TiVoの重役がまた一人...

シリコンバレーは今日も快晴。職場で天気の話をしていたとき、生粋のアメリカ人である女性は、週末の素晴らしい天気を「gorgeous」という言葉で表現していた。それを聞いたとき、ふと、ハリウッドの女優が、「私は彼女のようにgorgeousではないわ...」と話していてたのをふと思い出した。今日もそんなgorgeousな天気。
(参考:gorgeous by 英辞郎)

さて、車の中でシリコンバレーの地元紙San Jose Mercuryを眺めていると、Marty Yudkovitz氏もTiVoを去ることになったという記事が目に入った。(もちろん、運転しながら新聞を見たのではなく、赤信号でストップしているときに、助手席においてあった新聞をハンドルの上にひろげて読んでいただけです...)

彼は、元NBCのexecutiveで、Hollywoodとのコネクションを作るうえで重要な役割を果たしていた人物で、やめるきっかけとなったのは、Comcastとの提携が失敗したことらしい。彼はいわゆるメディア業界の人間である。メディアに登場するセレブなどの口から"TiVo"という名前が発せられるということは、TiVoの“賢い”マーケティング戦略だった。その戦略は、The Oprah Winfrey Showや、Sex and the Cityの中の「会話」の中で出てくることにより、多くの人が「何それ?」「欲しい!」と思うようになっていくというものである。

実際、Oprahの番組では、Pontiacの新車が参加視聴者全員にプレゼントされたように、TiVoが配られるということもあったようである。そして、この固有名詞としてのTiVoを動詞として使う人がいるのかどうかは分からないが、同社のウエブサイトには、本気か冗談か、その用法は間違いであるということが、例とともに述べられている。
Correct: I want to record "Sex & the City" on the TiVo® DVR.
Incorrect: I want to TiVo "Sex & the City."
それはともかく、このTiVoの一件を読んで、ふと、昔日本でインタビューしたある会社の社長さんの話を思い出した。
「○○社長、もし、ご自身が病気などで働けなくなったら、この事業はどうなるんでしょう?」
「そりゃ先生、行き詰まりますわな~。 ま、そこがツライところですけど、中小企業ちゅーのはそんなもんでっせ。」
TiVoも、重要な人物が会社を去っていくと、事業を支えてきたさまざまな柱が崩れていくかもしれない。というか、すでに崩れているかもしれない。ベンチャー企業のそんな構図は、日本でも、シリコンバレーでも関係ないのかもしれない。一方で、大企業はどうか?大企業には、代わりの人材がたくさんいる。組織という非情なモノがさまざまな柱を構成し、そう簡単には崩れない。逆に、それが不正の温床にもなる可能性があるかもしれない。

大企業、中小企業、ベンチャー企業、行政、NPO、任意団体など、組織にはそれぞれ「特徴」がある。それを「長所」として感じることができるか、「短所」と感じてしまうかは、そこに参加する人の考え方次第なのかもしれない一つのモノサシで何が悪いとか、良いとか、そんなことを言える問題ではないかもしれない。

ただ、AT&TがSBCに買収されてしまうように、大企業と思っていても、その存在そのものが消えてなくなる可能性もある。San Jose Mercuryが伝えるところによると、13,000人が職を失うことになるようである。

個人として優秀だからといったことは関係なく、ポジションがなくなったからということで、失業するかもしれない。いずれにせよ、大企業に勤める場合、「会社」が、そこに勤める人の人生を決めることになるだろう。個人のやりがいは、実力がつくことや達成感を得ることではなく、人事など社内の内側を向いたところに目が行くようになるだろう。それは、ある意味、気楽かもしれないが、ある意味、虚しく、時には耐えられないことになるかもしれない。

最近は、そんな状況も少しずつ変わってきているかもしれない。個人的には、そんな期待感をいまだ持っている。ただ、日本の大企業も、5年後、10年後は、いまのままではいられないだろう。変化できないことが最大のリスクになるかもしれない。それに気づいているか、そして、気づくだけでなく、行動していくか。そして、それを支える人材を確保し続けることができるか。それが大切なのかもしれない。

TiVoは、破綻を回避できるのか?復活できるのか?それは分からないが、ここシリコンバレーで見られる栄枯盛衰の1つのサイクルを目にしているのかもしれないと感じた。
Tracked from Entrepreneur.. at 2005-02-03 12:47
タイトル : TiVo、新手のマーケティング戦略?!
2004年12月18日付のシリコンバレーの地元紙San Jose Mercuryによると、17日(金)午前4時半からTiVo本社に2000人以上が集まった。彼らの目的は、40時間の録画ができるDVRを、なんと、“タダ!”同然でもらおうというもの。TiVoが"fed-up Comcast customers"と称したこの企画、11:00-14:45の間、並んだ人は、くまのぬいぐるみなどおもちゃの寄付とDVRを交換するのである。結果的に、100人近くの人が、もらえずに帰ることになったようである。 DVR...... more
Tracked from Entrepreneur.. at 2005-02-03 12:47
タイトル : 信頼が支えるイノベーション・モデル
科学技術がイノベーションの芽になる可能性は存在するが、それが全てではない。従来の経営活動では、研究をして、開発をして、設計に落とし込んで、製造して、販売するという「リニア」なモデルが想定されていた。しかし、シリコンバレーで、今、そんな方法を真正面から取り組んでいる企業にはなかなかお目にかかれない。なぜならば、そんな企業の自己満足にだまされるほど、市場はもはや弱くないからである。 Tivoというテレビ番組録画サービスを提供する会社を訪問したときに聞いた話では、「シリコンバレーを出て、フツーの人に話...... more
Tracked from ニュースコミュニティ -.. at 2005-02-04 03:18
タイトル : TiVoの重役がまた一人...
シリコンバレーは今日も快晴。車の中でシリコンバレーの地元紙San Jose Mercuryを眺めていると、Marty Yudkovitz氏もTiVoを去ることになったという記事が目に入った。 彼は、元NBCのexecutiveで、Hollywoodとのコネクションを作るうえで重要な役割を果たしていた人...... more
by yoshinoriueda | 2005-02-02 09:00 | シリコンバレーで感じる! | Trackback(3) | Comments(0)

清涼剤はSilicon Valleyの抜けるような青い空。そして・・・


by yoshinoriueda
カレンダー
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31