「シリコンバレー流?!未来を見据えたインベスタブルなテーマの見つけ方」@大阪大学工学部・工学研究科イノベーションデザインセミナー
2021年 06月 11日
説明の中で、内容として軸に据えたのは、「イノベーションデザイン実践」の講義でも用いられている『ジョブ理論』(クレイトン・クリステンセン他、ハーパーコリンズ・ ジャパン)。講義の関係者の方々は、学生の方も含めて、神戸大学の忽那先生の特別講義なども聞いておられたりするし、事業開発につなげていくときにどう使っていけばよいかというところをイメージしてもらえると腹落ちするのではないかと考えたというところもある。
とはいえそれだけでもなく、今回の講義に合わせて読み直してみたが、破壊的イノベーションの概念が底流に流れつつ、顧客の「ジョブ」を発見する、すなわち課題を見つけるにはとても優れた手法だと思う。ほかにもいろいろな手法があり、例えばネスレの高岡氏のNRPSという手法も基本的にはこれとほぼ同じで、技術系ではない日本人に分かりやすいかもしれないが、言語化されていない部分が多く、考える力・感じる力がなければ難しいと思うので、やはり『ジョブ理論』のほうが圧倒的に良いと思う。
今回は120名くらいの方々に聞いていただいたようだけれど、質問の時間を多めにとって、教授陣や講師・メンターの方々とのQ&Aもやるようにした。教授陣や講師・メンターの方々との議論はレベルが高く、また、学生の方々には、普段耳にしている電気・電子・情報通信関係ではあまり聞かない専門用語も多くて、そういう意味でもレベルが高かったかもしれない。しかし、それでも今後の研究を進めていく上での道しるべの一つとなれば嬉しい限りである。
議論している中で改めて気づかされたこともいろいろとある。例えば、事業開発の時間軸に沿って説明するところは簡単な図しか示していなかったので、そういうところを補足すると、どの段階でどんな手法を用いていくのがよいかがよりよく分かるようになると思う。
なお、今回の講義の内容の一部は、技術情報協会から出版予定の本の中に掲載されることになるのだけれど、ページ数の制約からほんのごく一部になっているので、全体を説明しようとすると別に1冊書かなければならないかもな...と思いつつ、どっかで書くかな...
【今回の講義の必読書として紹介した本】
『ゼロ・トゥ・ワン』(ピーター・ティール,ブレイク・マスターズ:2014年、NHK出版)
・Kindle版
・Audible版
【イノベーションデザイン実践の講義の中で取り扱われている本】
『ジョブ理論』(クレイトン・クリステンセン他、ハーパーコリンズ・ ジャパン)
・Kindle版Kindle版