地球環境産業技術研究機構による日本の「中長期のエネルギー・経済・CO2分析」を見ずして将来を語るなかれ

(財)地球環境産業技術研究機構(RITE)により「中長期のエネルギー・経済・CO2分析」が公開されている。RITEのサイトによると、
2011年3月11日に発生した東日本大震災それに伴う福島第一原発の事故により、わが国のエネルギー政策は抜本的な見直しが必要となっています。その意思決定にあたっては、エネルギー・経済・環境における整合的、総合的、定量的な分析が必要です。

本報告では、原子力発電の見通しの違い、CO2排出抑制目標の差異、節エネの有無によって、2020~2050年頃の中長期におけるエネルギー・電源のポートフォリオにどのような違いが生じるのか、そして、そのとき、電力供給コスト、エネルギーセキュリティ、産業、家計、雇用への影響にどのような差異が生じるのか等について、RITEがこれまでに開発してきた世界エネルギーモデルDNE21+および世界経済モデルDEARSの2種類のモデルを用いて、定量的かつ総合的な分析を行いました。
とのこと。

要約表1を見ればだいたいのことは分かるようになっているが、どのケースもCO2の限界削減費用が150ドル/トン-CO2程度以上で、かなり厳しいケースとなっているが、原子力が少なくなると、失業率もさらに悪くなり、GDPも下がり、電気代も上がり、もう目も当てられない状況に...(××)

このような試算をみていると、原子力は停止させたり廃止させたりするのではなく、新しくて安全なものにどんどんと置き換えていく必要があるのではないかと感じてしまう。せめて革新的なエネルギー源が安価で安定的に手に入れられるようになるまでは。

現在、エネルギー・環境会議や中央環境審議会などで、新たな権益を生み出そうと動いている輩や、経済原理さえ導入すれば何でもうまくいくと思っているような人たちが、日本の中長期の議論をしているようだが、この試算結果を見ずして語る資格はない。冷静な議論をするためにも、こういった定量的な試算に基づく議論を、時間をかけて積み重ねていく必要があるのではないだろうか。

報告書:中長期の電力供給と地球温暖化対策の分析・評価(pdf)
by yoshinoriueda | 2011-11-26 16:44 | エネルギー・環境 | Trackback | Comments(0)

清涼剤はSilicon Valleyの抜けるような青い空。そして・・・


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