信頼が支えるイノベーション・モデル

科学技術がイノベーションの芽になる可能性は存在するが、それが全てではない。従来の経営活動では、研究をして、開発をして、設計に落とし込んで、製造して、販売するという「リニア」なモデルが想定されていた。しかし、シリコンバレーで、今、そんな方法を真正面から取り組んでいる企業にはなかなかお目にかかれない。なぜならば、そんな企業の自己満足にだまされるほど、市場はもはや弱くないからである。

Tivoというテレビ番組録画サービスを提供する会社を訪問したときに聞いた話では、「シリコンバレーを出て、フツーの人に話を聞きに行け」と社員に促しているとのことであり、そんな会社は、道を誤ることなく、今のところ順調に業績を伸ばしているようである。

ベンチャー企業が、新しい技術を開発して、買ってくれるような大企業に見せにいって、話を聞くというようなことも同じ作業である。そこで、「そんなものいらないよ」と言われるか、「それなら、こんな使い方があるよ」と言ってもらえるか、あるいは、「それならうちでやってるよ」といわれるか、それは分からないが、自分の進んでいこうと思う方向に行ってもいいという確信を得たり、軌道修正をしたりすることができる。

もちろん、そんな好意的に話が進むことばかりではないが、紹介してくれる人の筋がよければ、ないがしろにされることはない。人間、自分が一番自分のことを知っているようで、実は、自分が一番知らないというようなことがある。そんなとき、親身になって「こうだよ」と言ってくれる人がいることはありがたいものである。

さて、このような行動で見ることができるのは、市場に聞き、市場の声をもとに仮説を修正するという行動である。それによって、あらたな市場を発見したり、お客さまとなるような人・企業とともに新たな市場を作り出していくといったことが起こる。サンプルを試してもらうということは、市場で実験することであり、反応をみて本当のニーズを探したり、軌道修正したりすることにつなげることができるだろう。これがイノベーションが発生する本来のモデルであるような気がする。

もちろん、もう一歩進んで、将来のユーザーと一緒に共同開発するということにもつながっていくかもしれない。こんな親衛隊を持つことは、企業にとって貴重な「資産」となる。このような取り組みをする企業は、もはや、単なるメーカーと呼ぶことはできない。コンセプト・クリエーターというのだろうか、あるいは、コーディネーターといえばいいのだろうか。「ブランド」という呼び方を使う場合もあるかもしれない。いずれにせよ、互いの信頼を基にして、より良いものを作っていくこと、あるいはそれによってよりよい生活を達成していくことが大切である。

  by yoshinoriueda | 2004-09-21 14:44 | シリコンバレーで感じる! | Trackback(1) | Comments(0)

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