タイ・バンコクでのAWG4日目:KP numbers
2009年 10月 01日
メカニズムのセッションでは、途上国のCDMへのアクセスの話と、コベネフィットの扱いが話し合われた。LDC(Least Developed Countries)をはじめとした国々など特定の国がCDMを使うに際し、もっと使いやすくするためには、どこまで条件を緩めればいいのかということがポイント。
コベネフィットの案件も同じように何をコベネとみなし、どの条件を緩くするかというところがポイント。
経済的な負担を減らすために、validation(認証)の費用を免除するとか、share of proseeds(SOP)を免除するといった案や、追加性(additionality)の条件を外すといった案、登録手続きを優先的に行なうといった案などがあったが、この辺は、どう決めるかという「キメ」の問題か。
数字のセッションでは、base yearをどうするか、commitment periodをどうするかが話し合われたが、後者の話はほとんど入れず、前者の話でほぼ終わった。
途上国はAnnexIの基準年として1990年をしきりに薦めるが、2006年のほうが全体の排出量が少ないので、そちらから削減率を設定してギリギリやるほうがいいのかもしれない。にもかかわらず、1990年を基準年と主張するのは、ロシアの事情を考慮しているからだろうか?2006年を基準年にすると、ロシアは2006年のほうが排出量が少なくなるため、そこから削減するのが難しくなる。
当然ロシア自身は排出量が多かった1990年を基準年としたがっている。ロシアの目標は1990年から10~15%の削減だが、これは2006年からみれば、2020年の断面では、排出量は増加していることになる。つまり、1990年からは削減しているとはいえ、最近の実績から言えば、増加させてしまうことになるのである。
そもそも、削減努力をして排出量が削減されたのか、経済が縮小して排出量が結果的に減ったのかは、大きな違いである。そんな原因が究明されないまま、数字だけで比べようとするから、「数字のお遊び」になってしまうのである。
日本は緻密に分析することを厭わないため、原因までは大まかには分かるかもしれないが、途上国には理解できないのかもしれない。それが途上国の限界なのかもしれない。
さて、日本は、民主党が、排出量が少なかった1990年を基準年として25%削減を目標とすることにしたため、2006年など最近の年を基準年とするよりも厳しい枠になる。
ただ、米国は2005年を基準年として国内法の審議が行なわれているため、米国も巻き込んだ枠組みにするためには、2005年も基準年にできるようにしておくべきという考え方がある。
日本は、そのことを理由に、複数年を主張。南アフリカも同じ意見となった。
一方の途上国は、1990年を主張。第一約束期間の次が第二約束期間なんだから、第一約束期間と同じ基準年にしておくべきと中国は強く主張。数字の遊びをするなと言っている中国が、一番その遊びを楽しんでいる感じ。
こんなことを言い合っていても、なんの解決にもならない。KPのnumbersは依然視界不透明...
ESCAP会場内部から入り口を眺める posted by (C)yoshinori
詳細な報告をありがとうございます! このブログのことを、私の主要MLメンバーに送りました!ことは、メイルでご存知と思います!
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そして、美味しい食べ物で元気を頂きながら、ご健闘を!
黒坂