毎日や朝日ならともかく日経にしては残念な記事「EVレンタルや下水発エネルギ- 神戸、環境先進都市へ」

EVレンタルや下水発エネルギ- 神戸、環境先進都市へ」という記事によると、
兵庫県神戸市は、2014年3月に「神戸市環境モデル都市アクションプラン」を策定した。2013年3月に国の「環境モデル都市」に選定されたのを受けた措置だ。低炭素社会を目指し、エネルギ-の安定供給とコスト低減のための「2020年に向けた20のプラン」を掲げた。このアクションプランによって、2018年度までに累計約30万tのCO2(二酸化炭素)排出量を削減する目標である。さらに2030年度には1990年度比で30%、2050年度には同80%の削減を目標に掲げている。

2013年10月、「神戸市環境モデル都市アクションプラン」の一つである「超小型モビリティのレンタル事業」が開始された。六甲山から再度公園までの約25kmの範囲で走行可能な電気自動車(EV)のレンタカ-「ウリボ-ライド」である。

六甲山の自然にマッチしたクリ-ンなイメ-ジのEVを観光客に貸し出す。貸出場所は、六甲牧場、丁字ヶ辻EVセンタ-、オテルド摩耶の3カ所がある。返却は原則借りた場所。また初回は、ライセンス講習を受ける必要があり、講習スペ-スのある六甲山牧場で受け付けている。

EVには、六甲山専用のナビゲ-ションが装着されている。普通のナビゲ-ションでは、近くの観光スポットがすべて表示されてしまうが、六甲山専用ナビは走行可能なエリア内の観光スポットしか表示されない。また返却ボタンを押すと、3カ所の貸出場所が表示される便利な機能もついている。

■エアコン、窓ガラスはなし

EVは二人乗りで、エアコン、オ-ディオ、窓ガラスがないとてもシンプルなつくりだ。コスト削減に加え、エアコンとオ-ディオを搭載しないことで電池を長持ちさせる狙いがある。チャイルドシ-トは装着できないので、5歳以下の子供は乗車できない。家族よりもカップル向きだ。

満充電なら70~80kmは走行できるので、エリアを一周しても十分足りる。しかし、急速充電に対応していないため、電池が空の状態から満充電までには4時間かかる。ドライバ-が安心して利用できるようにするには、貸出の間で充電しなければならない。EVの稼働率は低くならざるを得ない。

筆者もウリボ-ライドに試乗してみた。操作は簡単で、ハンドルの左側にあるボタンで、「D(ドライブ)」、「N(ニュ-トラル)」、「R(バック)」を選び、あとはアクセルとブレ-キを踏み分ける。山道だが、小型で小回りが効くのでUタ-ンもできて運転はしやすい。

冬場は路面が凍結するためレンタル事業を休止していた。このため、2013年10月の事業開始から実質的には5カ月しかサ-ビスを提供していない。その間の利用者数は約550人。休日は10台では足りないほどの人気だが、やはり平日は観光客が少ない。

ウリボ-ライドを運営する六甲産業では、立ち寄ったレストランや休憩所の駐車場でも充電できるようにするなど、稼働率と利便性を向上する方策を検討している。そのほか、乗り捨て型レンタル事業も検討中だ。

■太陽光発電に最適な神戸

神戸市は、2030年に市域の電力消費の15%を再生可能エネルギ-で賄うという目標を掲げ、積極的に太陽光発電の導入を進めている。というのも、神戸は日照時間が長く、太陽光発電に適しているからだ。

山間部では六甲山の上に神戸六甲西太陽光発電所があり、沿岸部では神戸港太陽光発電所や空港島太陽光発電所がある。また、一般家庭にも太陽光パネルの設置が進んでおり、既に1万軒以上の住宅の屋根に太陽光パネルが取り付けられている。

大規模太陽光発電所(メガソ-ラ-)と住宅用を合わせると、2012年度末に神戸市全体の総出力は40MWを超え、2013年度末には60MWを超えたと推定される。

神戸港太陽光発電所は東灘区六甲アイランドにある航空貨物上屋の屋根に設置されており、太陽光パネルの総数は約5,000枚におよぶ。1枚の出力は240Wで、合計出力は約1.2MWになる。海風を考えて傾斜をつけずに平らに設置している。周りに太陽光を遮るものは何もなく、太陽光パネルを設置するのに最適な場所といえる。

予定年間発電量は約120万kWhと、一般家庭213世帯分に相当する。公共の上屋では全国でも最大である。2013年8月から稼働を開始し、これまでの稼働率は約13%と太陽光発電としては高く、当初予想していた発電量に比べても15%も多い電力が得られている。

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■スイ-ツの廃棄物でメタンガス生成

東灘地区にある「こうべバイオガス」もユニ-クだ。東灘下水処理場では、下水からの汚泥でメタンガスを生成している。下水からエネルギ-を作り出すアクションプランの中でも大きな柱の一つである。

東灘処理場には、毎日約16万m3の汚水が流れてくる。ここから汚泥を取り出し、濃縮して消化タンクへ入れて発酵させ、毎日約12,000m3の消化ガスを発生させている。消化タンクの高さは約39m。そのうち地上部は約30mだ。最大外径は約25.4m、最小壁厚は45cm。この消化タンクが施設内に3基。タンク内の温度は40℃に保たれ、30日間かけて汚泥からメタン60%の消化ガスを発生させる。

発生した消化ガスから「高圧水吸収法」と呼ばれる方法で、97%以上のメタンガスを生成している。このメタンガスを、1.所内で利用、2.自動車の燃料、3.都市ガスとして供給――の3つの用途で利用している。

下水汚泥だけでなく、神戸スイ-ツなど食品メ-カ-の廃棄物や六甲山の間伐材を加えてガスの発生量を増やしている。こうした町ぐるみの活動が、神戸市の環境モデル都市を支えている。
とのこと。エアコンのないEVというのはまやかしのようだし、六甲アイランドならともかく、市街地は、かならずしも太陽光発電が有効なところばかりではない。しかも、写真は曇り空。メタンガスにしても、「スイーツの廃棄物で」というのはごく少量でしかないだろう。

アピールしたいのは分かるけれど、どれもまやかしが入りこんでいるので、あまり感心できない記事。毎日や朝日ならともかく、日経にしては残念。
by yoshinoriueda | 2014-08-11 12:56 | エネルギー・環境 | Trackback | Comments(0)

清涼剤はSilicon Valleyの抜けるような青い空。そして・・・


by yoshinoriueda
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