南シナ海に「浮かぶ原発」 、安い!?

南シナ海に「浮かぶ原発」 中国の原子力開発の本気度」という記事が面白い。
 環礁などを埋め立てて人工島を建設している南シナ海の南沙諸島や西沙諸島では、今後、飛躍的にエネルギー需要が増大するとみられている。国家大型補給基地では、5000~8000人が生活するためのエネルギーが必要になる。同基地では、周辺の石油・ガス田の採掘プラットフォームや輸送船、飛行機などに対してもエネルギーを供給しなければならず、そのためのインフラが必要となる。

 南シナ海では、今後10年以内に8カ所の大型飛行場と12カ所の軍事・民間用の港を建設する計画がある。そこでエネルギー源として期待されているのが、浮動式原子力プラントである。

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 各事業者と各省政府によると、中国は計画中のものだけで、270基を超す原子力発電所の建設を予定し、軽水炉、高速炉、高温ガス炉、トリウム溶融塩炉、進行波炉、原子力船に軍事的な開発まで、原子力に対してあらゆる研究開発を行っている。

 中国は電力だけでなく熱や蒸気を供給し、海水淡水化にも利用できる浮動式原子力プラントを、海域でのエネルギー供給の本命と位置付けている。

 浮動式プラントは、船体部分とこれに搭載する原子炉に分けて開発が進められている。船体部分を担当するのが国有造船大手で10大軍需工業集団にも数えられる中国船舶重工集団公司(中船重工)。同集団傘下で、中国唯一の原子力艦船の全体設計研究機関として40年の歴史を持つ「719研究所」が設計を担当している。

 同研究所は2014年9月、国家能源局の承認のもと、中国を代表する原子力事業者である中国核工業集団公司(中核集団)と中国広核集団有限公司(広核集団)傘下の設計院等に呼びかけて「国家能源海洋原子動力技術研究開発センター」を湖北省に設立した。同センターが、浮動式プラントを配備する場所の選定や設計、製造、運用、廃止措置までを行う。

「719研究所」は、「水面浮動式」と「水中潜水式」の2つのタイプを設計している。いずれも中国海洋石油総公司向けに設計したものである。

 搭載する原子炉は、中核集団と広核集団が開発している。中核集団の専用小型炉は「ACP100S」(電気出力10万kW)、広核集団は「ACPR50S」(熱出力20万kW)で、いずれも加圧水型炉(PWR)タイプ。中核集団は年内にも実証炉の建設に着手し19年に完成させる。広核集団は17年に実証炉の建設を始め20年に完成させる。中核集団は、「ACP100S」以外にも、より小型の「ACP10S」と「ACP25S」も開発しており、需要に合わせて組み合わせて使用する。

 浮動式プラントの建造計画は、今年1月に大きく動き出した。国家発展改革委員会は中船重工が申請していた国家エネルギー重大科学技術イノベーションプロジェクトである「海洋原子動力プラットフォーム実証プロジェクト」の立ち上げを承認した。広核集団と中核集団も、浮動式プラント向けの専用小型原子炉をエネルギー重大科学技術イノベーション第13次5カ年計画に組み込むことを国家発展改革委員会が承認したことを明らかにした。

 中船重工によると、16年中にも着工し、18年に調整試運転を終えて19年に洋上試験に入る予定になっているが、搭載する原子炉は明らかにしていない。浮動式プラントで一日の長があるロシアでも、19年に調整試験を開始する予定だ。

 中船重工は実証プロジェクトに30億元(約490億円)を投じる。稼働後は40年間の耐用年数期間中の売電収入が226億元に達すると見込む。浮動式プラントの市場規模を1000億元程度と見込む中船重工は、当面の目標として20隻を建造する計画だ。シリーズ生産後には、1隻あたりのコストは20億元程度まで下がるとみている。

 浮動式プラントには曳航式と自走式があるが、現在計画されているのは曳航式。中船重工が配置を想定しているのは、東北部の渤海湾と南シナ海。渤海湾での海洋石油開発向けのエネルギー供給手段として利用することも見込んでいるが、ニーズとしてはそれほど大きくない。「小型炉を搭載した浮動式原子力プラントは〝戦略的意義〟を持つ」と中核集団の孫勤董事長が発言する通り、本命は南シナ海の軍事基地とみるべきであろう。

 規制当局である環境保護部(国家核安全局)原子力発電安全監督管理局の湯搏局長は、浮動式プラントの最大の問題は災害時の緊急対応能力にあるとしたうえで、海洋や気象、海事等の部門と協力して規制要件を定める必要があるとしている。

 浮動式原子力プラントの建造経験は、空母を含む原子力水上艦艇の建造に大きく寄与するともいわれている。中国政府が国家プロジェクトに組み込んだのには納得がいく。
こういう構想が描けるところが面白い。ただし、海域で事故が起こって、放射能がまき散らされるような事態になると、やっかいなことになるのだが。

とはいえ、作れば作るだけノウハウも蓄積され、技術力も向上するわけなので、新増設が全くない日本と比べれば、中国の技術をはぐくむ環境は恵まれているのかもしれない。

それにしても、もし電気出力20万kWで20億元(約330億円)とすると、110万kWクラスでは約1800億円?!安くないですか?!さすがEDLP(Every Day Low Price)の国!日本では、原子力発電所の建設費は、35万円/kWというコスト試算の前提に基づいたとしても、110万kWクラスで3850億円かかるので、半額以下でできることになる。

恐るべし、中国!



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by yoshinoriueda | 2016-05-24 12:49 | エネルギー・環境 | Trackback | Comments(0)

清涼剤はSilicon Valleyの抜けるような青い空。そして・・・


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