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「京都議定書以後の国際枠組みにおけるセクター別アプローチ」by GISPRI

昨日、財団法人地球産業文化研究所(GISPRI)主催の国際シンポジウム「京都議定書以後の国際枠組みにおけるセクター別アプローチ」が開催されたので傍聴。朝から東京は雨。昼間は雪になっていた。

耳タコ状態の「セクター別アプローチ」。日本の規制自体が縦割り、すなわちセクター別で行なわれており、そういった構造からいえば自然に思えるが、国際交渉の場では、特に途上国から総スカンを食らっている状態で、いまや風前の灯といった感もある考え方に思える。それでも、国際競争に曝されている鉄鋼業界などからすれば、この考え方が採用されるかどうかはまさに死活問題。

あまり期待せずに出かけたのだが、予想外に面白かった。例えば...
【数値目標について】
・(温室効果ガスの削減or排出)量へのコミットが大切と考えている人がいる。しかし、量の予測は不確実性が大きい。そんな不確実性が高いものをコミットするのは無理がある。

【米国の動向】
・米国は、キャップ&トレード導入については、温暖化対策の一つのオプションとして検討している段階。ただ、無償配布をどうしたらいいかが定まらないので、まったくまとまっていない状況。企業は(無償配布など制度設計に)利己的な主張を繰り返しているのみ。全米統一のETS(排出権取引市場)ができるとは思えない。

・米国政府は「絶対量」による規制を考えているが、米国企業は「原単位」について議論しており、議論は平行線をたどっている。原単位による管理のほうが技術的確実性があるのだが...

・米国の予算を見ていると、「APP(クリーン開発と気候に関するアジア太平洋パートナーシップ)」に対して2億ドル以上が組み込まれている。鉄鋼、セメントに期待が寄せられている模様。

【国際的枠組み】
・国際的枠組を作る必要性はあるのか?国内対策だけでは不十分なのか?二国間協議などでも枠組み作りは可能。

・国際的な取り決めがなされて、それがいきなり国内に降りかかってくるというのはナンセンス。まずは、各国が温暖化問題に対する考え方を整理し、それにそって、官が政策を展開し、民が活動を行なうということが大切。その上で、政策について相互にチェックをするというのが筋ではないか。

【IPCC第5次報告書】
・石炭の使用が急激に増えている。まさに石炭ルネッサンス。石炭の使用は今後も長く続くと予想。CCSの重要性が増す。

・No Regret Option(投資が回収できるような対策)があるにもかかわらず、それが導入されていないという現実がある。なぜそうなるのか分析が必要。なお、No Regret Optionの内容は、AR4(第4次報告書)から大きく様変わり。

【鉄鋼業界の例】
・CDQ(コークス乾式消火設備技術)は2000年代になって、中国に一気に導入され、110基までになっている。1基あたり30~60億円かかるが、1基あたり年間10万トン程度の二酸化炭素を削減することができる。

・CDQが普及した理由は主に3つ。1つ目は、90年代終わりにNEDOとともに新日鉄が中国に紹介して、中国側が理解したこと。2つ目は、現地とのJVを活用して、機器等を供給し、コストを下げたこと(?)。3つ目は、第10次、第11次の国家計画でCDQを導入することと政府が位置づけたこと。

・実際、エネルギーベースで年間2~3割を回収できる。排出権による回収は数%。特許によるコスト負担は0.1%程度。この例をみれば分かることは2つ。1つ目は、排出権だけでは、プロジェクトを採算ベースに乗せることは難しいということ。2つ目は、知的財産による障害が喧しく叫ばれているが、実際はほとんど障害にはなっていないこと。

・No Regret Optionが普及するためには、意識付け、国による政策的位置付けの明確化がポイント。
いろいろと示唆に富む内容もあり、ポーランドのポズナンで知り合った人たちとも再会でき、有意義な東京日帰り出張だった。
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参考資料:
インド/コークス乾式消火設備( CDQ ) モデル事業実施具体化調査」(pdf)@NEDO
アジアに広がる日本のエネルギー技術」(pdf)@NEDO(CDQ紹介パンフ)

More (開催案内メモ)
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  by yoshinoriueda | 2009-02-28 16:21 | エネルギー・環境 | Trackback | Comments(0)

英国のFITに関する関係者からのコメント

2009.2.26の電気新聞の「海外潮流」というコラムに「英国、FIT導入に向け問題点を検証」と題した記事が掲載されていた。
英国では、RPS制度が採用されているが、政府は小規模な再生可能電源を対象にして固定価格買取制度(フィードインタリフ=FIT)を導入する方針である。現在、政府案(昨年6月)に対するパブリックコメントの集約作業が行われている。政府案では、小売事業者に対し買取義務を課し、それに伴う費用負担が公平となるよう、基金の創設が示されているが、対象となる電源の規模・種類、買取価格の設定方法など詳細面は、パブリックコメントに付している。これまでに関係者から発表されてきたコメント等では、以下のような問題点が指摘されている。

 (1)余剰電力が発生しなければ、最大の懸案事項である系統コストの増加という問題は発生しない。自家消費する部分に高い補助金を入れて、より多くの家庭に普及させる一方で、余剰を発生させないようなインセンティブが必要、(2)スマートメータが普及するまでの間、プロファイリングとの整合性をどのようにとるのか、(3)需要過保護の観点からFITに係わる費用は税金もしくは排出権取引制度(EU-ETS)の収入を充てるべき、(4)余剰買取価格を電気料金と同額にすべきという意見もあるが、余剰の多い需要家には電気料金の高い事業者を選択するインセンティブが働き、競争市場を歪める可能性がある、(5)ネット計量とグロス計量とでは、付加価値税(VAT)の扱いが異なる点に注意をすべき、(6)規模が同じでもRPSが適する施設とFITが適する施設がある。バンド(例えば250kW~1000kWなど)を設けて、その中の発電設備は選択性とすべき、(7)FITの適用を受けるために、開発規模を縮小する恐れがある、(8)産業用需要家の国際競争力が低下しないようにFITに係わる費用負担は、対象需要家内(例えば家庭用のみ)で完結させるべき、(9)大家が設置して、テナントが利用する場合のコスト/利益の配分はどうするのか、(10)費用負担の公平化では、供給事業者の補給やインバランス対応に係わるコストが、購入ポートフォリオや規模によって異なることに配慮すべき-。

 パブリックコメントの集約結果、および政府見解は、まもなく発表される。
RPSとFITを並存させて、FITは小規模な再生可能エネルギーにのみ適用するという考え方だが、これは、太陽光発電設備が家庭に導入されることを促す施策なのだろう。(7)の逆インセンティブのようなものを含めていろいろ懸念される点はあるようだが、日本式FITはどうなるのかな。
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  by yoshinoriueda | 2009-02-27 06:50 | エネルギー・環境 | Trackback | Comments(0)

やはり強制的な排出枠を割り当てることによる排出量取引制度は不要?!

フジ産経ビジネス 2009/2/26 「【「ポスト京都」への道】(3)排出量取引制度」によると、
EUは05年から07年にかけ、キャップ・アンド・トレ-ド方式の排出量取引制度を導入。電力など主要企業に排出枠のキャップ(上限)を課し、毎年末にキャップの達成を求めて活発な取引が行われた。・・・

しかし、EU域内で推進派として知られるドイツの企業からは「工場を海外に移転させざるを得ない」といった声が上がり、政府として反対を唱える国も出ている。

「新たな制度では、二酸化炭素(CO2)排出量の多い産業を対象外に検討が進んでいる」

英科学誌「ネイチャ-」の07年10月号で、「京都を捨て去れ」とのタイトルで共同論文を発表したロンドン大LSE校、グウィン・プリンス教授はこう指摘したうえで「欧州型モデルは抜け殻だ」とまで言い切る。
とのこと。「キャップ&トレード 「日本への導入は不要」」というエントリーでも示したが、強制的な排出枠を割り当てることによる排出量取引制度は、やはり日本には必要ないのではないだろうか。

以下、記事クリップ
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  by yoshinoriueda | 2009-02-26 22:10 | エネルギー・環境 | Trackback(1) | Comments(0)

地球環境のために離婚しないという選択?!

離婚は地球環境をさらに悪化させる=豪上院議員 | Excite エキサイト」という記事によると、
 オーストラリアのスティーブ・フィールディング上院議員は24日、議会の環境問題に関する公聴会で、離婚は地球の気候変動をさらに悪化させるだけだと発言した。

 AAP通信によると、フィールディング上院議員は、夫婦が別離することによってより多くの部屋や電気、水が必要になり、結果的に二酸化炭素排出量が増えるとの見方を示した。

 同議員は「(離婚という)社会問題があることを理解しているが、現在は環境面での影響もあることが分かっている」と発言。離婚による「資源非効率的なライフスタイル」を考慮すると、地球環境にとっては結婚生活を続ける方が良いと述べた。

 少数政党の家族第一党を率いるフィールディング議員のウェブサイトによると、同議員は16人の子どもがいる家庭で育ち、現在は結婚生活22年目だという。
日本も、少子化が叫ばれている割りには、世帯数が増えている。これは、世代を超えて一つ屋根の下で暮らすということが少なくなっていることや、晩婚化による単身世帯の増加というものが考えられるのかもしれないが、さらに離婚により世帯数が顕著に増えるほどの影響が出てくると、確かに二酸化炭素排出量は増えるのかもしれない。

地球環境のために結婚生活を続ける?!なんだかそれはそれで本末転倒のような気がするのだが(^^;;
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  by yoshinoriueda | 2009-02-25 22:26 | エネルギー・環境 | Trackback | Comments(0)

太陽光発電の固定買取制度導入決定!

経済産業省は、太陽光発電の固定買取制度の導入を決めた。これで、国民全員で太陽光発電のコストを負担する道へ動き出した。

問題まだいろいろ残っている。制度を悪用する輩が出てくることに対する歯止め策が検討されていないし、実際、電力系統が不安定にならないような太陽光発電容量はどの程度なのか詳細には分からないし、パネル製造メーカーがコストを下げるインセンティブを失うことに対する措置がなされていないし...

太陽光発電1000万kWで発電できる電気が、原子力発電所1基分にも満たない程度にしかならないのに、それを一生懸命やって、コストは国民が負担し、メーカーや施工業者が儲かるだけ、という構図を作ろうとしているような気がしてならない。

ただ、世の中の流れは、確実にそちらに向いている。そこに棹を挿したところで、それは徒労に終わる確率が高い。今はただ、流されていくだけ...

 

以下、ニュースクリップ...
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  by yoshinoriueda | 2009-02-25 22:21 | エネルギー・環境 | Trackback(1) | Comments(0)

中期目標検討委員会の第4回、第5回を振り返って

低炭素社会に向けた社会を形成するために、さまざまな政策が議論されている。自分には関係ないと思う人も多いかもしれないが、これらの政策が実施されることにより、経済活動のインセンティブが変わり、購入行動が変わっていくことは紛れもない事実である。現に、太陽光発電の補助金が復活したら、1万件を超える応募があったとか。

いずれにせよ、社会が変わることにより、マクロ環境が変化し、それによって、電気をはじめとするエネルギーの需要が変化することになる。

電気は、一次エネルギーであるガスや石油、石炭などを使って加工された二次エネルギーであり、電源の構成により、二酸化炭素(CO2)の排出量が決まることになる。日本全体のCO2排出量は、発電以外の活動によっても出てくるが、それと合わせて、日本のCO2排出量が決まることになる。

さて、昨年から行なわれている中期目標検討委員会は、「できるか」どうか、すなわち、ポテンシャルがどの程度あって、そして、そのポテンシャルを顕在化させるために、どういう手段があって、という議論がなされる場である。

目標を掲げ、その目標を達成するためにどうしたらいいのかということを考え、それを実現させるために政策を考えるというプロセスは、EUなどにみられるが、日本の場合、「言ったことはやれ」というプレッシャーがかかるせいか、先に、具体的にできそうな目標を模索することになる。これは、言葉には魂が宿っているという言霊思想の影響を受けているかもしれないが、現実的な解決策を立て、目標を達成するという活動を進める上では、すばらしい効果を発揮することもある。方法を考えた上で、目標を立てることで、現実味が出てくる。

現実味のない目標を立てるということは、無責任であり、その目標自体には意味がないということを示すようなものである。だからこそ、地に足のついた議論がなされるべきであろう。

第4回の中期目標検討委員会では、電力業界、自動車業界などの業界からのヒアリングがなされた。第4回電力業界のプレゼン(pdf)は、非常に分かりやすかった。原子力1基分で太陽光1000万kWに相当するが、コストで言えば、原子力で3~4千億円、太陽光なら7兆円かかるという。太陽光の場合、電力系統上の対策費用として、さらに数兆円から数十兆円が必要となる。

果たして、それでも太陽光を採用すべきなのか?「コストの問題ではない、地球のためだ」とばかりもいっていられないと思うのだが。

第5回の中期目標検討委員会では、鉄鋼業界などからヒアリングがなされた。鉄鋼業界のプレゼン(pdf)では、「国立環境研究所の試算が削減ポテンシャルを過大に見積もっている」という事実が指摘されている。例えば、既に100%普及が終わっているにもかかわらず、その技術を導入することによって、まだまだ削減余地があるかのような試算があるようだ。

研究者が実務やビジネスの実態を知らないとはいえ、国の行く末を決める根拠になる数字を、いい加減な形でつくるのはあまりに無責任だと感じる。削減ポテンシャルを大きく見せたいからということで、意図的に操作しているとすれば悪質だ。数字は、計算するものではなく、作るものなので、省庁の利権をかけた戦いとなれば、悪知恵を絞るといったこともありえない話ではないだろう。

いずれにしても、国立環境研究所の試算は、あまりにも理想論ばかり追いかけていて現実味がなく、国益を損なう無責任なものだと感じる。そんなところに、貴重な税金が投入されているかと思うと悲しくなる。

第6回中期目標検討委員会は、3月下旬に開催される模様。中期目標検討委員会に関与している研究機関等は、真摯な分析をされんことを。

参考:地球温暖化問題に関する懇談会  中期目標検討委員会 仮分析結果について
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  by yoshinoriueda | 2009-02-25 22:07 | エネルギー・環境 | Trackback | Comments(0)

キャップ&トレード 「日本への導入は不要」

2009.2.18の電気新聞2面に、世界各国の政治状況を調査・分析するユーラシアグループのエネルギー・資源分野のアナリストであるディビア・レディ氏のコメントが掲載されていた。

記事によると、一部の政府関係者や学識経験者が「キャップ&トレードを導入しないと世界の潮流に乗り遅れる」と危機感を煽っているが、ディビア氏は、「日本への導入は不要」と唱えているとのこと。ディビア氏曰く、
「米国とEUがキャップ&トレードを始めれば、日本も同じようにと思うかもしれませんが、日本は産業界と政府の関係が緊密で、良い協調関係にある」とし「キャップ&トレードを導入しなくても、違ったインセンティブで温室効果ガスを削減できる。省エネや再生可能エネルギーなども拡大できる」と主張する。・・・

「EUは米国にキャップ&トレードを導入してほしいと望み、米国は中国に期待している。日本に対し、それほど圧力がかかるとは思わない」と指摘。「日本はエネルギー集中度や保存の面で、対策がうまく機能している。取り組みが有効に働く限り、導入しなければならないとは思わない。」
とのこと。すでに日本の民間企業は、国際間の排出量取引(ET:Emission Trading)で、EU内の金融機関が発掘したCDM(Clean Development Mechanism(クリーン開発メカニズム))によるクレジット(CER)なども大量に購入しており、いまさら国内で排出量取引を入れたところで、それほど変わらないだろう。

逆に、日本国内に資金が流れ、日本国内だけで話が終わってしまう、といった懸念のほうが出てきそう。もちろん、自虐的な目標設定がなされるだろうから、99%以上の確率でそんなことにはならないと思うが...(^^;;

いずれにせよ、キャップ&トレードが必要なのかどうなのか、政治家や官僚は、ゴックンばかりしてないで、しっかりと目を見開いて議論をすべき?!
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  by yoshinoriueda | 2009-02-24 21:50 | エネルギー・環境 | Trackback | Comments(0)

温暖化ガス25-40%減の中期目標 米特使「現実的でない」

2009.2.21の日経の記事「温暖化ガス25-40%減の中期目標 米特使「現実的でない」」によると、
 米国の地球温暖化交渉の責任者であるトッド・スターン気候変動問題担当特使が斉藤鉄夫環境相に対し、欧州や中国、インドが主張している中期的な温暖化ガス削減目標の達成は「非現実的」と述べたことが分かった。スターン氏の発言は日本の考えと一致する部分が多く、政府は協力体制の構築を急ぐ。

 24日の日米首脳会談では、麻生太郎首相とオバマ大統領が2013年以降の地球温暖化対策の国際的枠組み(ポスト京都議定書)で、日米が協力して主導する方針で一致する見通し。・・・(略)・・・スターン特使は17日に斉藤環境相と会談した際、「先進国の温暖化ガスの排出を20年に1990年比25―40%削減」との目標について、「実現には米国にとって欧州連合(EU)に比べ大きな努力が必要」と述べ、達成は非現実的だとの考えを示した。オバマ大統領の「国内排出量を20年に90年並みに抑制」との公約は「欧州の(削減)努力と異ならない」と野心的な目標であると強調した。
とのこと。やはり数字ぢゃないんだな、これが。斉藤大臣、理解できたかな?
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  by yoshinoriueda | 2009-02-23 22:34 | エネルギー・環境 | Trackback | Comments(0)

排出権価格が低水準で推移しているが...

フジ産経ビジネスの2009.2.21の記事「買い時? CO2排出枠1000円割れ寸前」によると、
a0004752_22183689.jpg地球温暖化対策の一環として国際的に取引されている二酸化炭素(CO2)の排出枠価格が下げ止まらない。国際協力銀行(JBIC)などが公表している国内取引の1t当たりの排出枠価格は、昨年7月に4,000円を視野に入れるピ-クに達した後から下がり続け、今週は1,000円割れ寸前にまで低下。排出枠取引の本場、欧州での取引価格はさらに低迷し、関係者の間では「底がみえない」との悲観的見方とともに、温暖化対策の必要性を踏まえ「絶好の買い時」との見方も出ている。

国内の気配値がピ-クをつけたのは、原油価格が1バレル=147ドルに達した昨年7月。JBICなどが毎週月曜日に発表している取引価格の参考気配値は7月14日に3821円をつけた。原油価格の高騰が比較的値段の安い石炭火力発電所の稼働率を高め、CO2排出量の大幅増につながるとみられたからだ。

その後、気配値は原油価格の急落を受けて下がり始めたが、9月のリ-マンショックを機に急降下。12月には「悪材料の出尽くし感」(関係者)から下げ止まったが、今年に入ってから再び低下傾向となり、2月16日の気配値は1,015円となった。

内外の関係者の間では「実体経済の悪化で工場からのCO2排出量が減り、排出枠の需要も減る」「投資目的で購入した投資家が資金難で売りに転じた」「ウクライナが余った排出枠を売却するとのうわさだ」など売り材料となる話が飛び交った。

排出枠は本来、中国など途上国で行われるクリ-ン開発メカニズム(CDM)事業などによって創出される。CDM事業にはコストがかかるため、本来はコスト分を下回るような取引価格にはならないはずだが、このところは「下回っている」(関係者)という。JBICの本郷尚・環境ビジネス支援室長は「内外の関係者ともこの相場は異常という認識で一致している。排出枠の価格の安値が続けばCDM事業に投資しようとする企業もいなくなり、温暖化対策が進まなくなる」として、安値の問題点を指摘している。


【用語解説】排出枠価格

欧州では市場で取引され、株式同様に取引価格が公表されているが、日本には本格的な取引市場がないため、取引は当事者同士の相対で行われている。国際協力銀行(JBIC)などは2008年4月から、証券会社など8社からヒアリングし、国内の排出枠価格の気配値を発表している。
とのこと。JOI-海外投融資情報財団-排出権取引プラットフォームによると、以下のような感じになっている。
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これに関連して、2009.2.23の日経の記事「排出量価格、世界で急落 半年で3分の1 景気後退の影」によると、
 温暖化ガス排出量取引の市場価格が世界で急落している。最大マーケットの欧州や米国で、昨年夏のピークから半年強でほぼ3分の1に下落。世界的な景気後退を受けて減産を進める企業の排出量が減り「余剰分」となった排出量の売却が増えたためだ。排出量は中長期的に拡大するとみられるが、足元の市況悪化で取引を縮小する市場参加者もあり、温暖化ガス削減策の主要な柱である排出量取引市場の整備が停滞する可能性もある。

 ロンドンにある世界最大の欧州気候取引所(ECX)では、欧州の排出量取引制度(ETS)に基づく先物価格が一時1トン=10ユーロ(約1190円)の大台を割り込み、その後も同10ユーロ前後で推移している。昨年7月の高値(同約30ユーロ)の約3分の1の水準で、京都議定書の削減目標期間に入った2008年以降では最安値圏だ。
とのこと。「京都クレジットの価格はこのまま低迷を続けるのでしょうか――アンケート結果を踏まえて」という解説記事では、
中期的には参考気配は上昇すると見込む人が多いようです。
と書かれているが、果たしてどうなることやら。

ちなみに、値段が乱高下しているということは、投機筋はガッポリ儲けているかも?!
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  by yoshinoriueda | 2009-02-23 22:25 | エネルギー・環境 | Trackback | Comments(0)

【経済深層】経産省VS環境省 縄張り争いでグリ-ン・ニュ-ディ-ル空転

産経の2009/2/22の記事「【経済深層】経産省VS環境省 縄張り争いでグリーン・ニューディール空転」によると、
 地球温暖化防止と景気浮揚を両立させる「グリ-ン・ニュ-ディ-ル政策」に期待が集まる中、日本では経済産業省vs環境省の“暗闘”で、計画策定が遅々として進んでいない。オバマ米大統領の提唱を受け、環境省が日本版の策定をぶち上げたが、経産省は“完(注:「完全」のスペルミス?)無視”の構えだ。「グリ-ンな人たち」の声に耳を傾け、高い理想と目標を掲げる環境省に対し、経産省には産業界を主導し現実的な省エネ・環境対策を実現してきたとの自負がある。長年にわたる両省の反目が、ここでも最大の障害となっている。

■エネ庁をやっつけろ!

 2月10日、環境省が開いた中央環境審議会(環境相の諮問機関)の地球環境部会。環境省の事務方から太陽光発電の発電能力を2030年に05年の55倍に引き上げる案が提示されると、鈴木基之・放送大教授が気勢を上げた。

 「これでナントカ省のナントカ庁をやっつけて!」

 ナントカとは、経産省資源エネルギ-庁のことだ。同庁は2030年に40倍との目標を打ち出している。

 環境省案を実現するには、太陽光発電設備への補助を手厚くするほか、発電した電気を電力会社に割高な固定価格で買い取らせる制度を新たに導入することが条件になる。電力業界は経産省の所管。環境省の“領海侵犯”に対する反発は必至だ。

 同部会は、主に学識者で構成され、産業界の代表は猪野博行・東京電力副社長らごくわずかで、「“野心的”な目標を打ち出すのが、大好き」という。実際、固定価格制に異論を唱えたのは、出席した28人の委員のうち猪野氏ただ1人だけだった。

 鈴木教授の発言には委員から苦笑も漏れたが、一部の委員は、事務方の環境省職員に「こういうのを待っていたんだ」「ようやく中環審らしい提案ができる」と、声をかけた。

 環境省では、太陽光発電の普及で関連産業が活性化され、新たな雇用が創出されるとし、日本版グリ-ン・ニュ-ディ-ル政策にも反映させたい考えだ。

■「根拠のない数字」と反論

 これに対し、エネ庁幹部は「彼らの数字には何の根拠もない」と一蹴する。

 環境省案では、高コストの太陽光発電による電気を電力会社が購入した場合、1kWh時あたり0.86円の負担増となり、その分を電気料金に転嫁することになっている。試算では、標準家庭で月額260円の負担増だ。日本の全5,000万世帯では年約1,500億円に上る。

 一方で2030年までに太陽光発電を05年比55倍にするという目標を達成するには25兆円が必要としている。年間1兆2,500億円となり、消費者の負担増では1割強しかまかなえい計算だ。

 エネ庁幹部の「根拠がない」との主張は、この矛盾をついたものだ。

 足りない分はどうするのか。エネ庁幹部は「(経産省が大反対する)環境税の導入で賄うという環境省の意図が透けて見える」と指摘。「怒るよりもただあきれる」と言い放つ。

■電力業界の反発必至

 もっとも、エネ庁が掲げる40倍も達成は怪しいものだ。同庁では、電力会社に太陽光や風力などの自然エネルギ-による一定の発電量を義務づける「新エネルギ-利用特別措置法(RPS法)」で普及を図る考えだ。

 電力会社は、自前で新エネ発電を手掛けるか、他の事業者から新エネ発電の電気を購入し義務量を賄う。ところが、現在は義務量よりも実際の新エネ発電量の方が多い供給過剰の状態にあり、電力会社による購入価格は安く抑えられており、「ドイツのように一定の価格で固定しないと、新エネ発電の事業化が進まず、普及しない」との批判が根強い。

 このため、エネ庁では、義務量を大幅に引き上げる方針を固め、具体的な検討を始めた。ただ、コスト増を強いられる電力業界の反発は必至で、環境省は「業界の方にばかり顔を向けているエネ庁に大幅な引き上げは無理」との不信を募らせている。

■省益優先で

 日本版グリ-ン・ニュ-ディ-ル策の取りまとめをめぐっては、環境省の政策実現能力を疑問視する声が多い。

 斉藤鉄夫環境相は今年1月6日に、省内でまとめた政策案を麻生太郎首相に提出したが、「環境省だけで考えるから、シャビ-(みすぼらしい)なものになった」と突き返され、各省と連携するよう指示を受けた。

 ところが、その1週間後の13日、エネ庁は庁内各部署にとどまらず、他省とも連携して新エネ・省エネ促進策の具体化や雇用の創出などに取り組む「新エネルギ-社会システム推進室」を新設。環境省のお株を奪う行動に出た。

 あるエネ庁幹部は「グリ-ン・ニュ-ディ-ル政策に関して、彼ら(環境省)からは何も言ってこないし、こっちからわざわざ何か言ってやる必要もない」と冷ややかで、あからさまに環境省を蚊帳の外に置こうとしている。

 庁内からは「1930年代の世界恐慌後に米国で実行されたニュ-ディ-ル政策は失敗だった。グリ-ン・ニュ-ディ-ルなどと期待をするのは間違い」との声まで聞こえてくる。

 一方の環境省も、エネ庁とは距離を置き、アイデアを一般公募したり、有識者からのヒアリングや地方自治体の首長との意見交換を重ねている。

 斉藤環境相は「技術面で非常に優位にある日本が、気候変動問題でリ-ダ-シップをとっていこう」と気勢をあげるが、その技術を持つ企業と太いパイプで結ばれている経産省やエネ庁との対話すらないというのが実情だ。

 このままでは、“省益”優先の霞が関の縄張り争いを繰り広げている間に、日本だけが世界から取り残されてしまうという最悪の事態を招きかねない。
そして、その結果、残されるのは、国民による負担のみ。無責任な政治家が、できもしない約束をしてしまったら最後だ。ゴックンしている場合ではない。
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  by yoshinoriueda | 2009-02-22 22:53 | エネルギー・環境 | Trackback | Comments(0)

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