石原裕次郎主演の映画「黒部の太陽」を見た

石原裕次郎主演の映画「黒部の太陽」を見た_a0004752_10584236.jpg映画「黒部の太陽」は、石原裕次郎自身の「こういった作品は映画館の大迫力の画面・音声で見て欲しい」という意向を受け、上映される機会が限られているため、見る機会はあまりないものなのだが、つい先日、映画を見る機会に恵まれた。

この映画は、木本正次氏の原作「黒部の太陽」をもとに映画化されたもので、戦後の高度経済成長により逼迫する電力需給を支えるため、関西電力が行なった黒部第4ダム建設を描いたもの。

小説によると、当時、資本金135億円程だった関西電力が、総予算380億円程(実際は約513億円)かけて挑む大工事だったとのこと。実際、1956年から1963年まで7年の歳月を要し、殉職者も171人にのぼったとのこと。(@wiki「黒部ダム」

石原裕次郎主演の映画「黒部の太陽」を見た_a0004752_1181495.jpgさて、肝心の映画のほうだが、会話や描写が少なく、ストーリー展開が強引に思えるところもあり、ある程度の知識がなければ深く理解することは難しいと思えるところ多々あったが、登場人物の生きざまが交錯する様子が描かれており、面白さは十分味わえた。

当時圧巻だっただろうなぁと感じたのは、やはり、大量の水がトンネル内を流れてくるところ。このシーンを見れば、「映画館の大迫力の画面・音声で見て欲しい」といった石原裕次郎の言葉も理解できる。

石原裕次郎主演の映画「黒部の太陽」を見た_a0004752_1183291.jpg残念ながら、中村獅童、神田正輝らによる梅田芸術劇場での舞台は見にいけなかったが、舞台の上で繰りひろげられたであろう水が一気に流れてくるシーンは、圧巻だったと思う。

(注:この先、若干ネタバレあり)

笑えたのは、トンネルが貫通した直後、樽に入った日本酒を分け与えるシーン。最初は杓で掬っていたが、そのうち、杓が何本かまとめた状態で掬われるようになり、さらには、工事のヘルメットで酒を掬って、みんなで後ろへ後ろへ回していくようになった(^^;; 急いで回したいという気持ちは分かるのだが、なかなか笑えた。

なお、黒部水系の発電容量は、最近の原子力発電所1基にも満たないほど小さい。水力という自然エネルギーは、莫大な工事費用と期間、人を投入しても、今であれば、それほどまでに小さい。しかも小水力発電となれば、今度は、水利権などの利権が絡んできて、開発は難航することが予想される。実際、山の世界では、水に関する権利に関してはかなり面倒だ。

石原裕次郎主演の映画「黒部の太陽」を見た_a0004752_10375456.jpgちなみに、数年前、当時の関西電力社長であった太田垣士郎氏のお孫さんに話を伺う機会があったが、何を言われていたのか今となっては正確には思い出せないものの、おじいさんである太田垣士郎氏に多大なる影響を受けたという話を聞いた。

阪神急行電鉄(現:阪急阪神ホールディングス)の創始者である小林一三の下にいた太田垣氏が、電力の鬼・松永安左ヱ衛門に見込まれ、関西電力の社長になったという経緯があるにせよ、何か強い信念を持つ人だったのかもしれない。

来る2009.3.20-21にフジ開局50周年記念ドラマとして放送されるとのこと。東京新聞による報道を読むと、さらに見てみたくなった。テレビ版も楽しみにしたい。


フジテレビ開局50周年記念番組『黒部の太陽』@こちらフジテレビ
・「黒部の太陽」@フジテレビ
石原裕次郎主演の映画「黒部の太陽」を見た_a0004752_10313728.jpg

フジ開局50周年『黒部の太陽』 世紀の難工事リアルに@東京新聞
 フジテレビの開局五十周年記念ドラマ「黒部の太陽」が、三月下旬に二夜連続で放送される。故・石原裕次郎さんの映画でも有名な「黒四発電所」建設に挑んだ男たちを描く作品で、見どころの一つは最大の難工事だったトンネル掘削シーン。噴き出す地下水に阻まれながらも主人公たちが命を懸けて掘ったトンネルが東京都調布市の映画スタジオに再現された。 (宮崎美紀子)

 「黒部の太陽」は、香取慎吾演じる倉松仁志(熊谷組倉松班班長)を主人公に、ダム建設現場に資材を運ぶため、北アルプスの山中にトンネルを貫通させた男たちの苦労と葛藤(かっとう)を描く。

 トンネルは、調布市の日活撮影所にあった。奥行き約二十七メートル、幅六メートル、高さ五メートルのトンネルが、倉庫のようなスタジオの中に丸ごと納まっていた。

 狭い入り口からトンネルの中に足を踏み入れると、触ったら手が汚れそうなほどリアルにつくられた支保工(掘り終えた部分を支える柱)が等間隔に並ぶ空間が、薄暗い明かりに照らし出されていた。

 トンネルの入り口の方向にあたるセットの端に設置されていたのは、鉄製の巨大なやぐら状の「ジャンボ」。ジャンボの上段、中段、下段には機関銃のような削岩機が備え付けられている。地面にはレールが敷いてあり、主人公の倉松らを乗せたジャンボがゆっくりと前進する。

 物語では倉松らは世界記録に匹敵する速度で掘り進んでいくが、やがて破砕帯という軟らかい岩盤にぶち当たり、冷たい地下水が滝のように流れ出す。

 昔の映画と違い、今はCGが使えるのでセットの中で洪水を起こすことはないが、スタッフがトンネルの上から、または地面にホースで水をかけるため、足元はぬかるみ、水蒸気とほこりが立ち込める。撮影スタッフも雨がっぱとヘルメット姿。一見、誰が俳優で誰がスタッフなのかわからない。

 セットを手掛けた、この道五十年の美術デザイナー根本研二さんは「われわれもトンネルをつくるのは初めて。これからもないでしょう。映画はビデオ化されていないので見られないけど、そりゃ負けたくない。関西電力の人が『トンネルの中に吸い込まれるようだ』と言ってくれた時に、これは成功だと思いました」と話す。

 日活のスタジオは地面がコンクリートではなく、土になっている。まずブルドーザーでスタジオの床を掘って撮影で使う水を流すためのプールをつくり、鉄板などでふたをした上にトンネルが乗っかっている。トンネルの幅と高さはほぼ実寸大。長さは、支保工の幅などを工夫して、視覚効果で長く見えるようにつくられている。

 撮影には笹島建設や熊谷組からトンネル工事の経験者が交代で二人ずつエキストラ兼技術指導で参加。台本やセットではカバーできないリアリティーを担ってもらっている。

 香取はこう話していた。

 「セットに入った瞬間、今後のスケジュールすべてが頭の中をよぎり、頑張ろうと思った。ワンショットごとに水にぬらされ、その水を滴らせる。本当に芝居ではなく“工事”なんですよ」



参考記事:「高熱隧道
by yoshinoriueda | 2009-02-14 11:28 | POP・movie・スポーツ | Trackback | Comments(0)

清涼剤はSilicon Valleyの抜けるような青い空。そして・・・


by yoshinoriueda
カレンダー
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31