だからEUの20%削減目標にダマされるな!って言ってるぢゃないですか~♪

EUの20%削減目標にダマされるな!というエントリーで触れた内容に良く似ているが、「2020年温室効果ガス目標で政府分析 「EU削減値 実質は5%」」というフジサンケイビジネスiの記事によると、
 温室効果ガス排出削減の中期目標で、EU(欧州連合)が掲げる「2020年に1990年比20%減」との目標について、日本政府は19日、「実質的には5%減に過ぎない」とする分析をまとめた。もともとエネルギー効率が悪かった中・東欧に対して、先進国では一般的な機器を導入しただけで、すでに大幅な排出削減を達成できていることなどを挙げている。EUは「野心的な目標」で交渉をリードしようとしているが、日本政府は今回の分析をもとに、各国の省エネの進捗(しんちょく)度に合わせた公平かつ現実的な削減目標を設定したい考えだ。

 EUは、20%の削減のうち4%分は海外から排出枠を購入することとし、残り16%分をEU圏内で削減するとしている。

 今回の分析では、ポーランドやハンガリーなど、エネルギー効率が悪く削減余地の大きい中・東欧12カ国が果たす役割に着目した。その結果、12カ国は06年時点で1990年比25.3%(3億3700万トン)削減を達成しているという。すでに日本では当然となっている省エネ機器の導入や、埋め立てに頼っていたゴミ処理の近代化などで二酸化炭素(CO2)やメタンの大幅な排出削減ができたためだ。これを維持して、EU27カ国で取り込むだけで、2020年時点で6%分の削減が達成できるという。

 また、12カ国のうち10カ国は、京都議定書で2008~12年の削減率について、それぞれ1990年比6%減や8%減を掲げているが、期限内に計9億~20.5億トン超過達成できる見通し。超過達成した分は、13年以降に繰り越せるため、これで2~5%分の削減を確保できる。合計すると、EU全体で2020年時点で12~15%分の削減はすでに決まっており、残り8~5%削減の努力をすればよい計算となる。

 EUが先進各国に「野心的」な目標設定を迫り、日米が同等の努力をすれば30%削減にまで踏み込むと強気の姿勢をみせる背景には、こうした“からくり”があるというわけだ。

 一方、日本政府は4%増から25%減の6案を選択肢に検討中。産業界などが4%増を推し、環境NGO(非政府組織)などは25%減かそれ以上にすべきだと主張している。国立環境研究所などの試算では、EUの掲げる「20%減」とほぼ同じ費用負担をした場合に実現できるのは、産業界などが主張する4%増となる。

 今後の国際交渉では、こうした現実を直視した議論が求められそうだ。
だからEUの20%削減目標にダマされるな!って言ってるぢゃないですか~♪_a0004752_085842.jpg
とのこと。Brusselからきた人と話をしていると、記事の中で「4%」が海外からの排出枠購入を目論んでいるという部分は、あくまで目安であり、実際は、価格さえ安ければ「10%」までは排出権購入で済ませてしまうこともありうるとのこと。排出権購入で済ませるという方法は、実際の努力分ではなく、域外で削減したものを、域内で削減したものと「見做す」だけであり、「補完的」であることが前提となっているのだが、この「補完的」という言葉がクセモノで、「半分までなら補完的といえなくもない」というロジックから、20%のうち、最大10%は排出権購入でもいいのではないかということらしい。

なんだかバカにされたような言い訳だが、それは彼らの常套手段。ナイーブな環境保護主義者たちは、数字だけにとらわれて、手段も明確にできないまま、EUの主張に乗ってしまう(^^;;

少なくとも、交渉している人たちは、そんなカラクリは理解していると思うのだが、問題は、国内の政治家や役人、無責任でお気楽な環境派たちだ。現実をしっかりその目で見るべきだ。世の中は、奇麗事だけではない。悲しいけれど。何度もいうけれど、EUの20%削減目標にダマされてはいけない~♪





参考

・CER、ERUについては、附属書I国の初期割当量の2.5%を繰り越すことが可能。

・総排出量が総排出枠を下回った場合、京都議定書不遵守となり、以下の措置が適用される。
(1)総排出量が総排出枠を超過した排出量の1.3倍分を、第2約束期間の総排出枠から差し引く。
(2)国として京都ユニットの移転資格が停止され、事業者も含めて海外への京都ユニットの移転(売却等)ができなくなる。
(3)時期約束期間における「遵守行動計画」を策定しなければならない。

「詳解 排出権信託 -制度設計と活用事例-」
中央三井トラスト・ホールディングス(編) p.41参照
Commented by セレステ at 2009-05-21 09:21 x
 もし仮に「温暖化は自然現象で人為的な二酸化炭素濃排出量と無関係である」 あるいは 「温暖化は人類にとってさほど大きな問題ではない」 という結論が数年後に出たらどうなるであろうか、その時までに投入される税金は数兆円か数十兆円かわからないがこれらは利権団体や関連企業さらには排出権という金融資本にからめとられただけで終わってしまう、誰も責任はとらないのは先刻承知であろう。 
by yoshinoriueda | 2009-05-21 00:23 | エネルギー・環境 | Trackback | Comments(1)

清涼剤はSilicon Valleyの抜けるような青い空。そして・・・


by yoshinoriueda
カレンダー
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31