Silicon Valley: Ground Zero for Innovation of the Planet
2005年 02月 03日
さらに、このセミナーの様子は、ストリーミングビデオで見ることができる。これがまた、スタンフォード大学の凄さなのかもしれない。工学系の教室は、録画したり音響したりする設備が整っていることが多いと感じる。録画などを担当する専属スタッフもいる。設備といい、その運営といい、必要なところに必要なお金がかかっている。しかも、無料で見ることができる(はず)。
このセミナーにJohn Doerr氏が来るということを知ったのは、先週末のパーティーで、隣に座った起業家が教えてくれたからである。彼は、サービス関係のスタートアップをやっているのだが、もともと、スタンフォード大学で機械工学を学んで、自動車メーカに勤めていたようである。広島で働いていたときに奥さんと出会って結婚し、週末は、日本語放送を楽しんでいると言っていた。そんな彼が自分でビジネスを始めるに至ったのは、スタンフォード大学の学生時代に、John Doerr氏のセミナーに出て感銘を受けたことがきっかけだったと話していた。こんなところにも、シリコンバレー・サイクルがあるのだ。
セミナーの内容としては、シリコンバレーでそれらしいことを言う人が口をそろえていうようなことばかりだったので、新たな発見は意外と少なかった。ただ、Accel PartnersのJim Breyer氏が言っていた「コンテンツ」への投資の興味が強調されていた。これは、シリコンバレーの異なるベンチャーキャピタルのパートナーが、少なくとも二人、有望と見ている分野であるということを示している。
また、これとは別にJohn Doerr氏が協調していたのは、Social & Policy Entrepreneursをバックアップしたいという点。教育、環境、社会、政策といった分野における起業や取り組みである。NewSchools Venture Fundといった教育分野の最近の例や、Grameen Bankといった社会分野の古くからの例を挙げていた。今年がたまたま国連の「国際マイクロクレジット年」ということも関係しているのかもしれないが、スタンフォード大学では、昨年あたりから、ソーシャル・アントレプレナーというのがキーワードであった。CSR(Corporate Social Responsibility:企業の社会的責任投資)や、SRI(Socially Responsible Investment:社会的責任投資)というキーワードもこれに関係するものであろう。
もう一つ、気づいたことがある。日本で見た中小企業と、偉大なる企業との差が、mercenariesとmissionariesという言葉にぎゅっと凝縮されていたということ。(数少ない)経験上、日本の中小企業は、往々にして、mercenariesになりがち。すなわち、opportunisticだし、obsess on competitionだし、successに重きを置いている。シリコンバレーのベンチャー企業がすべてがそうかというと、必ずしもそういうわけでもないが、少なくとも成功した企業は、たとえそれがシリコンバレーのベンチャー企業でなくとも、strategicに動くし、customersやsignificanceに重きを置いている。
こんな話を大人になるまでに聞くことができたら、きっと、多くの人の人生は変わるだろうとも思う。個人的には、いまだから、そして、実際にベンチャーキャピタルで働いているからこそ、ありきたりに聞こえるのだが、中学生や高校生、大学生や社会人になりたての頃、これを理解することができ、その後、実行できれば、たしかにシリコンバレー・サイクルは回るだろう。それによって、富だけが循環するのではなく、John Doerr氏が感じてきたことが世代を超えて伝播し、実際に、日々の活動の中に埋め込まれてくる。スタンフォード大学という一流の学校の関係者だけでなく、もっと、多くの日本の学生さんたちにも、そして、少し疲れた大人たちにも見て欲しいと感じた有意義な1時間だった。
KPCB(Kleiner Perkins Caufield & Byers)のパートナーJohn Doerr氏の言葉である。美しい夕暮れの空の下、スタンフォード大学の学生をはじめとして、大勢の人々が、HP(Hewlett-Packard)社の生みの親でありシリコンバレーの父と呼ばれるターマン教授にちなんで名づけ...... more
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逆に、30から40くらいの辺りがしっかりしている企業は、まだまだ変わっていけるのかもしれません。
ただ、外人部隊(注*)による荒療治が必要かもしれませんが...(^^;
注*:組織の外から来た人。外国人だけを指すわけではありません。