やはり起業家教育は早ければ早いほうがいいと思うのだが
2009年 05月 05日
研究の最後に、プレゼンする機会があったのだが、そこで、野口悠紀雄氏から発せられた質問が、つい最近まで、心のどこかに引っかかっていた。ちなみに、当時、野口氏は、スタンフォード大学のアジア太平洋研究所に在籍されていて、プレゼンに来られていたのである。
起業家教育をいろいろと掘り下げていくと、結局、2つの道が見えてきた。一つは、ビジネスの疑似体験をさせること、また、もう一つは、いろいろな手本を示すことで、そこから学ばせることである。どちらも大切なのだが、もう一つ重要な要素は、「いつから」触れるか?ということである。
野口氏の質問は、まさにその点を問うものだった。個人的には、小学校から高校までの比較的若い時期に一度は触れているべきだと感じていて、その年代に絞り込んでいったのだが、野口氏は、大学や大学院などオトナに教育したほうが効果的ではないか?という問いかけを発したのである。
ちなみに、グロービスの堀さんがスタンフォード大学のビジネススクールに講演に来られたときも、地下のカフェテリアで堀さんの意見を聞いてみると、「高校までの若い時期には、もっとほかにやるべきことがある(ような気がする、あるいは、と思う)」というふうにおっしゃっていて、「そんなものなのかな~」と思っていたからこそ、野口氏の質問が印象に残っていたのだと思う。
先月、「「大学・大学院起業家教育データベース」はじめました」という記事が経済産業省のサイトにアップされていて、発表資料からリンクされている経済産業省の「新規産業関連施策」のサイトには、ベンチャー関係の調査報告書がズラリと並んでいるが、そこで紹介されていた報告書「「ベンチャービジネス・ベンチャーキャピタル教育フォーラム報告書」(本編)(pdf)」に、一つの答えが示されていた。
報告書のp13(pdfファイルのp17)に早稲田大学の大江建教授が、
起業家教育で重要なことは、受講生の年齢です。私は大学院で教えていますが、大学院でいくらアントレプレナーシップを教えてもほとんど意味がないと思っています。・・・早いうちにベンチャーや起業家等について教えておくことで、起業家になるという選択肢を与えることができるのではないかと思っています。と言っている部分がまさにそれである。
若いうちから、選択肢として「そんな生き方もあるんだ」と知っておくことは、起業家教育にとって一つの素養に過ぎないのだが、それがあるのとないのでは大きく違う。小学生には小学生なりの、中学や高校の頃にはそれなりの、起業に関する感覚というものがあるはずで、それは、うまく育ててやることが大切だと感じる。
自分自身、あるいは、研究対象としての起業家教育については、幸か不幸か、まだ最終的な答えが出せていない。でも、それはそれでいい。探し続ける旅をまた続けるだけだから。連休の最中、そんなことを感じた。
参考:Final Presentationを通じて感じた「勇気」