ザ・サーチ (Ⅳ) シリコンバレーのベンチャーが日本の中小企業と似てる点・違う点
2006年 03月 13日
例えば、人材の問題である。経営者が雇った人材が採用を行なうことによって、自分に刃向かわない人を採用することで、どんどん人材が小粒化するという「雇用のスパイラル現象」が懸念されるということである。これは、まさに、Ogilvy's Lawというエントリーの中で述べたロシア人形の話と同じである。グーグルでは、これを避けるために、「ひとりの判断で雇うことをせず、複数の意見を反映させるようにした」(p.194)ということである。
また、経営権の問題もある。日本の場合は、創業時に背負い込むリスクが大きすぎて、手放したくなくなるという気持ちに成ることは理解できるが、シリコンバレーであろうと、企業を経営しているのは、日本での場合と同じ「人間」であるから、
企業の創業者が権力を放棄したがらない、あるいは放棄できないのは、なにも今に始まったことではない。シリコンバレーでは常識で、企業化症候群と呼ばれるほどである。(p.210)といったこともあるようだ。
逆に、シリコンバレーの企業ならではの悩みもあるようだ。
シリコンバレーの企業は、従業員が前の職場の社風を持ち込んで、さまざまな文化や価値観の寄せ集めに陥りやすい。・・・成長する企業は新しい独自の文化、社風を創りあげる前に、派閥が勢力を伸ばして会社の中心となる価値観を形づくってしまい、企業本来のアイデンティティを喪失する。(p.204-205)まあ、だからこそ、さまざまな文化や価値観をまとめてリードするリーダーシップが重要視されるのかもしれない。
これは、裏を返せば、同質化していた日本社会においては、それほど重視されていなかった点なのかもしれない。ただ、今は違うし、これからも違っていてほしいと願う。多様な価値観を受け容れられない世界は、本当に窮屈だから...