日本の森林を買占め、焼き払い、排出権の価格を吊り上げようって...?!
2010年 01月 19日
買収の対象になる理由として、記事では、「森林吸収源」としての役割に注目した投機がなされているのではないかという推測がなされていた。「京都議定書目標達成計画(pdf)」では、1300万トン-CO2、すなわち1990年比6%のうちの3.8%をこの森林吸収源が占めることになっている。この3.8%はおそらく国有林によるものだけではないだろう。日本の森林の約7割を占める民有林を含めて初めて達成できる数字だろう。
FCCC/CMP/2005/8/Add.3 p.64 para.72-78で示されているように、2008年の吸収量は、国が提出するインベントリーによって今年の4月15日までに算定され、RMU(Removal Unit)が発行される。国がインベントリー上で一括して申請してRUMが発行されることになるのだろうか。私有林のRMUの所有権はどうなるのだろう?もし森林の持ち主に帰属するなら、そのRMUを売れるということになるのだろうか?森林を買収している外資はそれを狙っているのだろうか?
ちなみに、そもそも、どこが私有林のバウンダリになっているのか。先の記事によれば、豊臣秀吉の時代の太閤検地以来、測量(?)がなされていない土地もあるとか...【゚Д゚】そんな状態で国が一括して得たRMUをどうやって分けることができるのか?
国土交通省と農林水産庁は何をやっているんだろう?ちゃんと手を打っているのかな?まさか怠慢?!いや単なる見過ごし?まあ、民主党がこんなところまでカバーできるとは思えないけど、優秀な官僚はきっと手を打っているだろう。(え、期待しすぎ?)
もっと穿った見方をすれば、排出権の値段を上げたい外資が森林を買収して、京都議定書第一約束期間の後半2011年とか2012年にその森林を焼き払い、吸収源とはみなされないようにして、日本の目標「6%」を最後の最後に守れない危機に陥れ、排出権の価格を上げてやろう...とかとか(考えすぎかな...)
参考:
・日本の森林が炭素吸収源ではなく排出源になる日?!(グロス・ネットとネット・ネットの話)
・【狙われる日本の水】(上)見えない敵から守れ 新たなビジネス @産経ニュース
・RMUのUNFCCC上の定義: FCCC/CMP/2005/8/Add.1 p.7 1(d)
・RMUの上限:日本は1300万トン-CO2 FCCC/CMP/2005/8/Add.3 p.9
・京都議定書における吸収源情報データベース(吸収源CDM関連)
ねこさんによるご紹介
森林による炭素吸収量をどのように捉えるか
~京都議定書報告に必要な森林吸収量の算定・報告体制の開発~