シリコンバレーの「まちの起業家」に感じる「実力」と「実績」の大切さ
2004年 12月 28日
NASAでプログラマーとして働いていた奥さんとOpenTVという会社でプロジェクトマネジャーをしていただんなさん。2002年の春の終わりに二人とも解雇され、その後、Baskin-Robbinsというアイスクリームのフランチャイズ店を経営するようになったようである。
本当にそれがしたかったからというわけではなかったようだが、3人の子供を養っていくために選択した道のようである。夏場は12人もの従業員を雇っていたようであるが、まだ、自分たちの給与は確保できないようで、だんなさんの技術コンサルティングの仕事でつないでいるようである。
Baskin-Robbinsというのは、日本ではサーティーワンアイスクリームとして知られているフランチャイズで、私も、中学生のころ、天王寺のアポロビルの地下にあった店によく立寄っていた記憶がある。
それはさておき、店を構えるのにかかった2,000万円程度の資金は、これを貯金と、Lenders for Community Developmentという非営利団体(NPO)からの融資でまかなったようである。融資担当者によると、自分がやろうとするビジネスの計画を3年に亘って立て、他のフランチャイズについても言及できるなど、詳細に調査していたということが、融資に至ったポイントのようである。
この例は、GoogleやSalesForce.comなど、いわゆるシリコンバレーのハイテクベンチャーのように、ベンチャーキャピタルからお金を集めて、社会的に大きなインパクトを与えようというものではない。自営業者、あるいは、2002年版の中小企業白書(白書のポイント:PDFファイル)で述べるところの「まちの起業家」である。
このような生き方を選ぶにしても、綿密な準備によって相手を説得できる「計画」ができて初めて、支援してくれる人が現れるということを示している。ましてや、第三者から大量の資金援助を請う場合、例えば、エンジェルやベンチャーキャピタルに請う場合は、さらに根拠のある「計画」が必要であろう。
もう一つの支援は、「信用・信頼」から生まれるのかもしれない。高橋がなりという人は、虎の声という自らのブログで、「僕の場合、出資してくれる人がたまたまいたのではなく、自分で作ったんです。それも、作ろうと思って作ったのではなくて、与えられた仕事を自分のプライドで精一杯努力したら、いつの間にか信用ができていただけです。」と言っているが、まさにこれである。自分のことをよく知ってくれていて、出資してもいいと思ってもらえるほどの信用を得ている人に頼る場合は、このようになるのが理想的である。
この「計画」がまともに作れるようになるためには、「実力」が必要である。そして、「信用」を得るためには、「実績」が必要となる。「実力」を磨き、発揮し、「実績」を築き上げること。これは、起業家だけでなく、社会人として、ビジネスパーソンとして、あるいは、親として、常に求められることだと思う。今に満足することなく、常に上を目指したい。年の瀬に、そんなことを感じた。