イノベーションについて
2004年 07月 24日
米倉先生は、企業家の条件として、
1.時代の流れを読む
2.イノベーションの真髄を理解する
3.経営学の基礎を身につける
4.失敗を恐れずにチャレンジする
という4つの条件を挙げ、2番目の条件の中でイノベーションについて解説している。
この中で、イノベーションの特徴を捉えて分類するために、技術と市場の2つの軸で分け、さらに、それぞれの軸を、既存技術の破壊or既存技術の保守強化、新市場創出or既存市場深耕と考えることによって、次の4つのグループに類型化している。(p.94-96)
1.構築的革新(Architectural innovation) 破壊技術&市場創出
2.革新的革命(Revolutionary innovation) 破壊技術&市場深耕
3.間隙創造的革新(Niche creation)) 保守技術&市場創出
4.通常的革新(Regular innovation) 保守技術&市場深耕
多くの人は、イノベーションといえば、既存技術を破壊するようなプロダクト・イノベーション、特に、構築的革新を想像するかもしれない。しかし、既存の技術を熟成・精緻化させるようなプロセス・イノベーションも、ある種の「新しさ」を作り出すイノベーションなのである。
ちなみに、これらを企業家の類型に言い換えると次のようになるそうである。(p.96-98)
1.構築的革新=企業家的企業家
2.革命的革新=技術志向的企業家
3.間隙創造的革新=市場志向的企業家
4.通常的革新=経営管理者的企業家
上記の類型に関するそれぞれの説明や例は「企業家の条件」(米倉誠一郎著、ダイヤモンド社)、および「イノベーション・マネジメント入門」(一橋大学イノベーション研究センター編、日本経済新聞社)に譲るが、要は、大企業では、これらのタイプのイノベーションやそれを先導する企業家が存在する土壌となることもできるので、多くの人がこのようなイノベーションの「ポジション」を理解して日々の活動を進めることが大切であると思う。
イノベーションを考えるときには、さまざまな道あるいはポジショニングがあることから、企業や集団の規模や形態が問題ではない。だからこそ、大企業であってもまだ進むべき道はあると思うし、中小企業やベンチャー企業でも、もちろん道はあると思う。そして、真のイノベーションこそ、企業や集団の成長にとって不可欠であり、それを受け入れ、活用していくことが大切なんだと思う。少なくとも今、私はそう信じている。