原油価格高騰の煽りを食らって・・・

原油価格が上昇している昨今、ガソリン価格も一気に上昇しているが、エネルギー関連ベンチャーも窮地に立っている模様。
エネサーブ、主力の自家発電事業から撤退

 エネサーブは18日、主力の自家発電設備の販売事業から撤退すると発表した。原油高の影響で発電機販売が伸び悩んでいるほか、燃料となる重油の仕入れで損失が膨らみかねないと判断した。電力小売りが自由化され、原油が安かった時期には割安な電気を供給できる自家発電機で脚光を浴び急成長してきたが、戦略転換を余儀なくされ、今後は電気の小売りなどの事業を中心にする。
 ・・・
そしてとうとう、石油を代替するエネルギーの一つである太陽光発電のパネルまで値上がりしている模様。NIKKEI NETによると、
住宅用太陽電池、初の値上がり・3―5%、原料高騰で

太陽光発電システムに欠かせない住宅用太陽電池が値上がりした。主原料の多結晶シリコンが半導体材料としての需要増もあって品薄となり、高騰したためだ。京セラなど大手メーカーは販売価格を3―5%引き上げた。原油高で新エネルギー発電への期待が高まるなか、「初の値上げ」(京セラ)が普及に水をさす可能性も出てきた。
 ・・・
とのこと。ちなみに、関西地区を代表するガス会社である大阪ガスも、この7月から9月に適用されるガスの平均原料価格が42,240円/tと、原料費調整制度の調整の上限幅42,850円/tに迫りつつある。(参照:原料費調整制度について
原油価格高騰の煽りを食らって・・・_a0004752_21563573.jpg

原料費調整制度は、原料の仕入れ価格を顧客に転嫁できる制度だが、ここまで原料費が上昇すると、もはや上限値に張り付いてしまって、添加できなくなる可能性が出てきているといっても過言ではないだろう。

では、原料の仕入れ価格を顧客に添加するためにはどうしたらいいのか?それは、料金改定を行なうことである。なぜならば、料金改定を行なえば、料金を改定して、値下げしているようにみせながら、それと同時に原料費調整制度で適用する原料費の上限値も見直すことができるからである。というわけで、原油価格高騰の結果となる大阪ガスの次なる行動は、料金改定と同時に原料費の上限値を見直す(すなわち、平均原料価格を見直す)ことかもしれない。学生時代、最後の最後まで就職先の候補の一つだったこの企業については、注目して動向を見据えたい。
Commented by 白髭 at 2006-08-22 09:39 x
電力会社はどうしているのですか?

原料のポートフォリオが違う(原子力とか水力とか)ので、原油高騰の影響が自家発電とかのようにダイレクトには効かない(これは良いことですね)のだと思いますが、料金改定や値上げはしないのですか?
原材料の価格転与は、電力でもやっていると思うのですが違いましたっけ?

多様な視点のため、また後学のために是非知りたく。
Commented by yoshinoriueda at 2006-08-22 09:56
白髭さん、ご無沙汰です。電力会社も燃料費調整制度があります。
(東京電力の例: http://www.tepco.co.jp/e-rates/custom/shiryou/chousei/index-j.html)

関西電力で見れば、H18/4-6の平均燃料価格は21,400円/klで、上限価格の31,000円/klを大幅に下回っているようです。(http://www.kepco.co.jp/ryoukin/seido/h1810_12.html)

これを見ていると、上限まで余裕があるので、そういった意味では料金改定をして、上限価格を再設定する必要はなさそうですね。

このように、原油価格の高騰による直接的な影響が少ないのは、おっしゃるとおり、「原料のポートフォリオ」があるからでしょう。
Commented by yoshinoriueda at 2006-08-22 10:03
ちなみに、原材料費の調整をしなければならなくなったのは、原油が安かった頃に、消費者からの強い値下げ要請があったことも一因だったと記憶しています。

その曖昧な記憶(^^;によれば、消費者による主張は、原油価格が下がっているのに、料金が上がる、あるいは据え置きされるのはおかしいというものだったように思います。

今考えると、消費者は、原油安の際に値下げをさせたのはいいけれど、逆に原油高になった際の値上げの機会も与えてしまったということになっているような気がします。
Commented by 白髭 at 2006-08-22 18:47 x
なるほど、大変勉強になりました。

なお、私の曖昧な記憶によると(^^;;、通信の世界でも電話接続料で似たような「一度は値下がったと思ったら後で上がって大騒ぎ」というケースがあります。(電話接続料とは、消費者が通話した際、発・着信の両方もしくはどちらかでNTTの回線を利用したら他事業者がNTTに支払う料金)

この接続料を決めるルールを新規事業者に有利な長期増分費用方式(最新の設備を使い最も安価にネットワークを構築したと仮定してコストを計算する手法=既存設備を持つ事業者が不利になる方式)という計算モデルを2000年頃に総務省が採用したのですが、その後2003年になってその計算モデルにそって計算したら、NTTへ支払う接続料の単価が上がってしまったのです。

NTT以外の事業者は「支払いが上がるのは反対」と言い、NTTは「我々が反対している長期増分方式を総務省と他事業者が要請するから採用したのに、その計算モデルに従った結果値上げになったら反対とはどういうことか」と揉めた事がありました。
Commented by 白髭 at 2006-08-22 18:48 x
インフラの競争は、現場の競争と競争を規定する規制の駆け引きの二重構造。新規参入を促し、「健全(って何?)な競争」のためには、どんな制度がいいのかと思いつつ、色んな分野の制度を見てみると、結局は「理想はなく、事業者間の駆け引き」でしかないのか?とため息が出る今日この頃です。
参考:http://www5.cao.go.jp/seikatsu/koukyou/data/sakuin.html

長文コメント失礼しました
by yoshinoriueda | 2006-08-21 22:18 | テクノロジー・環境・ガジェット | Trackback | Comments(5)

清涼剤はSilicon Valleyの抜けるような青い空。そして・・・


by yoshinoriueda
カレンダー
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31