「忘れられたルーツ」(7)“次世代エンジニアに必要な4つの資質”

忘れられたルーツ 電力産業120年の浮沈とこれからの100年』(原著:Forgotten Roots: Electric Power, Profits, Democracy and a Profession)(ジャック・カサッザ(Jack Casazza))では、日本の次世代エンジニア像についても触れられている。

エンジニアの道を選択した者には、当然のこととして、普通の社会人にも共通に必要とされる各種の一般的な資質が求められる。しかし、技術立国日本に向けて主導的な貢献が期待される技術系プロフェッションには、それ以上のいくつかの特別な資質も合わせて備えておくことが必要である。それらを「エンジニアの特定資質」と呼ぶことにすれば、それらは、古今の一流のエンジニアたちが共通に備えている「旺盛な好奇心」、「逞しい独創性」、「柔軟な実践力」の三つの資質に集約することができる。

「旺盛な好奇心」
 一流のエンジニアにとって障害の基盤たる資質であり、既に初等・中等教育時代には潜在的に醸成されている...

「逞しい独創性」
 自力で新しい何かを考えだす知力、または作りだす技力である。これは高等教育時代に集中的に培われる。当然ながら、専門分野の知識や技能を徹底して習熟していることが前提であるが、それを超えた頭脳の閃き、豊かな発想、新規的な工夫、特異な器用さを取得することも要求される。専門の知や技の大量吸収には、明晰な能力と強靭な体力が不可避である。...

「柔軟な実践力」
 現実の産業界が求めるニーズに応じて、自己の専門性と体験を意欲的に活かしながら、特定の分野を掘り下げたり、周辺の分野を総括する適用能力...この資質は、高等教育時代を通して体得した事柄を基盤にして、企業の現場活動などに実際に参画し本格的に形成される...

もし敢えて、かれら次世代のエンジニアに対して四番目の特定資質が求められるとすれば、それは「高次元からの洞察力」といったものではなかろうか。
いずれも電気事業だけでなく、広くエンジニアに求められるものであるが、もしかしたら、どんなビジネスパーソンにも求められることなのかもしれない。
 
ちなみに、米国電気学会(現在は米国電気電子学会IEEE)がエンジニアの規範として打ち出したのは、
誠実に一般大衆と向き合うことが電気に携わる技術者の社会的責任であり、プロフェッションとして自らの持てる時間と知恵を絞り、一般人の気付かない事実を提供していかなければならない
ということ。今の日本で求められているのは、まさにこういう態度ではないだろうか。
 
by yoshinoriueda | 2012-04-21 11:50 | エネルギー・環境 | Trackback | Comments(0)

清涼剤はSilicon Valleyの抜けるような青い空。そして・・・


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