電気自動車を売るのなら逃げずに今は原子力を支持すべきではないのか?!

「電気自動車の現状と将来展望」というタイトルの講演を聞いた。日産大阪販売の人が話をしていたこともあって、日産のリーフの紹介がなされていたが、その中で、

再生可能エネルギーで走るクルマ

という紹介の仕方がなされていた。講演後、会場内の参加者から、

節電が叫ばれている中で電気自動車を薦めるというのはいかがなものか?

といった質問や、

再生可能エネルギーによる電力量は微々たるものであり、火力発電による電力供給がなされている今、電気自動車は、走っているときにはCO2は出さないといっても、充電しているときにはCO2が出ているのではないか?

といった質問がなされていた。このような質問に対して、

夜間電力で充電すればいいし、昼間の太陽光発電の余剰電力で充電すればいい

といった回答がなされていたが、そもそも、夜間は風力発電はともかく太陽光発電は使えないし、原子力がベースロードを担わないようになれば、石炭火力がベースロードを担うことになるわけで、それほど排出係数が良いわけではない。

昼間の太陽光発電の余剰電力で充電するのはかまわないが、それにしても、どれだけ充電できるかは分からない。昼間は、外出しているかもしれないし、家にいれば、夏はエアコンを使ったりしているだろうから、大量の余剰電力は期待できない。

会場からの参加者は、業界他社の人もいたと思うが、一般の人もいると思う。そのような中で、再生可能エネルギーだけに頼るような充電の説明の仕方にはちょっと無理があるように思える。必要な電気は、再生可能エネルギーだけに頼るのではなく、きちんと

今は、原子力による電気が必要なんです

と説明するべきではないだろうか。将来的には、水素などのエネルギー源もあり得るのかもしれないが、発電時のCO2排出量がゼロである原子力発電による電気を使って、電気自動車を走らせるのだという説明をせざるを得ないのではないだろうか。

自動車というのは燃焼技術の塊のようなところもあるので、化石燃料の燃焼を伴わない原子力発電を支持することは、自動車会社としては難しいのかもしれないし、実際、自動車会社が電力会社と仲がいいなんて話はあまりきいたことがない。というか、むしろ、ガスエンジンと相性のいいガス会社と仲がいいというべきか。

いずれにしても、電気自動車を売るなら、逃げることなく、今は、原子力を支持すべきだろう。そう言ってしまうと顧客のイメージが悪くなるのかもしれないが、再生可能エネルギーでなんとかなるだろうなんて話は、素人にも嘘だと分かるわけで、自動車業界が原子力を拒否し続けるのであれば、それは、顧客に対して真摯な態度とはいえないのではないだろうか。そんな態度をとっていて、顧客が支持するだろうか?

ちなみに、自動車業界は、「魅力あるクルマが少なくなったから若者がクルマ離れをしている」というメディアの作りだした虚構かもしれない状況を、86やNSXの後継機などを使って打破しようとしているのかもしれないが、実は、イメージで売ろうとするそういった誠実でなはいかもしれない態度を顧客が感じ取っている、ということはないだろうか。

個人的には、問題はそんなところにあるのではなく、どちらかといえば、若者の所得水準が下がっていて、クルマが手の届きやすい範囲にはもはや存在しないということなのではないかと感じる。インドのタタが出すといって話題になったナノのような価格帯のクルマが、リバースイノベーションで日本に入ってきたら、それはそれで面白いことになるような気もするのだが...

当然のことながら、魅力あるクルマを作るということは大切だ。正直、今の電気自動車にはあまり魅力を感じられない。ハイブリッド車にしても同じだが、残念ながら、見ていても全くワクワクするようなクルマは一台もないし、大きな荷物も乗せられないし、値段も手頃ではないし、うちの家族の気に入った色のクルマが全くないということもある。まあ、色は塗り替えれば済む話かもしれないが、それにしても、なぜ緑色のクルマが少ないのかよく分からない^^;

米テスラ、新型SUV発表 側面に跳ね上げ式ドア」という記事によると、
a0004752_22163392.jpg米電気自動車(EV)メーカーのテスラ・モーターズは9日、同社としては3車種目となるSUV(多目的スポーツ車)型の新型車「モデルX」を公開した。後列ドアが上方に跳ね上がるガルウイング型のデザインを採用したほか、前後輪にモーターを配置したデュアルモーターAWD(全輪駆動)とし、高い加速性能を持たせた。

 米ロサンゼルス近郊の同社デザインスタジオで9日開いた発表会では、イーロン・マスク最高経営責任者(CEO)が、大人7人の乗車が可能な3列シートの実車を披露。スーパーカーのように開閉時にドアが上下に動く特徴的なデザインを採用し、乗降しやすくなった点などを訴えた。

 マスクCEOは「これまでのミニバンやSUVが抱えてきた課題を解決した」と胸を張った。モデルXは2013年後半にカリフォルニア州フリーモント市の自社工場で量産を始め、14年初頭に納車を始める計画。価格は未定だが、10日から同社サイトで予約受け付けを始める。日本での発売時期は未定。

 テスラはトヨタ自動車と提携し、SUV「RAV4」をベースとしたEVを共同開発しているが、今回のモデルXはそれとは別の独自開発の車種となる。
ということだが、荷物が載らないとしても、こんなワクワクするようなクルマを日本のメーカーは作ってくれるだろうか?もっと日本車メーカーには頑張ってほしい。そして、もっと手頃な価格で市場に出してほしいとも思う。

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ちなみに、現状の電気自動車がCO2排出量で優位になる電気の排出係数はどのくらいなのだろうか?

トヨタのプリウスは、カタログ値で32.6km/lなので、1kmあたりに換算すると、71.2gのCO2を排出することになる。一方、日産のリーフは、カタログ値で124Wh/kmなので、これからみれば、排出係数は0.574kg-CO2/kWhよりも小さい値でなければならない。

平成22年度の電気事業者ごとの実排出係数・調整後排出係数等が地球温暖化対策の推進に関する法律(温対法)に基づき公表されているが、例えば、泉北天然ガス発電(大阪ガス)でも0.386kg-CO2/kWhなので、新しい天然ガス火力であれば問題はなさそうだ。しかし、石炭火力が多いようなところになると、0.574kg-CO2/kWhをクリアできないところもある。

エネルギー源の多様化やエネルギーコストの低廉化を目指すのであれば、石炭火力は残すべきだ。その上で、天然ガス火力や石油火力を効率のいいものをできるだけ使うとしても、電気自動車が大量に導入される世界を目指すならば、今は、原子力発電を支持しなければならない。将来は、再生可能エネルギーや水素などのエネルギーが使えるようになるかもしれないが、それにしても、そんな世界はまだ当分実現しない。

日本の自動車業界は、世界に誇れるものだと思っている。だからこそ、原子力の問題から逃げずにいてほしい。そして、もっとワクワクするようなクルマを手頃な価格で出してほしい。講演を聴いていて、そんなことを感じた。ガンバレ、日本の自動車業界〜♪
 
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Motor Fan illustrated VOL.55
図解・自動車のテクノロジー (モーターファン別冊)
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  by yoshinoriueda | 2012-02-10 22:17 | エネルギー・環境 | Trackback(1) | Comments(0)

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Tracked from 雑学的ブログ at 2012-07-12 20:37
タイトル : 上手に使いましょう、
新聞で紹介されていました。夜間電力 上手に使う、とのタイトルで、充電式の扇風機で昼間の使用量を抑えたり、掃除や洗濯を夜に済ますため音の静かな家事家電を選んだり、ということみたいです。その記事で紹介されていた商品です。簡易電力計ワットモニター TAP-TST8(サンワサプライ)【送料無料】サンワサプライワットモニター TAP-TST8価格:3,130円(税込、送料込)プラズマクラスターサイクロン掃除機 EC-WX300(シャープ)【送料無料】【smtb-u】SHARP/シャープ..... more

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