ピーク時の電気、130円/kWh以上だけど買う?我慢する?太陽光発電で自衛する?
2015年 07月 17日
東電が試算、1kW時130円-稼働率わずか0.8%、設備維持困難にとのこと。
太陽光の導入拡大によって、安定供給に欠かせないピーク電源を筆頭とする火力発電所の採算性が悪化するとの懸念が高まっている。4月に発足した東京電力の経営技術戦略研究所が行った試算によると、東電のピーク電源の稼働率は0.8%と極めて低かった。1キロワット時当たりの供給コストは日本卸電力取引所(JEPX)のスポット価格よりもはるかに高い約130円で、小売り全面自由化後の競争環境下では事業者が自ら設備を持つメリットが乏しいことがわかった。ピーク電源以外の火力も、太陽光の増加に伴って稼働率や収支が悪化するリスクを抱えており、投資回収が重い課題になりそうだ。
同研究所は、東電の1時間ごとの需要実績(2013年度)を大きさ順に並べた「デュレーションカーブ(需要の持続曲線)」からピーク電源のコストを調べた。ピーク電源の稼働率の低さは定性的には知られていたが、電力会社が需要実績に基づいて分析するのは意欲的な試みといえる。
具体的にはデュレーションカーブのうち、年間の発生時間が200時間に満たない部分を「ピーク需要」と位置付けた。その部分に供給するためには、北海道電力の需要規模とほぼ等しい535万キロワットの設備が必要になる。
一言でいえば、太陽光が増えて、ピーク電源の稼働率が下がり、電力会社(供給側)からみれば、供給コストが増加してしまうということ。
せいぜい25円くらいでしか売れないのに、130円もコストがかかってしまうと、売れば売るほど赤字が膨らむということになる。電力会社からすれば、設備投資したものをどうするかという話になるし、また、これから設備投資をするのは難しいという話になる。
じゃあ、逆に、そのコスト以上で買う人がいるか?というと、そんな価格で買い続けられる人がいるとは思えない。
電気を使う側(買う側)からすれば、ピーク時の高い電気をできるだけ使わないように、我慢するか、ピークをずらすか(ピークシフト)、少ない電力で済むようにするか、あるいは、自分でも太陽光発電設備を設置して、蓄電池とセットにしたシステムを組んで、ピーク時に電力系統から買う電気を減らすという自衛策を講じるか、といったことが考えられる。
そうなると、さらに太陽光が増えて、電力会社(供給側)の設備の稼働率はさらに下がる。電力会社からみれば、これはさらに大変なことになる。電力会社が困ることになるということは分かった。
一方で、太陽光発電設備の導入を促進したい人達からすれば、太陽光発電設備を導入する後押しをもらったような状態になって、追い風なのかもしれない。
ただ、注意しなければならないのは、「風」というのは気まぐれで、追い風がいつまでも続くとは限らないということ。そういう不安定な状態を安定化させるために「制度」があるのだが、この「制度」なるものも、見直しがなされれば状況は変わってしまう。再生可能エネルギーの固定価格買取制度が歪めた市場は、いつになったら落ち着くのだろうか...