「排出量取引制度12年度以降に創設 温暖化法素案に明記」とは?国民の意見は無視?
2010年 02月 10日
政府が今国会に提出する地球温暖化対策基本法案の素案が9日、明らかになった。企業ごとに排出量の上限を定め、過不足分を企業間で売買させる国内排出量取引制度の創設を明記し、基本法施行後1年以内に関連法を定めるとしている。小沢鋭仁環境相は、同制度の2011年度の実施を目指していたが、制度設計に必要な時間を考えると、早くても12年度以降となりそうだ。とのこと。基本法なのに、「前提条件」が入っていたり、数字が書き込まれていたり、さまざまな制度の導入が挙げられていたりと、なんだかパッチワークのような素案をイメージしてしまうが、こんな法案を他の省庁は許すのか?
素案は環境省を中心に作成、8日から関係省庁との本格調整を始めた。3月上旬にも閣議決定、今国会での成立を目指している。
素案は、20年までの温室効果ガス排出削減の中期目標を「1990年比25%減」としたうえで、これまで通り「主要国の公平かつ実効性がある国際枠組みの構築と積極的な目標の合意」を前提条件としている。ただ、国内排出量取引制度などの施策については、国際交渉の動向にかかわらず、積極的に導入するとしている。同制度は産業界の反発が根強いが、「温室効果ガス排出削減が確実に実施される」とし、施策の柱と位置づけている。
素案では、排出削減のため、太陽光や水力、風力、地熱などの再生可能エネルギーの導入を進めることも盛り込んだ。現状はエネルギー消費量の8%程度だが、目標を「20年までに20%程度」と設定。家庭の太陽光など、発電した全量を電力会社が高く買う「固定価格買い取り制度」の創設も挙げた。
地球温暖化対策税(環境税)については、10年度の税制改正大綱の通り「11年度からの実施に向けた成案を得るよう検討する」としている。
小沢環境大臣へのメッセージに対するパブコメ、いわゆる「地球温暖化対策の基本法」の制定に向けた意見の募集の結果の概要は、すでに紹介したとおり、
中長期目標については、「25%」の目標の「前提」を堅持すべきという意見が521件もあり、また、国民生活への影響等が明らかになっていない状態で先行して決めることに反対する意見は490件。となっている。これらの意見は、聞き置くだけだったのか?単なるガス抜きか?
環境税導入については、反対意見が348件、きちんとした分析結果を示し国民の判断を仰ぐべきという意見が230件。
国内排出量取引については、産業の競争力を低下させ国民生活に悪影響を及ぼすという意見が178件、公平な割り当てが実施できないという意見が142件、排出権購入により国富が流出するという意見が124件。
誰がみても、民主党の今のやり方に反対する意見が多いのは明らか。もっとちゃんと分析し、具体的対策を示し、国民の判断を仰ぐべきだということだろう。これらの意見を小沢環境大臣は重く受け止めるべき。
民主党は、きちんと説明責任を果たすべきだろう。前原国土交通省大臣がトヨタのリコール問題について「きちんと説明責任を果たすべき」と言っているようだが、小沢幹事長もカネの問題について説明もしないし、民主党こそ、国民にちゃんと説明すべきではないだろうか。
これから省庁間協議が始まるようだが、各省庁は、このような国民の声もふまえつつ、「毅然とした態度」で対処してほしいものだ。