NuCORE Technology Inc.
2004年 02月 27日
渡辺氏の起業を通じた体験談は、とても面白かったのですが、逆に、日本語であれば、英語と比べてこれだけとれる情報量が違うのかと、ちょっとショックを受けました。
ちなみに、NuCOREはシステムチップの会社で、KyoceraのSL300Rというデジカメに採用されているそうです。Single CCDでありながら、RGBの3原色を分離した形で取り込むことと、ノイズの発生を抑えることを特徴とした"Clean Capture"という技術と、デジタル画像をバッファに貯め込まないパイプライン並列処理による連写技術を売りにしています。
普段デジカメで写真をとる際、いいタイミングで撮ることはなかなか難しいのですが、連写ができれば、ベストショットを「探す」ことができるという利点があり、デジカメ業界では、「もはやムービーか静止画か分からない」という方向性に向かっている市場とマッチしているとも言えるようです。
話の中で一番面白かった点は、VCの審査を通じて、「桁違いを3つ」要求されたというものでした。従来とは桁違いとなる性能上のポイントを3つは持っていなければならないというものですが、これは、徹底した差別化を念頭に置いたVCの見方だと思います。
渡辺氏は、「実際、競合する会社が出てくると、すぐに追いつかれるので、その程度の差別化は必要だ」という実感を語っておられました。桁違いの性能は、時間とともに食い潰されるので、企業が生き残っていくためには、その間に次の桁違いの性能を開発していかなければなりません。まさに、ベンチャービジネスの厳しさを物語っている一面だと言えるでしょう。