決して進むな「犬の道」(「イシューからはじめよ」(安宅和人)、読むべし!)
2011年 05月 21日
自分はどんな研究がいいのか?何を明らかにすればいいのか?
そんなとき参考になるであろう本として、「イシューからはじめよ―知的生産の「シンプルな本質」」(安宅和人)が挙げられる。副題にあるとおり、まさに知的生産に関連する人たちに参考になるエッセンスが詰め込まれている。
著者によると、答えが出るとそこから先の方向性に大きく影響を与えるような「本質的な選択肢」であり、かつ、常識を覆すような洞察など「深い仮説」があれば、それは答えを出す必要があるということになるが、さらに「答えを出せる」かどうかを考えた上で、イシューを設定する必要があるという。
そんなイシューの設定に長けているということで紹介されているのが利根川進氏である。
一人の科学者の一生の研究時間なんてごく限られている。研究テーマなんてごまんとある。ちょっと面白いなという程度でテーマを選んでいたら、本当に大切なことをやるひまがないうちに一生が終わってしまうんですよ。そんな言葉が紹介されている。
利根川 進
研究にまとめる上では、最後の「答えを出せる」かどうか見通すところが鍵となる。何かが出てきそうかどうかというのは嗅覚で探すしかないだろう。そんなことを参考にしながら話をしていたのだが、意図は十分伝わったようである。
話をしながら思ったのは、仕事でもこれは応用できるなぁ〜ということ。非定型な仕事をすることが多いが、一見重要そうだとか、一見答えが出そうなイシューはゴロゴロところがっている。
しかし、そんなことを全てやる時間も労力も能力もないので、絞っていかなければならない。絞るとは、つまり、何をやらないかを決めて行くということだが、その中で、本質を見抜き、注力すべきイシューを探し出して、それに取り組むことで結果を出していくということが、仕事の上でも大切である。
ところが、大量の仕事をこなすことで、やった気になって、結果はそれほどでもない、ということが往々にしてある。そのような進め方を「犬の道」という言葉で表しているが、世の中、この「犬の道」を歩む人たちのいかに多いことか。そんな「犬の道」は歩かないようにしたいし、スタッフにも歩かせないようにしたいものだ。
『イシューからはじめよ』がデータ分析にかかわるプロフェッショナルたちに広く支持されるのビジネス書である理由は、あらゆる課題解決に使える大事な思考法やアウトプットの手段が学べるからだろう。
安宅さんの言うイシューとは、「何に答えを出すべきなのか」について目的がブレることなくアウトプットを出すための仮説だ。
複雑に絡み合う問題を効率的に解決するには、まずイシューを見極め、論理的に課題解決のストーリーラインを構成する。これが、イシュードリブンで着実に成果を出し、効果的にバリューを出すための基本だ。
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対談動画(【シン・ニホン】落合陽一×安宅和人「日本再生を考える」)でも、安宅さんは「とりあえず『頑張ってからモノを言え!』という“犬の道ドリブン”な人が多すぎる」と批判している。
・一部立ち読み(「犬の道」など)(pdf)