中高生の時代に触れるべき「教科書を越える」という感覚
2011年 12月 16日
研究の世界を最初に身近に感じたのは、高校の日本史の授業でした。「教科書にはこう書いてあるが、最近の研究ではこうだ」など学界の水準を踏まえた内容で、「教科書には、先があるんだ」と感動しました。上村紘一郎という先生で、自分でも刀剣を研究しておられ、刀や書状の実物を見せてもらったことが印象に残っています。大学や大学院レベルの教育では、教科書に書かれていることの先にいろいろな世界があることはある意味自明で、それを探求する面白さがあるのだが、高校時代にそういう刺激を得られるということは、なかなかないかもしれない。
ふりかえってみれば、恩師の故・高木正喬先生は、授業では世界史を担当され、自分で作ったプリントを中心に授業をされていたが、教えるということ以外で日本史の研究をされておられ、寺田町の居酒屋で「今、こんな研究をやっているんだ」と、書きかけの論文を見せてくださった。そして、参考文献の欄はしっかりと書いておかなければならないとか、なんだかんだと教えて下さった。
正直に言えば、そのとき、その研究自体の面白さがよく分からず、今となっては、どんな研究をされていたのかも覚えていないが、そういう姿勢と飽くなき好奇心を持ち続けている人物に触れ、刺激を受けたことを思い出す。
今、中学生や高校生は、「教科書を越える」という感覚をもったり、そんな刺激を与えてくれる人たちに出会っているだろうか。。。