「群れる心理」と「内部者の視点」に注意すること−『良い戦略、悪い戦略』

「群れる心理」と「内部者の視点」に注意すること−『良い戦略、悪い戦略』_a0004752_21361157.jpg「良い戦略、悪い戦略」(リチャード・P・ルメルト)では、大きな二つのバイアスが存在することが指摘されている。

一つ目は、「群れる心理」の存在である。
どうしたらいいかわからないとき、他の人のやり方をまねたことは誰にでもあるだろう。だが全員がそれをしたら、誰もがまったく根拠のない行動をとることになる。「ほんとうのこと」は誰かが知っているとみんなが考えているが、実際には誰も知らない。...

 群れの圧力は、「みんなが大丈夫だと言っているのだから絶対大丈夫なのだ」と考えることを強要する。

もう一つは、「内部者の視点」である。
 内部者の視点にとらわれると、自分自身のことや所属する集団、プロジェクト、会社、あるいは国だけが特別で別格の存在になる。そこで、たとえば外部の客観的な統計データを無視しがちになる。運転中に携帯電話で話していると事故を起こす確率が五倍になり、飲酒運転に匹敵するほどになるというのは統計的な事実であり、「外部者の視点」である。ところが内部者の視点に立つと、「自分はとても運転がうまいから、そんな統計は当てはまらない」ということになってしまう。

 外部者の視点でこの状況を見るのは、少しもむずかしいことではない。他国で、あるいは過去に何が起きたかを見ればよい。...

 内部者の視点は、自分たち(自分の会社、自分の国、自分の時代)は特別なのだから、他の時代や他の国の教訓は当てはまらないと考えることを強要する。
これらは断固はねのけなければならない。それが良い戦略をたて、実行するための一つのステップになるのだから。

そのためにはどうしたらいいか。著者は歴史や他国を見ろというが、それだけではないような気がする。

身近な友達や社外の知り合いに意見を求めてもいいし、恩師や信頼関係のある第三者に聞いてもいいだろう。近所の人と言葉を交わしてもいいかもしれない。そういうところにも意外にいろいろな視点があると思うのだが。
by yoshinoriueda | 2012-08-04 12:08 | 思うに・・・ | Trackback | Comments(0)

清涼剤はSilicon Valleyの抜けるような青い空。そして・・・


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