『オリジン』(ダン・ブラウン)読了
2018年 10月 13日
人工知能「ウィンストン」が主人公ロバート・ラングドンと交わす会話、バルセロナの町で繰り広げられる謎解き、そして「われわれはどこから来たのか。われわれはどこへ行くのか」という問いに対する天才未来学者エドモンド・カーシュの答えに迫っていく描写、どれも面白さがある。
冒頭読み進めていくと、グッゲンハイム美術館の中谷芙二子(なかやふじこ)による「霧の彫刻」が出てきて、親近感もより一層湧いた。なんせ中谷芙二子は氷雪学の中谷宇吉郎博士の娘さんなのだから!
バルセロナには、縁があって、過去に二度、訪れたことがある。一度目は、一泊だけ。二度目は、2週間。グエル公園やカサ・ミラ、サグラダ・ファミリアなど、有名な建築物がいっぱいあって、とてもアーティスティックな町だったことを思い出す。
物語は、スペイン国王と王子の間の関係も描き出している。
「メメント・モリ」王はささやいた。「死を忘れるな。大いなる力を行使する者も、命ある時間は短い。死に打ち勝つ手立てはただひとつ、人生を輝かせることだ。あらゆる機をとらえて思いやりを示し、惜しみなく愛を注がなくてはならない。おまえの目には母譲りの寛容な心がみてとれる。おのれの良心がよき導き手となるだろう。人生に翳りを感じたときは、心の示す道を歩みなさい」
限られた人生をどう生きるべきか。王が王子に伝える言葉の中に託されている。
また、人工知能「ウィンストン」の名前の由来ともなっているイギリスのウィンストン・チャーチル元首相の言葉にも力づけられる。
成功とは、失敗から失敗へと情熱を失わずに進む能力のことだ。
Success is the ability to go from one failure to another with no loss of enthusiasm.
いつでも、合意より対話のほうが重要だ。