排出権価格が低水準で推移しているが...

フジ産経ビジネスの2009.2.21の記事「買い時? CO2排出枠1000円割れ寸前」によると、
排出権価格が低水準で推移しているが..._a0004752_22183689.jpg地球温暖化対策の一環として国際的に取引されている二酸化炭素(CO2)の排出枠価格が下げ止まらない。国際協力銀行(JBIC)などが公表している国内取引の1t当たりの排出枠価格は、昨年7月に4,000円を視野に入れるピ-クに達した後から下がり続け、今週は1,000円割れ寸前にまで低下。排出枠取引の本場、欧州での取引価格はさらに低迷し、関係者の間では「底がみえない」との悲観的見方とともに、温暖化対策の必要性を踏まえ「絶好の買い時」との見方も出ている。

国内の気配値がピ-クをつけたのは、原油価格が1バレル=147ドルに達した昨年7月。JBICなどが毎週月曜日に発表している取引価格の参考気配値は7月14日に3821円をつけた。原油価格の高騰が比較的値段の安い石炭火力発電所の稼働率を高め、CO2排出量の大幅増につながるとみられたからだ。

その後、気配値は原油価格の急落を受けて下がり始めたが、9月のリ-マンショックを機に急降下。12月には「悪材料の出尽くし感」(関係者)から下げ止まったが、今年に入ってから再び低下傾向となり、2月16日の気配値は1,015円となった。

内外の関係者の間では「実体経済の悪化で工場からのCO2排出量が減り、排出枠の需要も減る」「投資目的で購入した投資家が資金難で売りに転じた」「ウクライナが余った排出枠を売却するとのうわさだ」など売り材料となる話が飛び交った。

排出枠は本来、中国など途上国で行われるクリ-ン開発メカニズム(CDM)事業などによって創出される。CDM事業にはコストがかかるため、本来はコスト分を下回るような取引価格にはならないはずだが、このところは「下回っている」(関係者)という。JBICの本郷尚・環境ビジネス支援室長は「内外の関係者ともこの相場は異常という認識で一致している。排出枠の価格の安値が続けばCDM事業に投資しようとする企業もいなくなり、温暖化対策が進まなくなる」として、安値の問題点を指摘している。


【用語解説】排出枠価格

欧州では市場で取引され、株式同様に取引価格が公表されているが、日本には本格的な取引市場がないため、取引は当事者同士の相対で行われている。国際協力銀行(JBIC)などは2008年4月から、証券会社など8社からヒアリングし、国内の排出枠価格の気配値を発表している。
とのこと。JOI-海外投融資情報財団-排出権取引プラットフォームによると、以下のような感じになっている。
排出権価格が低水準で推移しているが..._a0004752_2218031.jpg

これに関連して、2009.2.23の日経の記事「排出量価格、世界で急落 半年で3分の1 景気後退の影」によると、
 温暖化ガス排出量取引の市場価格が世界で急落している。最大マーケットの欧州や米国で、昨年夏のピークから半年強でほぼ3分の1に下落。世界的な景気後退を受けて減産を進める企業の排出量が減り「余剰分」となった排出量の売却が増えたためだ。排出量は中長期的に拡大するとみられるが、足元の市況悪化で取引を縮小する市場参加者もあり、温暖化ガス削減策の主要な柱である排出量取引市場の整備が停滞する可能性もある。

 ロンドンにある世界最大の欧州気候取引所(ECX)では、欧州の排出量取引制度(ETS)に基づく先物価格が一時1トン=10ユーロ(約1190円)の大台を割り込み、その後も同10ユーロ前後で推移している。昨年7月の高値(同約30ユーロ)の約3分の1の水準で、京都議定書の削減目標期間に入った2008年以降では最安値圏だ。
とのこと。「京都クレジットの価格はこのまま低迷を続けるのでしょうか――アンケート結果を踏まえて」という解説記事では、
中期的には参考気配は上昇すると見込む人が多いようです。
と書かれているが、果たしてどうなることやら。

ちなみに、値段が乱高下しているということは、投機筋はガッポリ儲けているかも?!
by yoshinoriueda | 2009-02-23 22:25 | エネルギー・環境 | Trackback | Comments(0)

清涼剤はSilicon Valleyの抜けるような青い空。そして・・・


by yoshinoriueda
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