改めて「自己責任の意味」「命の意味」を考えさせられた青山繁晴氏の講演会

独立総合研究所の所長であり、「ぼくらの祖国」の著者・青山繁晴氏の講演会は、
「講演は『問題提起』であり、考えるための『きっかけ』である」
ということで始まった。内容は、エネルギー・環境問題に関係した講演会だったが、久しぶりに、本当にいろいろと考えさせられ、また、いろいろと感じるところがあるものだった。
日本人はみな日本国の唯一の「主人公」。戦後、一貫して「主権在民」と教えられている。しかし、「最後に責任をとるのは誰か?」は教えられていない。
最後に責任をとらなければならないのは、我々一人なのだろう。「自己責任」とはよく言われるし、そのような言葉を聞かされながら育ったと記憶しているが、その本当の意味に気づいたのは、恥ずかしながら、大人になってしばらくしてからだった。

そのせいか、いまだに、テレビを見たり新聞を読んだり、何気ない議論をしている中で、「政治が悪い」、「企業が悪い」、「あの人はダメだよね」...などと他人のせいにばかりしているのを聞くたびに、「じゃあ、どうするのか」と問いたくなる。そして、「自分はどうしよう」と問いかけ、自分で自分に答えを出す。今となっては、その問いかけと答えを出すことを繰り返すことの大切さが身にしみる。

もう一つ、大切なメッセージを投げかけてくれた。それは、
「他人のためにできないと、人ではない」
ということ。人は、他人に貢献してはじめて価値があるのであり、命は、自分のためだけに使うのではなく、次の命に引き継いでいくことが大切であるということ。それを、2011年4月23日、南三陸町に入り、骨組みだけになった防災対策庁舎に白や黄色の花がたむけられていることを目にしたという話を例に挙げて説明されていた。

「南三陸町 防災無線」と打ち込んで検索すると、「キャンピングカーで放浪の旅」というサイトの記事が出てきた。防災対策庁舎の建物は、こんな感じだったのだろう。

改めて「自己責任の意味」「命の意味」を考えさせられた青山繁晴氏の講演会_a0004752_21404726.jpg


手向けられた花は、最後の最後まで防災無線で避難を呼びかけた遠藤未希さんらに向けられたものだったとのこと。沖縄の「白梅の塔」は、終戦の年の1945年6月、沖縄で日本軍の看護に従事した若き女性たちの多くが、米軍の猛攻を受けて命を落とした場所に立てられたものであることを紹介し、「命で命をつないでいく」、「人のために生きる」ということは、あの頃の沖縄から南三陸町にまでつながっているという話をされていた。


講演を聞いて、改めて、自己責任と生きる意味を自分自身で問い直した。


と同時に、日本の愚かな政治家や、間違った方向にその能力を使ってしまいがちな官僚たち、現実を直視せず、他人の言うことをスグに信じてしまう大衆のことを思い出し、暗澹たる気分になった。


例えば、福島第一発電所の事故対応に追われる東京電力を国有化するかどうかという議論や発送電分離の議論は、電気が不足するという事実を解決することにはならないし、自由化して競争原理を導入すれば電気料金が下がるという議論も、エネルギーのほとんどを輸入に頼っているという事実と、その中で原子力への依存を減らしていこうという流れの中ではありえない話だが、そういうことをいくら言っても、耳を貸す人はほとんどいない。

民主党の議員などは、「電力会社憎し」という怨念のようなものがあるのかもしれない。信念があっても怨念には勝てない。怨念の強いモノが最後まで生き延びるから...


このブログを通じて、専門的な知見と様々な人の話を聞きながら、今起こっている事に警鐘をならすようなことを述べているのは、これまでの仕組みがいいからそれを温存すればいいとか、変えたくないという思いがあるからではない。そうすることが多くの人のためになるから言っているだけなのだ。そして、あきらめずに言い続ける。それは、自分のためでもなんでもない。人のためになると思うから。


改めて「自己責任の意味」「命の意味」を考えさせられた青山繁晴氏の講演会_a0004752_21351624.jpgそんなことを思いながら帰路につき、本屋で、「ぼくらの祖国」を手に取った。そこには、講演会で話されていたことが書かれていた。面白そうなのは、やはり「手にとる希望の章」だろうか。週末にゆっくり読もうと思う。


***


でも、もしも本当に最後の最後になったら...


もう振り返らずに去ることにする。
お先に失礼~♪
と言って、耳を貸さない人から離れることにする。自分と自分の大切な人を守り、生き延びることを考える。それまでに、できるだけ大切な人たちを増やしていこう〜♪そして、そんな日が訪れないことを願いつつ、今、自分にできることを精一杯やっていくことにしよう。
by yoshinoriueda | 2012-02-02 21:57 | エネルギー・環境 | Trackback | Comments(0)

清涼剤はSilicon Valleyの抜けるような青い空。そして・・・


by yoshinoriueda
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