『心を整える 勝利をたぐり寄せるための56の習慣』(長谷部誠)
2012年 10月 30日
長谷部選手の真面目さが伝わってくる一冊だった。例えば、
焦らず我慢して継続すれば、いつか「組織の成功」と「自分の成功」が一致する。...といった考え方や、
チームの穴や業界の穴を分析し、誰よりも早くその穴を埋めて行く。そうすれば、誰もが気づいてくれるわけじゃないけれど、必ず見てくれる人はいる。
遅刻というのは、まわりにとっても、自分にとっても何もプラスを生み出さない。まず、遅刻というのは相手の時間を奪うことにつながる。20人で集まるとする。そこに僕が5分遅れたら、5分×20人で100分待たせることになる。…だから僕は遅刻をする人を信頼できない。といった考え方。そんな真面目さを自分でも意識しているのだろうか。
「直(ちょく)にして礼なければ即ち絞(こう)す」正義感が強すぎて、真面目すぎると、かえって周囲を絞めつけてしまうという言葉も紹介していた。その一方で、スポーツの中で訪れるチャンスをものにしていくためのヒントも盛り込まれている。例えば、ロベルト佃氏がアルゼンチンのことわざについて教えてくれたこと。
「スペイン語で運(la suerte)は女性名詞。だから、アルゼンチンの人たちは『運を女性のように口説きなさい』と言うんだ。何も努力しないで振り向いてくれる女性なんていないだろ?それと同じで、運もこちらが必死に口説こうとしないと振り向いてくれないんだ」といったことや、『「心の掃除」の上手い人 下手な人』(斎藤茂太)の中から抜き書きしたという言葉。
どんなに沢山の事を考え、長い間準備をしたとしても、その場面になってどう判断するかが大事。人生とは生き物だから。常に状況は変わるから。それだけではなく、生きていく上でのヒントになるようなことも書かれていた。
『超訳 ニーチェの言葉』に書かれていた言葉
【脱皮して生きていく】といったものや、
脱皮しない蛇は破滅する。人間もまったく同じだ。古い考えの皮をいつまでもかぶっていれば、やがて内側から腐っていき、成長することなどできないどころか、死んでしまう。常に新しく生きていくために、わたしたちは考えを新陳代謝させていかなくてはならないのだ。
もし俊さん(中村俊輔)のスペイン移籍を失敗だと言う人がいたとしたら、その人は挑戦をしたことがない人のはずだ。挑戦した経験のある人なら、それによって何を得られるかを知っているからである。といったもの。最後の方には、長谷部選手のモチベーションが記されていた。
「人が喜んでいる顔を見たい」...笑顔の記憶。それこそが僕の仕事に対するモチベーションをかきたててくれる。長谷部誠選手のますますの成長と活躍を期待したい。
参考:白取春彦『超訳ニーチェの言葉』