「iPS細胞ができた!」

とある方から「iPS細胞ができた!」(山中伸弥・畑中正一著、集英社)をいただいたので読んでみた。この本を読んで、改めて、山中伸弥氏が中学・高校の先輩であり、同窓会の会報でも話題になっていたことを思い出した。

iPS細胞とは、"induced pluripotent stem cells"の略で「人工多能性幹細胞」と言われるもの。細胞は、分裂を繰り返しながら、分化していくということを高校の生物などで学ぶが、iPS細胞の存在というのは、その時間の流れを逆戻りするようなもののようである。だとすれば、物理の世界でいえば「ヒステリシス」という概念を覆すかのような発見ではないだろうか。

それはともかく、日本と海外、特にアメリカとの間の競争について、山中氏は、実感を込めて次のような発言をしている。
日本は勝つのは絶対無理です。・・・冷静に考えるとありえないですから。
UCSFの中にあるGladstone Instituteにも在籍している山中氏は、日米の研究環境の違いを肌身で感じているのだと思う。私自身がスタンフォードにいたときも、医学系の研究をしている人は、口をそろえて、研究環境の違いを指摘していた。東京大学であろうと、慶応大学であろうと、日本は、あまりにも貧弱である、と。本当なのかどうなのか私には分からないが、みんながそういうから、そうなのかもしれない。

畑中氏とのインタビュー形式をまとめたもので、少し読みにくいところもあるが、対談の内容を正確に再現しているのだろうと感じた。専門の人にはあまり参考にならないかもしれないが、iPS細胞に興味がある一般の人が読むなら、参考になるかもしれない。

参考:
京都大学再生医科学研究所再生統御学研究部門再生誘導研究部門 山中研究室
by yoshinoriueda | 2008-06-07 21:51 | テクノロジー・環境・ガジェット | Trackback | Comments(0)

清涼剤はSilicon Valleyの抜けるような青い空。そして・・・


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