@yosinotennin さんのツィートをきっかけにあらためて「指導」を考えてみた

@yosinotennin (ぬえ)さんのツィートによると、
中学生娘「体育が新任の先生に変わってから、突然体育が楽しくなったよ!」 私「優しい先生?」 娘「ううん、ちゃんと技術を教えてくれるの!根性とか気持ちとかやる気だので教えたつもりになってる人じゃないの」
とのこと。

いろいろな人とスキーの話をしていると、「初めてなのに、いきなり頂上まで上がって、怖い思いをしながら、転がりながら、お尻で滑って降りてきた」とか、「転んで立てなくなるからしたくない」とか、およそ指導を受けていないのだろうと想像できる話を聞くことが多い。娘さんの以前の体育の先生は、スキー初心者をいきなり頂上まで連れて行って、「根性で滑ってこい!」というタイプに近いのだろう。

スキーの指導の世界に入って四半世紀になるが、自分自身で重要だと考えていること、大切にしていることは何だろうか。以下、持論。

まず第一に、安全の確保が重要。接触したり、転倒することは、即ケガにつながるからである。だから、転ばない斜面で練習をしていくことも教える側の技量となる。ゲレンデにはいろいろな人が滑っているので、時間をずらすとか、斜面を選ぶとか、いろいろな工夫も必要になる。もちろん、工夫だけでは追いつかないこともあるが、それでも安全には十分に気を付ける必要がある。

第二は、楽しさを伝えること。スピードや重力を感じる楽しさ、自然の美しさ・厳しさ、上達する楽しさ、仲間で共通の体験ができる楽しさなど、スキーにはいろいろな楽しさがある。楽しいと思うことができれば、のめり込むきっかけにもなるし、長く続けていくこともできる。実は、これは、個人の感受性の問題もあり、教える側だけでなく教えられる側の力も必要になるし、教えられる側だけでも、それなりの楽しさを感じることができることもある。ゲームでも一緒だろう。下手でも楽しいし、うまくなればそれはそれで楽しい。

そして、3番目に重要なのが技術。どのようにすればどうなるかという物理に基づき、カラダをどう動かすかということを、頭で理解していくことと、カラダで覚えていくことの両方が整って技術になる。ここは、教えてもらうことの比重が大きいところもある。もちろん、自分の頭で考え、試行錯誤で身に付けていくということもある。教えてもらってばかりいると、教えてくれる人を超えていくことは難しくなるから、自分で考えていくということはとてもとても大切。

ここで大切になるのが「診る目」。我が師匠は、「指導者は、ブーツの中の足の状態がどうなっているかが見抜けなければならない」と言う。足がブーツに力を伝え、ブーツがビンディングを通じて板に力を伝え、板が雪面に力を伝える。この力の連鎖の元になる足の状態がとても大切だという。また、道具を使うスポーツなので、道具の特性を理解していることも必要とのこと。まさにおっしゃるとおり。

昔は、後ろからついて滑り、左右のバランスや、ターンのどのタイミングで、脚や腰の向きがどうなっているかといったことを診つつ、フィードバックしていた。最近は、ビデオカメラも通信技術もディスプレイも進化しているので、ICT技術で埋めていくことができるものも多くなっている。今後、さらにブーツや板の情報なども利用できるようになるかもしれない。

さて、4番目として、ようやく気合や根性が出てくる。練習は楽しいことばかりではないかもしれない。ライバルを上回りたいという気持ちも、上達や勝負には必要。レースや試合などでは、やはり、最後は気合や根性が大事だろう。競うことで上達するという側面もある。うまく競争の要素を入れながら、最後には、気合や根性が必要になるということを知っておくことは大切なことだと思う。

他のスポーツでも同じように考えることができる部分はあるだろう。プレーと指導は違う。プレーの楽しさは、また別の楽しさがあるだろう。自分自身はスキーを教えるようになって四半世紀だが、依然としてまだまだ未熟な部分もある。それを自覚し、自らの技術(指導技術も含めて)を高めつつ、一緒に滑る人が楽しい気持ちになれるように、自分自身も精進していきたい。

(こんな短いツィートでこんなことまで思えるなんて、なんてステキなツィートなんだろ~♪)



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by yoshinoriueda | 2016-05-19 12:30 | POP・movie・スポーツ | Trackback | Comments(0)

清涼剤はSilicon Valleyの抜けるような青い空。そして・・・


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