コストを顧客に転嫁する義務と転嫁できる権利
2006年 08月 23日
原材料費の調整をしなければならなくなったのは、原油が安かった頃に、消費者からの強い値下げ要請があったことも一因だったと記憶しています。と記載したが、奇しくも同じようなことが日経産業新聞の2006.8.23版15面に「時代遅れの燃調制度」というコラムに書かれていた。
「そもそもは需要家の方から導入しろと言われた制度ですから」半年遅れで燃料費はコストとして価格に反映しなければならない「義務」であると同時に、反映できる「権利」を得ることにもなったというわけである。
燃調が始まった1996年は折りしも一時1ドル=100円を上回る超円高時代。素材産業を中心にした「円高差益の還元を」との大合唱が制度導入を後押しした。燃料費変動という外的要因を切り分け、電力自身の経営努力の透明性を高める狙いもあった。
ちなみに、同じエネルギー関連会社と言っても、電力会社の場合は、ガス会社と異なり、複数の燃料を使っているため、原油価格の高騰の影響は、ガス会社に比べると受けにくい。ただそれでも、電力会社間では、微妙な影響の差があるようだ。
例えば、平成18年10月から12月までの間の電気料金で、燃料調整制度により電気料金があがるのは、東京電力だけの模様(H18.8.26現在)。西の関西電力の場合は、原子力の比率が高いせいか、原油価格の高騰の影響が緩和されているようである。微妙ではあるが、こんなところにも、企業のコスト構造や事業戦略の差が現れているようである。
(参考)
東京電力 燃料費調整のお知らせ
関西電力 燃料費調整のお知らせ