地球温暖化問題に関する第1回タスクフォース会合の結果概要

平成21年10月23日(金)の16:00から19:20まで内閣府本府の地下1階にある講堂で開催された地球温暖化問題に関する第1回タスクフォースは、麻生内閣の際に示された既存のモデル分析の評価と、今後のモデル分析について議論がなされた。(参考:会議の案内(pdf))

冒頭、小沢環境大臣が、今回のタスクフォースに関する説明を実施。「1990年比25%減という日本の目標達成に向けた検討をするために、地球温暖化問題に関する閣僚委員会でタクスフォースを作って検討するようにと鳩山総理から指示があった」と、もったいぶった表現がなされていた。

もったいをつけることがキミの仕事かね、小沢君?

ま、政治家なんて、そんなもんかもしれんけど。だから、東浩紀の「SNS直接民主制」なんてほうがまだマシぢゃないのか?!って思ったりするわけで。

ともかくも、タスクフォースで検討してほしいと考えていることは以下の3点らしい。
(1)中期目標の達成に向けた必要なコスト、十分な温暖化対策を行わなかった場合のコスト&成長戦略(...意味不明)
(2)既存の分析について、10の(ある意味検討ハズレかつ無理筋な?!)観点から評価しろ!
(3)10月中に中間報告しろ!(無理だって!)
それだけ言ったら小沢大臣は退席。デカいお兄さんがいるなーと思っていたら、どうやら小沢大臣のSP?!ま、どうでもいいけど、無茶振りしている割には、さっさと消えるというあの態度には、

ア然...( ゚д゚)

忙しいのは分かるけど、俺が言ったんだから、アトはヤレ!やらなきゃ「ポア」(古い...)ね!みたいな態度にはどうも無理があるような気がする。

さて、議論は、家計への影響「36万円」の話からスタート。可処分所得減少22万円と光熱費増14万円を足した数字が一人歩きしているのだが、14万円の光熱費増加は可処分所得減少の内数だとか。ま、そこは、紛らわしい表現が使われていたから仕方がないのかもしれないが、可処分所得減少の22万円は、「少なくとも」22万円なのであり、幅は、77万円まであるから、22万円~77万円という形で示すべきだったような気がする。

麻生政権時代、内閣官房は、敢えて77万円という数字を隠すべく、22万円という小さいほうの数字を使ったのではないだろうか?そんな疑念が湧く。

ということは、鳩山内閣の下、プラスの効果だけが強調されて、マイナス分は見えないようにされてしまうのではないかと危惧。ま、というか、きっとそうなるだろうけどね...(^^;;

もう一つ気になったのは、飯田哲也氏の発言。鼻につくというかでしゃばりすぎというか、聞いていてムカつく。思わず靴を投げそうになった(^^;; とまあ、それはともかく、「25%ありきで、その達成に向けたメニューを示すことがこのタスクフォースの使命」だとかなんだとか...
あんさん、それ、ちゃいまっしゃろ!

と言いたかった...で、ちなみにこれに悪乗りしてるのが、国立環境研究所。

また、飯田氏が明らかに間違えているのは、「2℃」の扱い。ラクイラサミットでは、「2℃」という言葉が文書に盛り込まれたが、それは、「2度を越えないようにすべきとする広範な科学的見地を認識」しただけであって、それを目指すと合意したわけではないこと。

自分の都合のいいことだけ自分の都合のいいように解釈するのが有識者なのか?いや、民主党には自分達の思うとおりにしたいという「意図」があってこんな人選をしているのか?ま、そうだろうけど、あまりにヒドイのではないか。国民はそんなこと全く知らないだろうけど、それもまた問題。問題だらけ。

メディア、何してるんだ?ちゃんと真実を伝えろ!

っていうか、そんなところ見抜ける記者なんていないだろうけど。

京大の栗山教授は、農学研究科生物資源経済学が専攻ということで、バイオ関係。バイオ燃料などは大きなトピックスではあるが、どうも現実離れしていて、机上の空論合戦を楽しむといったところか。CVM(注:Contingent Valuation Method)という手法を使って対策効果を経済的に評価しろとか、METIの産業技術総合研究所のLIME(注:Life-cycle Impact assessment Method based on Endpoint modeling(被害算定型環境影響評価手法))では、1トンCO2を削減すると1,737円の効果があるとかないとか。で、それがどーしたってんだ?現実とのリンクが切れていて、私にゃよく分からん、悲しいけど。

そんなどーでもいい議論の中で救われたのは、地球環境産業技術研究機構の秋元氏による「中期目標検討委員会では、政府の圧力を受けて数字を作ったように聞こえるが、科学的に妥当なことを結果として出したのであって、政権が変わろうがなんだろうが科学的に正しいものを示すよう最大限の努力をする」といった発言。これにも飯田氏がイチャモンつけてたりして。もう議論がかみ合ってないし、民主党の思うようにしたい、その
口実作り
をしているだけのようで、見ていて気分が悪くなる。(;゚;Д ゚;)ブェッ. _| ̄|○

次回は、10月27日(火)10時~13時。ま、何も進みそうにありませんな~

関連:
「地球温暖化問題に関する第1回タスクフォース会合」申し込み~
「地球温暖化問題に関するタスクフォース」って検索したら...
これ、まず実験的にやってみるというのが面白いと思う!



 
参考:背景となる動きに関する報道

温暖化閣僚委、菅副総理ヘッドで負担試算のチーム設置へ
 政府は7日、首相官邸で地球温暖化問題に関する閣僚委員会を開き、温暖化対策で生じる経済効果や負担に関する試算と、途上国支援の枠組みを検討するため2つのワーキングチームと有識者懇談会を設置することを決めた。菅直人副総理・国家戦略担当相のもとに、経済産業省、環境省などの副大臣、政務官によるチームを置く。2013(平成25)年以降の温暖化対策の国際的な枠組みを決める国連気候変動枠組条約第15回締約国会議(COP15)が開催される12月までに結論を出す。

 鳩山由紀夫内閣は、「2020年までに温室効果ガス排出量を1990年比25%削減する」との中期目標を掲げ、国際公約とした。これまでの政府の試算では、25%削減を国内での対策だけで実現するには総額190兆円の省エネルギー・新エネルギー関連投資のほか、1世帯当たり年36万円の負担や、生産活動の抑制などが必要で、実質国内総生産(GDP)を3・2%押し下げるとされた。

 ただ、鳩山内閣の掲げる25%削減は、国内での対策だけでなく、森林による二酸化炭素(CO2)吸収や他国からの排出枠購入とで達成するとしている。このため、既存の試算内容を抜本的に見直すとともに、温暖化対策を強化することによる経済に対するプラス効果も明らかにする考えだ。

 また、途上国への資金・技術移転の枠組みとして、鳩山由紀夫首相は「鳩山イニシアチブ」を提唱しており、試算と並行して具体的な内容を詰める。
経済成長との両立目指す 温暖化対策で検討チーム
 政府は14日、地球温暖化対策をめぐり、麻生内閣時代に出た国民負担試算をやり直す検討チームの初会合を開き、新試算と併せ、鳩山由紀夫首相が掲げる中期目標と経済成長が両立するような具体策を策定する方針を確認した。

 試算には、排出量取引制度などの影響も盛り込む方向。

 首相は2020年までに温室効果ガス排出量を1990年比で25%削減する中期目標を掲げたが、麻生内閣での試算では、この目標達成に必要なコストは1世帯当たり年間36万円になっている。

 検討チーム事務局長を務める小沢鋭仁環境相は記者団に「科学的、客観的に計算し直したい」と強調。新試算には、国内での排出量取引制度や地球温暖化対策税の影響のほか、温暖化対策を取らなかった場合にかかるコストも反映させたいとの考えを示した。

 試算やり直しの専門家集団には、麻生内閣でも試算を担当した国立環境研究所や日本エネルギー経済研究所などが加わる。この日の会合ではまた、排出枠を海外から購入する可能性も踏まえ、国内削減分を10%、15%、25%の3通り想定して分析すべきだとの意見も出たという。

Commented by neo at 2009-10-26 20:11 x
飯田哲也なんて利害関係者。そんな人間が評価する側にいるのはおかしい。メディアは指摘すべき。
Commented by eco-kirai at 2009-10-27 22:57 x
民主党には自分達の思うとおりにしたいという「意図」があってこんな人選をしているのか?
経団連の関係者が外されたよう...
by yoshinoriueda | 2009-10-24 22:36 | エネルギー・環境 | Trackback | Comments(2)

清涼剤はSilicon Valleyの抜けるような青い空。そして・・・


by yoshinoriueda
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