいそうですな~

間違えてはいけないのは、温暖化の世界の交渉は、国同士の話であり、目標を守るか守らないかは国の責任。国は、国際約束したものを民間企業や一般個人・家庭にいかに付け回すかということを考えているわけで、国民としては協力するのはやぶさかではないものの、政治家のパフォーマンスや票稼ぎのために、無茶なことを言わないでくれということを言っていかなければならないし、官僚個人の出世のために成果を上げるひとつとしてこれを使うなんてことはもってのほかだろう。(ま、このブログを読んでる人に限って、そんなことはないだろうけれど(^_-)-*

GDPが2位でも途上国面(づら)する国があるのだから、3位の日本もいっそのこと温暖化問題では途上国扱いでいいんぢゃない?で OECDも抜けて中国のようにタイドなODAでガンガン他国でビジネスをするってのはどうよ?ま、江戸には「エセ武士」も多いから、メンツは大事だという輩も多いだろうし、そんなことできないだろうけれど。(よーく考えてみれば、武士にとっては信用第一なのに、信用できない輩が江戸には多いというのもどうかと思うけど)

あ、時代は江戸ぢゃなかったっけ...

でも精神的にはまだ十分「お江戸」でしょう~(^^;

お江戸、上等!

ま、というわけで、それはそれとして、「方法論」を考えるとしよう〜

(酔っぱらいの長々としたコラムにおつきあいいただきありがとうございましたm(ーー)m)

(参考情報)
【概要】
・「二国間クレジット制度について」(H22.10.25)(pdf)
・「二国間メカニズムに関する環境省の取組について」(H23.2)(pdf)
・「二国間クレジットでインフラ輸出促進 途上国と協力、将来枠組みにつなぐ」@日経BP

【2010年度】
(委託)
平成22年度「地球温暖化対策技術普及等推進事業」に係る委託先の公募について(H22.6.22)
平成22年度「地球温暖化対策技術普及等推進事業」第1回公募に係る交付先の採択結果について(H22.8.10)
平成22年度第二回「地球温暖化対策技術普及等推進事業」に係る委託先の公募について(H22.8.24)
平成22年度 「地球温暖化対策技術普及等推進事業」第2回公募に係る交付先の採択結果について(H22.10.20)

【2011年度】
(予算)
平成23年度経済産業省予算案の概要 / 平成23年度経済産業省予算案のPR資料 / エネルギー対策特別会計 / エネルギー需給構造高度化対策 3.エネルギー起源CO2削減への取組(pdf)
(委託)
平成23年度「地球温暖化対策技術普及等推進事業」に係る公募について(予告)@NEDO(H23.2.9)
by yoshinoriueda | 2011-02-18 22:28 | エネルギー・環境 | Trackback | Comments(0)

清涼剤はSilicon Valleyの抜けるような青い空。そして・・・


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