@masason が太陽光発電ビジネスに参入しようとする理由

a0004752_2153367.jpg出張の合間、「孫正義 リーダーのための意思決定の極意」(ソフトバンクアカデミア特別講義、光文社)を読んだ。@masason こと、孫正義氏は、何を考えて、休耕田を使ったメガソーラービジネスに参入しようとしているのか。その答えのヒントは、p.166〜167あたりにありそうだ。
俺はニッチの産業を選んだことは一度もない。空く間だから、そこでやればチャンスがあると思ったことは一瞬たりともない。

いまは隙間のように小さくても、五年後、十年後、三十年後にその産業、そのセグメントが主流になる。そこを常に選んできた。のちに一番大きな本流になる傍流。一番大きなマスマーケットになる市場。そこを速い段階で、まだ小さいうちに選んだ...
まさに太陽光発電ビジネスは、今は隙間のように小さいかもしれない。しかし、このセグメントは大きくなる要素を秘めている。

今の技術レベルでは、太陽光発電は価格的に他の電源と勝負にならない。もし、彼が言うように、すでに安くなっているというなら、「固定価格買取制度」などという政策は必要ない。なぜなら、すでに安いということは、競争力があるということであり、支援する政策などなくても、自律的にのびていくからだ。

しかし実際は違う。太陽光発電による電気は、まだまだ高くつく。だから政策的な支援が必要となる。よって、@masason は、菅首相に働きかけて、その政策を実現させ、そこで成長しようと思っているのだと考えられる。

「固定価格買取制度」は、太陽光発電による電気を、普通の電気代よりも高い価格で買い取ることで、その買い取った電気を、電気の使用者全体で負担しようという政策であり、太陽光発電ビジネスを成長させるにはよいかもしれないが、電気を大量に使う産業や一般家庭にとっては、迷惑千万な話である。

一般家庭でそれほどの議論になっていないのは、結局、電気代の上昇がどの程度か分からず、負担感がモデルケースくらいでしか判断できないためである。一般家庭での太陽光発電に関する負担分は、月500円程度という試算もあるが、この場合、年間6000円が、一般家庭から、太陽光発電ビジネスをやっている人たちに流れていくということになる。

もし、日本で固定価格買取制度が導入されると、それによる太陽光発電設備の大半は、中国や韓国、台湾のメーカーが作ったパネルによって席巻されるだろう。@masason は、ソフトバンクでも同じようなビジネスモデルを採用している。ブランドは、自社、つまり、日本のブランドのように見せかけ、実際、その通信を支えているのは、そういった国々からもたらされた機器だったりするわけである。よって、太陽光発電を対象とした固定価格買取制度が導入されると、@masason は、これまでの電気通信業界と親和性の高い太陽光発電設備を、中国や韓国、台湾から大量に導入するだろう。事実、そのほうが安いというのもあるのが悲しいところだが...



さて、確かに、太陽光発電など、再生可能エネルギーは、今後、今まで以上に重要視されるであろうし、技術開発もなされなければならないし、市場も大きく広がってくることが予想される。しかし、まだ早い。

あと2つの条件が揃わないと、なかなか自律的なものとして成長せず、いつまでたっても補助金や固定価格買取制度のような政策がなければ、成り立たないビジネスでありつづけるだろう。

一つ目の条件は、太陽光発電自体の効率がさらに上がる必要があること。今の効率は低いので、技術革新によりさらに高めることによって、コスト効率を上げていく必要がある。効率が上がると同時にコストが上がっていては意味がないし、量産できないようでは、これまた意味がない。コストも抑えることができ、量産もできるような技術が必要で、これには、もう少し時間がかかると思われる。

二つ目の条件は、発電した電気を貯める技術が上がること。電気をもう少し容易かつ廉価に蓄えることができなければ、太陽光発電による電気は使い物にならない。太陽光発電の電気が蓄えられなければ、結局、太陽光発電設備は、電力系統に寄生するやっかいな負荷設備に成り下がったままになる。

この二つの条件がもう少しクリアに見えてこないと、いくら制度的に支援して、無理矢理飛躍させようとしても無理は無理。機はまだ熟していない。あるいは、菅氏や福山官房副長官などがゴリ押しして、固定価格買取制度を通してしまうかもしれず、そうなれば、日本の産業界は、海外で生産せざるを得なくなるという要素がまた一つ増え、@masason には追い風になるということになるかもしれない。

早くこんなつまらない議論を終わりにしてほしいものだ。「「孫正義×堀義人 トコトン議論 ~日本のエネルギー政策を考える~」放送決定!」というエントリーで紹介されているように、@masason は、グロービスの掘義人氏と議論をするとのこと。堀氏(@YoshitoHori)には是非頑張ってもらい、@masason の歪んだ野望を打ち砕いてもらいたい。

  by yoshinoriueda | 2011-07-29 23:48 | 旅・風景・グルメ | Trackback | Comments(1)

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Commented by 白髭 at 2011-07-31 23:07 x
First Solarという会社のパネルは随分安いように見えますが、勘違いですかね?
http://www.firstsolar.com/
パネルが安くなっても、施工費が高いので劇的には1w当りのコストは下がらない?のでしょうか。

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