規格でメシを食う輩に踊らされるなよ~

低炭素社会実現フォーラム、カーボンマネジメントシステム独自の審査基準を検討
「EMS低炭素社会実現フォーラム」は、温室効果ガス排出量削減管理ツールである「カーボンマネジメントシステム」の独自の審査基準を検討している。現在策定中の国際規格、ISO50001を基にする方針だ。

 トーマツ審査評価機構、日本能率協会および日本品質保証機構が組織する「EMS低炭素社会実現フォーラム」(座長・上妻義直上智大学経済学部教授)は、事業活動に伴うGHG(温室効果ガス)排出量の削減管理ツールとなる「カーボンマネジメントシステム」の独自の審査基準を検討している。内容は、早ければ来年末にも発行されるエネルギーマネジメントシステム国際規格のISO50001を基本に、生産製品のエネルギー効率改善に向けた仕組みやパフォーマンス基準などを企業規模に応じプラスしたものを想定している。鳩山政権の「90年比25%削減」の実現に向けては、各企業等でのこうした現場レベルの対応を促すインフラ整備が必要不可欠とされており、その先駆的取り組みの1つとして注目される。

 近年、強制的なキャップ&トレード型の排出量取引や炭素税の導入など関連の規制が先進各国で強化される方向にある。また、カーボン・ディスクロージャー・プロジェクトに代表されるように、利害関係者からの情報開示の要求といった社会的ニーズが増大しているほか、競争力強化の機会としてカーボンビジネスが世界的に拡大しており、企業活動の生死を制する経営課題として、カーボンマネジメントの必要性が急速に高まっている。

 そのため、同フォーラムでは、既存のマネジメントシステムを活用し、信頼性のある規制対応を可能にする包括的で有効性の高い審査サービスを提供する観点から、カーボンマネジメントシステムの基準の検討を始めた。

 カーボンマネジメントの基本的考え方については、気候変動対策やカーボン情報の発信をマネジメントの中核に据え、戦略的および積極的に事業活動の全領域にわたり省エネやCO2の排出削減を推進するシステムと整理。情報開示、カーボンフットプリントなどの検証事業、マネジメントシステムの認証という既存要素の3本柱を活用し、企業内での「見える化」や継続的改善を通じてGHG削減目標の達成を狙いとしている。

 基準の詳細な検討はまだこれからであるが、その基本となるのは現在策定作業が進行しているISO50001だ。工場や商業施設あるいは組織全体におけるエネルギーマネジメントの枠組みを定めるもので、あらゆる経済セクターに広く適用でき、世界のエネルギー使用量の約6割に影響を与えると見込まれている。

 主な内容として、管理面では方針の作成、目的の設定、目標の特定、また技術面では監視・測定、エネルギープロファイルの作成、エネルギー評価の実施等を規定。エネルギー改善処置の優先順位付けやエネルギー効率化プロジェクトの実施、プロジェクト結果の測定と検証を誘導し、継続的改善のため検証をフィードバックする仕組みを提供する。

 これまでISOの活動に消極的だった米国が積極的に提案してきたもので、早ければ来年末にも発行される見込みだ。

 同フォーラムでは、このISO50001の要求事項に4つの補完的な項目をプラスしたものを基準案として検討している。その4項目とは、(1)生産製品のエネルギー効率の改善に向けた仕組み(製品アセスメントによるエネルギー効率指標の改善管理など)(2)事業活動や製品のカーボンフットプリントに関する情報収集、管理、発信の仕組み(3)世界で最も影響力の大きいGHG排出・削減量の算定・報告ガイドラインである「GHGプロトコル」のうち、企業の上流・下流工程を網羅した「スコープ3」を含めた取り組み(4)パフォーマンス基準(省エネ法の年1%改善など)――である。

 これらの項目を企業規模に応じてプラスすることにより、部分最適の個別マネジメントではない全体最適を目指したシステムにする考え。

 ISO50001はマネジメントシステム規格であり、14001や9001との親和性が大きい。このため、14001sや9001sをベースに、14006(エコデザイン指針)など個別の機能や環境側面ごとに要求される規格を重ね合わせ、PDCAサイクルを回しながら継続的改善を図る仕組みとする。

 今後大きな課題となるパフォーマンス基準の設定については、GHGプロトコルのほか、国の中期削減目標やその達成のための排出量取引制度などで設定される目標などをマイルストーンに、実際提供するサービスの中で勘案しながら審査していく考え。また、審査の適用範囲については、スコープ3に示されるサプライチェーン、バリューチェーンでの排出をチェックし、信頼性の高いデータの収集、管理、発信を要求事項の1つにしていく方針だ。

 また、システムの導入に当たっては全部門の参加を求めている。中長期的かつ戦略的にGHGの排出削減を管理していくこのカーボンマネジメントシステムは、従来システムよりトップダウンの性格が強い側面もあるとされるが、ISO50001には設計や購買といった組織の機能に対する要求事項もあり、トップダウンだけでなく、各組織の部門が自分達の機能に応じた役割や責任を果たすことで、システムの運営・維持を図っていくことがポイントになるという。

 同フォーラムでは今後、パイロット企業を募り、基準の具体的な検討や検証を進めていく考え。カーボンビジネスの新たな領域として、今後の動向が注目される。
「ISOの規格を導入→CO2が減る」という図式は成立しない。EUを中心とした規格の罠に落ちるだけだ。

例えば、ISO9000sを入れたからといって、品質が向上するかといえば、違う。自社の製品に対して破壊工作をする従業員のいるような英国のBNFLのような企業もある。

仕組みがあるということが担保されるだけで、それが「常に」動いているか、効果があるかといったことは別の話だ。

にもかかわらず、何かのお墨付きが欲しいとか、そのお墨付きがないと取引できないとか、そんなことを言うなら、どちらにしても規格の罠にハマッている。

踊らされるなよ~
by yoshinoriueda | 2009-10-20 23:15 | エネルギー・環境 | Trackback | Comments(0)

清涼剤はSilicon Valleyの抜けるような青い空。そして・・・


by yoshinoriueda
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