「ポスト京都に関する日本提案」のニュースを比べて

温室ガス削減「基準年」を複数設定、日本が新提案へ」という記事によると、
 京都議定書に続く2013年以降の温室効果ガス削減の仕組みを巡る日本政府の新提案の全容が26日判明した。

 温室効果ガスの削減率を計算するための「基準年」を複数設定し、省エネが進んでいる日本に不利と言われる従来の仕組みを改めるよう求める。さらに、経済発展した韓国などを先進国に含めて新たに義務を課し、主な途上国にはエネルギーを効率的に利用する数値目標を設けることも盛り込んだ。

 13年以降の仕組みは、今年12月にポーランドで開かれる国連の気候変動枠組み条約締約国会議(COP14)で論点整理し、議論を本格化させ、来年12月にデンマークで開催されるCOP15での決着を目指している。

 最大の焦点である基準年は、各国の不公平感を解消するため、複数の基準年を設定するように求める。京都議定書は90年を基準に削減率を算出しており、この場合、日本の2005年の排出量は7・7%増える計算だが、仮に95年を基準にすれば1・1%増、2000年基準では0・8%増にとどまる。一方、欧州は90年基準では11・0%減るが、95年基準だと1・4%減、2000年基準だと逆に1・5%増えてしまうため、協議は難航が予想される。

 また、京都議定書では「途上国」に区分されている韓国やメキシコなどの経済発展を遂げた国は先進国に含め、削減義務を負ってもらう。中国やインドなど主要途上国にもエネルギー利用効率の改善などの義務を課すことを求める。
(2008年9月27日03時05分 読売新聞)
主要途上国もともかく、「欧州は90年基準では11・0%減るが、95年基準だと1・4%減、2000年基準だと逆に1・5%増えてしまう」というところはかなり問題かもしれないが、日本としては、複数年を基準年としてでも、最近の年に基準年を変更したいところだろう。

地球温暖化対策:ポスト京都議定書を提案 途上国にも効率目標--日本案判明」という記事によると、
 12月に開かれる国連気候変動枠組み条約の第14回締約国会議(COP14)に向けて日本政府が提出する13年以降(ポスト京都議定書)の地球温暖化対策の枠組み案の全容が26日、明らかになった。京都議定書の枠組みは延長せずに、新たな議定書の採択を提案する。中国などの主要途上国に対しては温室効果ガス排出の総量目標の設定は求めないが、エネルギー効率について「拘束力のある目標」の設定を求め、一定の義務を負わせる内容となっている。

 日本や欧州連合(EU)が排出削減義務を負う京都議定書の第1約束期間は08~12年で、13年以降の枠組みは、来年末の合意を目指し交渉が進んでいる。

 京都議定書をめぐっては、最も二酸化炭素(CO2)排出量の多い米国が、中国などの途上国が削減義務を負わないことなどを不満とし、枠組みから離脱。日本は新たな枠組みに米国や中国の参加を促すため、新たな議定書の採択を求めることにした。

 新たな枠組みは、京都議定書と同様に先進国に国別総量目標の設定と達成を義務づける。

 一方、中国やインドなどの主要途上国については、1トン当たりの鉄を作るのに必要なエネルギー量などエネルギー効率の改善目標の設定を求める。目標には拘束力を持たせることで、達成を事実上義務化している。

 また、先進国の国別総量目標の設定に当たっては、各国の排出総量を決めたうえで、複数の基準年との比較で削減率を示す。京都議定書では90年比の削減率を目標としていたが、新枠組みでは最新のデータがある年と90年など複数の基準年を定める。

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 ◆日本提案の骨子◆

・次期枠組みは新たな議定書、もしくは改正議定書を採択

・先進国は国別総量目標を設定し、達成を義務づける

目標は最新の年を含む複数の年からの削減率と排出総量で示す

・主要途上国は主要分野や経済全体の効率目標を拘束力のある目標として設定

・その他の国は国家行動計画を提出

毎日新聞 2008年9月27日 東京朝刊
とのこと。複数年の基準年を提案したというのは、いいかもしれないが、果たして話がまとまるか?交渉を担う人の手腕に期待したい。

中印など新興国に義務設定 「ポスト京都議定書」日本案」という記事によると、
「ポスト京都に関する日本提案」のニュースを比べて_a0004752_17465589.jpg 日本政府がまとめた2013年以降の地球温暖化対策の次期枠組み(ポスト京都議定書)案が26日分かった。温室効果ガスの排出が急増している中国やインドなど新興国を「主要途上国」として他の途上国と別扱いとし、省エネに向けた取り組みについて「国別」と「主要産業別」の効率目標の達成を義務づける。

 今年12月にポーランドで開かれる国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP14)に向け、近く国連に提出する。枠組み交渉で最大の焦点となる新興国の義務について、日本政府が具体案に踏み込むのは初めて。中印など新興国の強い反発も予想される。

 日本案の最大の特徴は、現行議定書で「先進国」と「途上国」の二つだったグループ分けに、「主要途上国」を新設することだ。これまで先進国は国別総量目標の達成義務を負うが、世界最大の排出国になったとみられる中国、同5位のインドは「途上国」扱いで、制度上は排出増に歯止めがかけられなかった。

 日本案では主要途上国に国全体の省エネ度合いについての効率目標に加え、鉄鋼やセメント、アルミ、電力などの主要産業にも効率目標を設け、達成を義務づける。経済成長を縛りかねない総量目標までは求めないが、省エネを促す効率目標で排出の抑制を狙う。鉄鋼なら粗鋼1トンを生産するためのガス排出量、国別では国内総生産(GDP)に対するガス排出量などが想定されている。

 「主要途上国」の基準は今後詰める。1人当たりGDPなどの基準を決め、条件を満たせば上位に移る「卒業」の仕組みも定める。その他の途上国には行動計画を作成し、定期的に点検する仕組みを設けるにとどめる。

 また、基準年(現行90年)については、最新データがそろう06年か07年を念頭に「最新年を含む複数年」とする。(村山祐介、稲田信司)
とのこと。「主要途上国」を新設することで、国別ではなく、その国内の主な産業をセクター別アプローチを用いて目標設定させるというところが面白い。これは、贔屓目に見ずとも、なかなかよくできているような気がするのだが気のせいか?!

しかし、こう比べてみると、朝日新聞の記事が一番分かりやすいような気がするのだが、気のせいだろうか?以前、低炭素社会づくり行動計画を閣議決定したときも、報道は、朝日新聞のものが一般的には群を抜いて分かりやすかった。

ガンバレー!(決して朝日新聞の回し者ではありません)
by yoshinoriueda | 2008-09-27 17:54 | エネルギー・環境 | Trackback | Comments(0)

清涼剤はSilicon Valleyの抜けるような青い空。そして・・・


by yoshinoriueda
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