天は二物を与えず。されど「一物」は与えている。しかるに...

梅田望夫さんの「ウェブ時代 5つの定理」を出張中の車内で2回読んで、興奮したまま帰阪した木曜日、堀場製作所の堀場雅夫氏の講演を聞く機会に恵まれた。いろいろな話が出ていたが、梅田さんの本に書いてあったことと同じようなことを言ってるなぁと感じ、印象に残ったのは次のような話。
 20世紀は集団の時代。幼児100人と大学生1人が「綱引き」で勝負をすると、おそらく幼児100人が勝つことになるが、このように20世紀は、ベクトルを合わせてみんなで一緒に頑張れば勝てた時代
 21世紀は個性の時代。幼児1,000人と大学生1人が「代数の問題」で勝負をすると、大学生が勝つことになるが、このように21世紀は、トップレベルの人材がいなければ戦いに勝てない時代。二流の人が力を合わせても一流の人に勝てない分野が多くなってきている。
  日本は「個」や「個性」を認めないという雰囲気が強い。たしかに神は「二物」を与えない。しかし、神は「一物」は与えてくれている。誰にでも、他の人には負けない「一物」がある。人は、得意なことや好きなことをやると、すごい結果を出す。子供なら、親や先生がそのような部分を「早く」見つけてあげることが大切。会社でも同じで、上司は、社員が得意なことや好きなことを「早く」見つけてやることが大切。
天は二物を与えないけれど、何か一つは与えているはず。だから、個人に与えられた「一物」を早く見つけ出して、それを伸ばし、それを活かし、それで社会に貢献すればいい。そんなメッセージが伝わってきた。それはまさに
Don't waste your time living someone else's life.
(他人の人生を生きることに自分の時間を無駄にするな)
Have the courage to follow your heart and intuition.
(自分の心と直感に従うという勇気を持て)
というメッセージと共通する部分があると感じた。それを突き詰めていくことで、「ウェブ時代 5つの定理」にも紹介されていた
自分がやらない限り世に起こらないことを私はやる。── ビル・ジョイ
I try to work on things that won't happen unless I do them.──Bill Joy
文藝春秋|梅田望夫著「ウェブ時代 5つの定理」|ビジョナリーたちの名言リンク集 第5定理「大人の流儀」より
というところに繋がっていく。

「人生は旅。旅に目的はない。だから人生にも目的などなく、ただ日々を精一杯生きればいいのだ。」そんな考え方もあるし、そう思うこともあったけれど、それはもしかしたら、苦しさや辛さ、自分からの逃げだったかもしれない。これまで、自分自身が一つのロールモデルになると言っておきながら、もしかしたら甘えていたのかもしれない。

自分が生まれてきた意味。自分がなすべきこと。勇気と元気を出して、いつもそれらを追い求め、諦めず探し続けること。それが毎日を丁寧に生きることであり、精一杯生きていくということなのだろう。

堀場さんの話を聞いて、また、梅田さんの本を読んで、一人の個人として、3人の子供の親として、愛する妻の良き夫として、そして、社会のために仕事をする人間として、これからも頑張っていきたい。今更ながらにそんなことを感じた。
Tracked from 404 Blog Not.. at 2008-03-02 13:47
タイトル : 好きを貫きたかったら - 書評 - イヤならやめろ!
梅田さんのブックマーク経由で発見。 イヤならやめろ! 堀場雅夫 Entrepreneurshipを探る旅 : 天は二物を与えず。されど「一物」は与えている。しかるに... 20世紀は集団の時代。幼児100人と大学生1人が「綱引き」で勝負をすると、おそらく幼児100人が勝つ....... more
Tracked from アルデバランの 夢の星 at 2008-09-20 00:47
タイトル : 天の物 いいものだとの 期待あり/胸の物 魂胆ありの 執着心
色々引用させていただきました。どうぞ、よろしくお願いします。... more
Commented by ryu.higa at 2008-03-02 12:53 x
>>自分が生まれてきた意味。自分がなすべきこと。勇気と元気を出して、いつもそれらを追い求め、諦めず探し続けること。

漫然と生きていては決して見つかりはしない。それを明確にするためには「勇気」が必要なんだ。疑問に思い続けていた事が言葉として理解することが出来ました。ありがとうございました。
Commented by yoshinoriueda at 2008-03-02 21:38
ryu.higaさん、コメントありがとうございました。

ちょっとしたヒントを得てくださったようで、なんだかちょっとお役に立てたようでウレシイです~♪
Commented by Prewire at 2008-05-03 04:01 x
米国企業は、丁度、米IBMが360メインフレーム・ビジネスに傾倒し、臨死状態に直面した頃、国家レベルのイノベーション・アーキテクチャーに挑戦したと思われます。VCというインキュベーションの存在、そして、新しいテクノロジーを誘発する多数の新興企業の誕生、さらに、世界に誇る大学の存在など、パルミザーノ・レポートを読むと、4年間に一度、米国イノベーション・システムに関して米国国会レベルで議論していることが理解されます。このような背景のなかで、シリコンバレーがつくられてきたのではないか、と予想されます。このようなシリコンバレーでさえも、実は、大きな課題を含んでいることが、ビント・サーフ氏の発言より理解することが可能です。彼らは、「経験を無視した」・・・・。話は戻りますが、21世紀のWeb時代について、私見になりますが、(ネットワーク社会の中で、「個」「個性」は、実は、かつてわれわれが体験したことのないほどに大きな意味を持って行くのではないでしょうか・・・・・。

*「TCP/IPのビント・サーフ氏、シリコンバレーの失敗は『経験を無視した』ことにある・・・・」:
http://prewire.blogspot.com/2008/04/tcpip.html
Commented by yoshinoriueda at 2008-05-03 08:12
おっしゃるとおり、「ネットワーク社会の中で、「個」「個性」は、実は、かつてわれわれが体験したことのないほどに大きな意味を持って行く」のでしょうね。>Prewireさん
Commented by 所長H at 2008-07-29 00:56 x
初めて訪問しました。同感です。
Commented by yoshinoriueda at 2008-07-29 08:19
所長Hさん、コメントありがとうございました。

私も、せめて神から「一物」は与えられていると信じ、がんばろうと思います。
by yoshinoriueda | 2008-03-01 15:16 | 思うに・・・ | Trackback(2) | Comments(6)

清涼剤はSilicon Valleyの抜けるような青い空。そして・・・


by yoshinoriueda
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