2014年度エネルギー白書:記事クリップ「家庭向け電気料金、震災後25%上昇 産業向けは38%」
2015年 07月 16日
記事:「家庭向け電気料金、震災後25%上昇 産業向けは38%」
政府は2014年度エネルギ-白書を閣議決定した。東日本大震災以降に原子力発電所を長期停止した影響で、日本の家庭向け電気料金は大震災前と比べ平均25.2%、産業向けは同38.2%上昇した。収入が低い世帯では支出に占める電気料金の割合が大きく、影響も深刻だという。
13年度の上昇幅は家庭向けが19.4%、産業向けが28.4%で、14年度は上昇幅が拡大した。14年度の家庭向け電気料金は1kWh当たり25.51円、産業向けは18.86円で、東京電力管内の標準家庭の場合、電気料金は10年度の月6,309円から同8,452円と約34%上昇した。
震災以降、家庭では節電意識が定着しつつあり、電気使用量は10年から14年にかけ7.7%減った。それでも電気料金が上昇したため同期間の電気使用による支出は13.7%増と家計支出全体の0.3%増を上回って増えた。白書は「エネルギ-関連の出費がかさむ一方、教養娯楽などの出費は抑制されている」とみている。
白書によると、今の日本の電気料金は欧米諸国に比べても高い。13年時点の料金を米国、英国、フランス、ドイツと比較すると、家庭向け料金は最も高いドイツに次ぐ2番目。産業向けは5カ国中、最も高かった。
シェ-ル革命で安価な天然ガスを増産した米国ではエネルギ-自給率が改善した一方、原発の停止で日本はエネルギ-自給率が低迷していると指摘した。
日本企業は(米国側と)液化天然ガス(LNG)輸入量の約2割に相当する契約を結んでおり、16年以降に実際の供給が始まる。白書は「(日本の)原油輸入の中東依存度が高く、天然ガスの依存度も上昇している」と指摘する一方、「北米からの原油・天然ガスの輸入が増えれば、エネルギ-安全保障が強化される」と分析している。