仕事をするのは「自己表現」のためという考え方
2005年 09月 26日
マズローの欲求段階説では、「生理的欲求、安全欲求、親和欲求、自我の欲求、自己実現の欲求」という5段階があって、自己実現がピラミッドの一番上にくるように描かれることが多いのだが、なんだか自己実現という響きには、「達成すべき/したい目標」のようなものがあって、非常に静的な(スタティックな)イメージがつきまとう。
これに対して、自己表現のために仕事をするのだという考え方は、しなやかで動的な(ダイナミックな)イメージになる。仕事を取り巻く環境はもちろんのこと、仕事自体、常に変化する。仕事とともに時を過ごしていくというのが、ある意味、現実だから、そんな中で、頑なに目指すものを持つのではなく、仕事に対応し、仕事を楽しむということが大切なのかもしれないと考えさせられた。
自分で事業をしていない限り、つまり、雇われの身で、自己実現することは容易ではない。意義を見出したり自分に言い訳したりといった「まやかし」に似た作業が必要となることも多い。しかし、自己表現ならば、「目標」は、いかに自分を表現していくかということであり、プロセスを楽しむことにつながる。
勉強しない、教育・訓練も受けない、仕事もしないといったニート(NEET)が社会的に問題視され始めていて、さまざまな職業を紹介したり、仕事自体の楽しさを伝えようとしたりといった取り組みがなされているが、そんな中で、この「仕事をするのは自己表現のため」という考え方は、応用できるものなのかもしれない。
ちなみに、なにかをしていくということが自己表現であると捉えると、仕事だけでなく、ボランティア活動や家事・育児といったこともすべて自己表現になるのではないだろうか。そんなしなやかで強い考え方が、今、求められているのかもしれない。