英国のFITに関する関係者からのコメント

2009.2.26の電気新聞の「海外潮流」というコラムに「英国、FIT導入に向け問題点を検証」と題した記事が掲載されていた。
英国では、RPS制度が採用されているが、政府は小規模な再生可能電源を対象にして固定価格買取制度(フィードインタリフ=FIT)を導入する方針である。現在、政府案(昨年6月)に対するパブリックコメントの集約作業が行われている。政府案では、小売事業者に対し買取義務を課し、それに伴う費用負担が公平となるよう、基金の創設が示されているが、対象となる電源の規模・種類、買取価格の設定方法など詳細面は、パブリックコメントに付している。これまでに関係者から発表されてきたコメント等では、以下のような問題点が指摘されている。

 (1)余剰電力が発生しなければ、最大の懸案事項である系統コストの増加という問題は発生しない。自家消費する部分に高い補助金を入れて、より多くの家庭に普及させる一方で、余剰を発生させないようなインセンティブが必要、(2)スマートメータが普及するまでの間、プロファイリングとの整合性をどのようにとるのか、(3)需要過保護の観点からFITに係わる費用は税金もしくは排出権取引制度(EU-ETS)の収入を充てるべき、(4)余剰買取価格を電気料金と同額にすべきという意見もあるが、余剰の多い需要家には電気料金の高い事業者を選択するインセンティブが働き、競争市場を歪める可能性がある、(5)ネット計量とグロス計量とでは、付加価値税(VAT)の扱いが異なる点に注意をすべき、(6)規模が同じでもRPSが適する施設とFITが適する施設がある。バンド(例えば250kW~1000kWなど)を設けて、その中の発電設備は選択性とすべき、(7)FITの適用を受けるために、開発規模を縮小する恐れがある、(8)産業用需要家の国際競争力が低下しないようにFITに係わる費用負担は、対象需要家内(例えば家庭用のみ)で完結させるべき、(9)大家が設置して、テナントが利用する場合のコスト/利益の配分はどうするのか、(10)費用負担の公平化では、供給事業者の補給やインバランス対応に係わるコストが、購入ポートフォリオや規模によって異なることに配慮すべき-。

 パブリックコメントの集約結果、および政府見解は、まもなく発表される。
RPSとFITを並存させて、FITは小規模な再生可能エネルギーにのみ適用するという考え方だが、これは、太陽光発電設備が家庭に導入されることを促す施策なのだろう。(7)の逆インセンティブのようなものを含めていろいろ懸念される点はあるようだが、日本式FITはどうなるのかな。
by yoshinoriueda | 2009-02-27 06:50 | エネルギー・環境 | Trackback | Comments(0)

清涼剤はSilicon Valleyの抜けるような青い空。そして・・・


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