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CVCA(Customer Value Chain Analysis)は「見える化」のツールである

スタンフォード大学で機械工学を教えている石井教授の講演を聞く機会に恵まれた。大学では、Design for Manufacturabilityという講義をされており、その中で、Customer Value Chain Analysis(CVCA)という考え方を実践されている。

CVCAとは、お客さまの声を聞き、それを仕様に落とし、生産に展開していくというものである。主に、メーカーの商品開発を題材とし、利害関係者の間のお金のやり取りや、文句(情報)のやり取りをマップに落とし込み、どんな価値がどこで誰に提供されるのかということを分析していくものである。

商品を開発するに当たっては、開発者の思い入れなどが強くなりすぎ、市場のニーズとのズレが大きくなることがある。それを企画・設計段階で構造としてとらえておくために、CVCAが使われることを想定している。

実際、事業を進める上では、ビジネスモデルの作りこみの段階で実施されていてしかるべきであるが、自分たちで作っていても、そのビジネスモデル自体が「独りよがり」になることがある。品質管理・品質保証に関するプロジェクトに参加していたときに感じたことであるが、社内の視点だけでは、行き詰まることがある。そんなとき、社外の専門家の視点が入ることによって、「気づき」が生まれることがある。このような体験をすることで、外からの視点の大切さを肌で実感することができる。

CVCAでは、多くの関係者が、一緒になって、お金やモノ・情報の流れを一枚の図に落とし込み、「見える化」することによって、共有していくことがポイントとなるといえるだろう。CVCA自体は新しい発想でもなんでもない。これは、共有・共感を作り出すためのツールであり、実践するかしないかである。石井先生は、授業自体が実践の場であるとおっしゃっていたが、まさにその通りなのだろう。

参考:石井教授の研究室
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  by yoshinoriueda | 2004-07-31 02:50 | シリコンバレーで感じる! | Trackback | Comments(0)

イノベーションについて

一橋大学の米倉先生の「企業家の条件」(ダイヤモンド社)についての感想からイノベーションの話がmanutd04さんの「イノベーション実現へのインフラ」maida01さんの「大企業はイノベーションの担い手になり得るか?」にTBされているが、今回は、イノベーションとは何かということについて、改めて考えてみたい。

米倉先生は、企業家の条件として、
 1.時代の流れを読む
 2.イノベーションの真髄を理解する
 3.経営学の基礎を身につける
 4.失敗を恐れずにチャレンジする
という4つの条件を挙げ、2番目の条件の中でイノベーションについて解説している。

この中で、イノベーションの特徴を捉えて分類するために、技術と市場の2つの軸で分け、さらに、それぞれの軸を、既存技術の破壊or既存技術の保守強化、新市場創出or既存市場深耕と考えることによって、次の4つのグループに類型化している。(p.94-96)
 1.構築的革新(Architectural innovation) 破壊技術&市場創出
 2.革新的革命(Revolutionary innovation)  破壊技術&市場深耕
 3.間隙創造的革新(Niche creation)) 保守技術&市場創出
 4.通常的革新(Regular innovation) 保守技術&市場深耕

多くの人は、イノベーションといえば、既存技術を破壊するようなプロダクト・イノベーション、特に、構築的革新を想像するかもしれない。しかし、既存の技術を熟成・精緻化させるようなプロセス・イノベーションも、ある種の「新しさ」を作り出すイノベーションなのである。

ちなみに、これらを企業家の類型に言い換えると次のようになるそうである。(p.96-98)
 1.構築的革新=企業家的企業家
 2.革命的革新=技術志向的企業家
 3.間隙創造的革新=市場志向的企業家
 4.通常的革新=経営管理者的企業家

上記の類型に関するそれぞれの説明や例は「企業家の条件」(米倉誠一郎著、ダイヤモンド社)、および「イノベーション・マネジメント入門」(一橋大学イノベーション研究センター編、日本経済新聞社)に譲るが、要は、大企業では、これらのタイプのイノベーションやそれを先導する企業家が存在する土壌となることもできるので、多くの人がこのようなイノベーションの「ポジション」を理解して日々の活動を進めることが大切であると思う。

イノベーションを考えるときには、さまざまな道あるいはポジショニングがあることから、企業や集団の規模や形態が問題ではない。だからこそ、大企業であってもまだ進むべき道はあると思うし、中小企業やベンチャー企業でも、もちろん道はあると思う。そして、真のイノベーションこそ、企業や集団の成長にとって不可欠であり、それを受け入れ、活用していくことが大切なんだと思う。少なくとも今、私はそう信じている。
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  by yoshinoriueda | 2004-07-24 14:29 | いろいろ読んで考える! | Trackback | Comments(0)

大企業はイノベーションの担い手になりえるか?(2)

maida01さんのblogにTrackbackしていただいたこともあり、「大企業はイノベーションの担い手になりえるか?」について、もう一度いろいろ考え、また、文献や資料を漁っていた。

確かに「大企業、ベンチャーという会社の形態の問題ではない」のだが、米倉先生の発言でこのあたりを補足している部分があったので紹介しておきたい。

「二一世紀のイノベーションのパターンというのは、大企業がしっかりとビジネスを進めている専門的分野では大企業自身が研究開発を行なう。不確実性の高いところはベンチャー企業が担いつつ、A&Dで大企業の研究開発を補完する。確実さがまったく見えないところは、トライ&エラーというゲームが必要だから、シリコンバレーのような「数を撃つ」モデルをつくる。しかし、いずれの場合も資本主義の論理で動くから、二〇年もかかる研究とか誰も考えないような研究は、大学や国公立研究所が担う。」(「企業家の条件」(米倉誠一郎、ダイヤモンド社) p.82)

米倉先生の考えの中で特徴的なところは、A&D(Acquisition & Development)という戦略が選択肢として存在するか否かということだと思う。このような選択肢を採っている企業として代表的なものはシスコ・システムズが挙げられる。シスコ・システムズは、本業のルータの開発を行ないつつも、シリコンバレーを中心として存在するベンチャー企業を買収しながら、必要となる技術を内部に取得し、さらに開発を続けている。シスコ・システムズは、技術の目利きとなり、ベンチャーキャピタルとなり、また、ベンチャービジネスの出口の一つとなっている。

また、「イノベーションを実現するには経営者の方針・指導力の方が問題」という主張については、条件節が必要だと思う。

例えば、Harvard Business Review(Volume82, July-August 2004)に、"Darwin and the Demon: Innovating Within Established Enterprises"(Geoffrey A. Moore, p.86-92)という記事があるが、ここでは、ライフサイクルという考え方に見られるように、時間軸に沿って、イノベーションの対象も変化し、また、それぞれのイノベーションの段階を引っ張っていく人も変化すると述べている。ライフサイクル後期のビジネスモデルや構造に対して変化を促す役目は、CEOの主導の下でGM(部長)がチームを引っ張っていくのが望ましいが、初期のプロダクトイノベーションでは、GMが主導の下で技術マネジャーがチームを引っ張っていくのが望ましい。

このように、イノベーションを推進するには、常にトップの姿勢を問うのではなく、市場との対話の中で、誰が牽引するのが望ましいかを考えなければならないと思う。また、各組織にはそれぞれ本来の役割があり、それぞれがその本来の役割をうまく演じきるとき、新たなイノベーションの土壌となるような気がする。
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  by yoshinoriueda | 2004-07-19 11:44 | いろいろ読んで考える! | Trackback(2) | Comments(1)

スモーク・フリーから学ぶ社会に組み込まれた仕組み

3週間ぶりにシリコンバレーに帰ってきた。日本はちょうどうだるような暑さが続いていたので、長い3週間だった。関西空港のラウンジで、泡がちょうどいいくらいに注がれたビールを飲みながら、挨拶のメールを書いた後、約10時間でロスに到着した。この関空のラウンジにいるころから周りの空気が煙たくないことに気づいた。

逆に言えば、ほんの3週間の滞在中でも、日本はいたるところで喫煙を目にし、煙を吸い込むことが多かったということである。もともとタバコを吸わないので、タバコの煙には敏感だったのだが、しばらくアメリカで煙の無い生活をしていて、すっかり違いを忘れていた。

タバコを吸わない人は、周りに煙があれば能率は落ちる。どの程度生産性が落ちるかは知らないが、明らかに落ちる。アメリカ全土そうなのかもしれないが、少なくともシリコンバレーでは、喫煙者は、決められた場所でタバコを吸っているため、タバコの煙に触れる機会が少ない。

これはまるで、社会の仕組みの中に、お互いを思いやる装置が組み込まれているようである。たかが喫煙、されど喫煙。アメリカに学ぶべきところの一つは、このように移民などによってもたらされる多くの異なる文化を混在させるために必要な仕組みだと実感させられた。
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  by yoshinoriueda | 2004-07-18 10:17 | シリコンバレーで感じる! | Trackback | Comments(0)

標準化の大切さ ([新]銀行論 - 銀行とノンバンクが交錯する時代)

[新]銀行論(大庫直樹、ダイヤモンド社)を読んだ。銀行が匠の技で支えられていて、ノンバンクは標準化を競争力の源泉にしているという視点は新鮮であった。

全体的に経営者の視点で書かれていることから、漠然とした表現や大所高所からの意見が多いものの、生活動線がマイクロエリア・マーケティングのキモであり、金融サービスがあくまで手段であるというのは、さすがマッキンゼーのコンサルタントらしい本質を突いた表現だと感じた。

標準化を推進し、それを徹底的に使いこなし、どんどんと改善していく。それがすさまじい競争力を持つ。標準化といえば、マニュアルをつくっておしまいではない。それが、スタートである。それを理解し、組織の中に埋め込むことこそ大切な気がする。
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  by yoshinoriueda | 2004-07-11 22:32 | いろいろ読んで考える! | Trackback | Comments(0)

100億稼ぐ男に近鉄を任せてみれば・・・

近鉄の買収に名乗りをあげたことで注目を集めている堀江貴文氏の著書「100億稼ぐ仕事術」は、100億円の事業を立ち上げるにはどうしたらいいんだろうという素直な(?!)気持ちから探していて、本棚に1冊佇んでいるのを見つけた。買ってから気づいたのだが、八重洲ブックセンターでは、エスカレータをあがったところに目立つように平積みにされていた。

1972年福岡生まれ。日本のフォーク界を支えてきた人材を輩出し続けている福岡。1972年生まれ。まだ若い。がんばってるな~!いろいろ軋轢もあったんだろうけど。

読み進めるにつれて、自分はこんなホテルでくすぶっていていいんだろうかと考えてしまった。内容は「ありきたり」のことである。でも最後の言葉には共感できるところもある。

*** p.206-207
 この世の本質は「諸行無常」である。人生においても、歯を食いしばりながら努力を重ね、常に走り続けないと、自分という人間などすぐに世の中から消え去ってしまう。
 「人間の存在意義などない」と私は考えている。常に刺激を受けて、感動し続けられるような挑戦を続けていけば、存在意義など考える余裕すらなくなるはずだ。
 私は常にシビレル人生を歩み続けて生きたい。
***

「存在意義など考える余裕すらなくなる」くらいに没頭することって大切だと思うし、今、自分はまだその没頭できることを探している。見つけられるのか、今はそれに没頭しよう。

====================

さて、近鉄という球団を買収するということについては、別に変な話でもないような気がする。オエライ方々が「金を出せばいいってもんじゃない」といっていた映像がTVで流されていたが、金の使い方を知らない人に任せていてもみんなシアワセにはなれないんじゃないだろうか?時代のギャップを感じさせられる。

堀江氏なら、気張らず、フツーにやっていけるような気がするが...
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  by yoshinoriueda | 2004-07-05 08:32 | いろいろ読んで考える! | Trackback(1) | Comments(0)

人は許しあわなければならない・・・

a0004752_214419.jpg「人は、許し合わなければならないんだ・・・憎しみは憎しみを呼ぶ・・・戦ってはいけない・・・」

映画CASSERNでは、そんなメッセージを伝えてくれたような気がする。

Cassernとは、互いに争わないようにするための神の名である。アニメのキャシャーンは記憶の彼方に飛んで行ってしまっている私にとっては、一つの新しい映画として受け入れることができた。

イラクで殺害された韓国人兵士の家族は、「イラクを許す。あなたたちを愛します。」というメッセージを送っていた。アニメ GUNDAM SEEDでもキラ・ヤマトは、憎しみが憎しみを生む悪の連鎖を断ち切ろうと戦った。

映画が上映されていたのは、新宿ピカデリー4という小さな画面の映画館。40人ほどしか入らない小さな部屋で、ホームシアターのような小さな画面で上映された。この場末の雰囲気がCASSHERNの描き出す戦争の悲惨さに相まって、さらなる寂しさを醸し出しているようだ。エンディングで宇多田ヒカルの「誰かの願いが叶うころ」が悲しく響く。

涙は溢れはしなかったが、悲しみとそれを生み出す争いは避けなければならないんだというメッセージが伝わってきた。いい映画だったと思う。
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  by yoshinoriueda | 2004-07-04 21:25 | つれづれなるままに... | Trackback | Comments(0)

大企業はイノベーションの担い手になりえるか?

六本木ヒルズのそばの本屋で「企業家の条件」(米倉誠一郎、ダイヤモンド社)という本をみつけた。手にとったのは、米倉誠一郎さんのほんだったからだ。以前、なにかの講演会の後、何度かメールでやりとりしたことがあったりしたため、米倉さんの本は常にチェックしていたつもりであったが、この本は恥ずかしながら初めて見た。

この中で、イノベーションのインフラとして、以下のものがあげられていた。
 (1)大企業-計画合理性の担い手
 (2)ベンチャー企業-数を打つゲームのプレイヤー
 (3)大学・公的研究所-資本主義ルールを離れた長期的な研究開発の支え役

シリコンバレーは(2)になるようだが、日本の大企業は(1)になりえるのだろうか。

「・・・大企業がしっかりとビジネスを進めている専門的分野では大企業自身が研究開発を行なう。不確実性の高いところはベンチャー企業が担いつつ、A&Dで大企業の研究を補完する。」(p82)

このように分業ができれば、新たな成長の道を考えることができるかもしれない。

自分はなにをすべきか。今、上記の(1)に属する大企業にいる以上、新しい成長戦略を支えるべきではないか?そんな気がする。シスコ・システムズという生きた見本を前にして、M&Aの考え方も理解しつつ、もうすこしシリコンバレーでいろいろ学ばなければならないと感じた。
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  by yoshinoriueda | 2004-07-04 08:14 | いろいろ読んで考える! | Trackback(1) | Comments(0)

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