記事クリップ:「金融危機、エコ支援足踏み、CO2削減ファンド、契約伸びず」

日経産業新聞の2009/3/17の「金融危機、エコ支援足踏み、CO2削減ファンド、契約伸びず」という記事によると、
 大阪ガスなどが運営する二酸化炭素(CO2)削減支援ファンド事業が伸び悩んでいる。本格的に活動を始めた2008年1月から1年間の契約実績は122件で売上高は30億円。3年で150億円という目標ペースに届いていない。景気悪化でファンドに資金を融資する金融機関の貸し出し姿勢が厳しくなったのが主因。当面、事業環境の好転は見込めず、低空飛行を強いられそうだ。

 全国に約千百店を展開する牛丼チェーン最大手の吉野家は08年度、ガス発電機を使うコージェネレーション(熱電併給)システムの導入店を1店舗から一気に88店舗に増やした。

 同社によると電力会社からの電気購入量が減り、光熱費は一店舗平均で年間17万円(7%)、CO2排出量も同十トン(15%)減った。「初期投資なしで光熱費を減らせるのだからいいことずくめ」と大前雅英・人事総務本部長は話す。

 「初期投資なし」が可能になるのは、特別目的会社(SPC)による代行スキームを利用しているからだ。SPCの「エナジーバンク」が吉野家に代わって省エネを実行する。

 SPCは会計事務所の日本スマートエナジー(東京・港)が日本政策投資銀行と出資してつくった。SPCが省エネ設備を保有し、顧客企業の事業所内に無料で設置する。SPCは、顧客が購入したガスを電気と熱に変えて供給し、対価をもらう仕組みだ。実際の実務は大ガスが請け負う。

 中小企業の関心は高く、活動開始から7カ月で80件、約28億円の実績を上げた。年間では50億円に届きそうなハイペースだったが、昨年秋以降、急ブレーキがかかった。理由は世界的な信用収縮のあおりで銀行などからの資金調達が難航しているためだ。

 SPCは政投銀と民間金融機関から融資を受ける。中小企業の経営状態は健全かどうかを、金融機関が今秋以降、厳しく審査するようになった。エナジーバンクの関係者も「中小企業から申請があっても、審査で拒否される比率が跳ね上がった」と打ち明ける。景気悪化で銀行の財務内容も悪化しており、銀行の貸し出し姿勢が軟化することは当面考えにくい。

 もう一つ予想外だったのは「多くの企業の狙いがCO2削減よりも、省エネによるコスト削減にあった」(大ガスエネルギー事業部エネルギーファイナンスグループの境内一仁課長)ことだ。

 当初は日本スマートエナジーがCO2排出削減の認証サービスをしたり、CO2削減分を排出枠として外部企業に売買したりするシナリオを描いていた。だが、認証サービスはいまだに利用実績がゼロだ。

 政府の排出量取引の試行実験が始まったが、中小企業の多くはCO2排出削減の自主行動計画を作っておらず、参加していない。CO2削減の実績を排出量取引に生かし、大企業に売ろうとする動きはほとんどないのが実態だ。

 それでも関係者の多くは「真価を発揮できていない現状でもこれだけ需要があることがわかった」(大ガスの境内氏)と、この1年の取り組みを前向きにとらえる。

 当面は採算がよい大企業案件を増やすほか、省エネ支援を通じて企業の競争力を高めるモデルとして実績を地道に積み上げるしか方策はなさそうだ。
とのこと。やはり地球温暖化問題への対応は、足元の不況への対応には勝てないということか。「多くの企業の狙いがCO2削減よりも、省エネによるコスト削減にあった」というが、これは当たり前のような気もする。

認証を希望する中小企業が少ないというのは肯ける。認証の手間やコストを考えると、省エネでメリットがあれば、それで十分なのだろう。あるいは、認証なんてされてしまったら最後、イロイロややこしいことが出てくるからだろうか。

いずれにせよ、国内排出量取引の試行実施の行く末は、まだ見えない、といったところか。
by yoshinoriueda | 2009-03-17 12:48 | エネルギー・環境 | Trackback | Comments(0)

清涼剤はSilicon Valleyの抜けるような青い空。そして・・・


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