だからEUの20%削減目標にダマされるな!って言ってるぢゃないですか~♪
2009年 05月 21日
温室効果ガス排出削減の中期目標で、EU(欧州連合)が掲げる「2020年に1990年比20%減」との目標について、日本政府は19日、「実質的には5%減に過ぎない」とする分析をまとめた。もともとエネルギー効率が悪かった中・東欧に対して、先進国では一般的な機器を導入しただけで、すでに大幅な排出削減を達成できていることなどを挙げている。EUは「野心的な目標」で交渉をリードしようとしているが、日本政府は今回の分析をもとに、各国の省エネの進捗(しんちょく)度に合わせた公平かつ現実的な削減目標を設定したい考えだ。とのこと。Brusselからきた人と話をしていると、記事の中で「4%」が海外からの排出枠購入を目論んでいるという部分は、あくまで目安であり、実際は、価格さえ安ければ「10%」までは排出権購入で済ませてしまうこともありうるとのこと。排出権購入で済ませるという方法は、実際の努力分ではなく、域外で削減したものを、域内で削減したものと「見做す」だけであり、「補完的」であることが前提となっているのだが、この「補完的」という言葉がクセモノで、「半分までなら補完的といえなくもない」というロジックから、20%のうち、最大10%は排出権購入でもいいのではないかということらしい。
EUは、20%の削減のうち4%分は海外から排出枠を購入することとし、残り16%分をEU圏内で削減するとしている。
今回の分析では、ポーランドやハンガリーなど、エネルギー効率が悪く削減余地の大きい中・東欧12カ国が果たす役割に着目した。その結果、12カ国は06年時点で1990年比25.3%(3億3700万トン)削減を達成しているという。すでに日本では当然となっている省エネ機器の導入や、埋め立てに頼っていたゴミ処理の近代化などで二酸化炭素(CO2)やメタンの大幅な排出削減ができたためだ。これを維持して、EU27カ国で取り込むだけで、2020年時点で6%分の削減が達成できるという。
また、12カ国のうち10カ国は、京都議定書で2008~12年の削減率について、それぞれ1990年比6%減や8%減を掲げているが、期限内に計9億~20.5億トン超過達成できる見通し。超過達成した分は、13年以降に繰り越せるため、これで2~5%分の削減を確保できる。合計すると、EU全体で2020年時点で12~15%分の削減はすでに決まっており、残り8~5%削減の努力をすればよい計算となる。
EUが先進各国に「野心的」な目標設定を迫り、日米が同等の努力をすれば30%削減にまで踏み込むと強気の姿勢をみせる背景には、こうした“からくり”があるというわけだ。
一方、日本政府は4%増から25%減の6案を選択肢に検討中。産業界などが4%増を推し、環境NGO(非政府組織)などは25%減かそれ以上にすべきだと主張している。国立環境研究所などの試算では、EUの掲げる「20%減」とほぼ同じ費用負担をした場合に実現できるのは、産業界などが主張する4%増となる。
今後の国際交渉では、こうした現実を直視した議論が求められそうだ。
なんだかバカにされたような言い訳だが、それは彼らの常套手段。ナイーブな環境保護主義者たちは、数字だけにとらわれて、手段も明確にできないまま、EUの主張に乗ってしまう(^^;;
少なくとも、交渉している人たちは、そんなカラクリは理解していると思うのだが、問題は、国内の政治家や役人、無責任でお気楽な環境派たちだ。現実をしっかりその目で見るべきだ。世の中は、奇麗事だけではない。悲しいけれど。何度もいうけれど、EUの20%削減目標にダマされてはいけない~♪
参考
・CER、ERUについては、附属書I国の初期割当量の2.5%を繰り越すことが可能。
・総排出量が総排出枠を下回った場合、京都議定書不遵守となり、以下の措置が適用される。
(1)総排出量が総排出枠を超過した排出量の1.3倍分を、第2約束期間の総排出枠から差し引く。
(2)国として京都ユニットの移転資格が停止され、事業者も含めて海外への京都ユニットの移転(売却等)ができなくなる。
(3)時期約束期間における「遵守行動計画」を策定しなければならない。
「詳解 排出権信託 -制度設計と活用事例-」
中央三井トラスト・ホールディングス(編) p.41参照