読書録:『信じ切る力』(栗山英樹)

『信じ切る力』(栗山英樹)読了。

副題に「生き方で運をコントロールする50の心がけ」とあるように、「運さえコントロールできるほどの努力をすればいい」、そのためにはどのような心がけで何をやっていけばいいのか、一流の選手たちはどのようなものだったのかということを余すところなく伝えている。

もともと、野球はそれほど興味も関心もないけれど、一流のプレイヤーがどのようなことを考えて、どのようなことを実践しているのか、また、監督としてどのような心構えでそういう選手たちを起用し、結果を残していくのか、そういう視点で読んでみて、とても共感できるところがいくつも見受けられた。

1.想定しない未来に対する考え方

「想定しない未来があることを、僕は徹底的に信じている」(p.70)

こんな表現で、データに頼らず、自分で見て感じたことをベースに判断していくということが示されている。これは、イノベーションの世界を見続けていても同じ。想定しない未来があることを信じているからこそ、そこに対して取り組むことに敬意を表し、一緒に進みたいと思う。

前例がないからダメだとか無理だとか、必ず成功すると分かっているものにしか取り組まないとか、そういう考え方は受け入れ難い。失敗するかもしれないけれど、それは結果論であり、定義自体で成功にも失敗にもなりえるということ、また、人生で起こりえることはすべて何か意味があって、将来の糧になる可能性があること、そういった考えで生きているから、この言葉にはとても共感する。

ちなみに本書の中では渋沢栄一の言葉として「成功や失敗は頑張った後の残りカスのようなもの」(p.236)というものが紹介されている。まさに、成功や失敗は結果論でしかない。

2.自ら決めることの大切さ

「人は、自分で決めたことでなければ、やり切れない」(p.31)

自分で調べ、自分で考え、自分で決める。当たり前だど、なかなかできないものでもある。「自分の中での根拠さえあれば、頑張れる」(p.230)という表現もあったが、自分で決めたことであるからこそ、できる限りのことをやることができる。

そのため、やり切った後には、実力もつくし、運も味方してくれる。

自分で決めたことだけは絶対にやるということで、なりたい自分になる。やり尽くすことが大切。

3.時を忘れて取り組むことの大切さ

「大事な期間は時間なんて忘れて必死に働くから、一流になれる」(p.40)

働き方改革ということで、残業時間が厳しく制限されるようになっているが、没頭して仕事に取り組むことができる期間というのは、人生の中でもそれほど長い期間ではない。だから、時を忘れて取り組むということはとても大切。

これは、子供の頃に時を忘れて遊ぶという経験をしたことがあればよく分かる。ある分野のある事項については徹底的に掘り下げて調べ、物知りになり、知らないことや分からないことが見えてくるからこそ、さらにその先に進んでいくことができる。そして、一流になっていくことができる。

追い込まれるからこそ気付けるし、そういう時期というのはとても大切。仕事は辛いものだとか、残業は悪だという価値観もあるが、他人の評価や外形的な基準だけに囚われず、没頭できる対象を探していくことができるということはとても幸せなのではないだろうか。

4.自分の成長こそが評価軸

「昨日の自分と今日の自分を比べればいい」(p.49)

他人と比べて、背が低いとか、かっこよくないとか、そういう比較は意味がない。今日は、昨日よりも何ができるようになったのか。その積み重ねが大切で、自分の成長こそが評価軸であるべきところ。

そうすると気持ちも楽になる。

もちろん、「これだけは他の人には負けない」という自信やプライドのようなものはあってもいいが、それを得るためには、努力が必要となるし、努力で変えることができるものに集中すべきでもある。

裏返せば、自分の力ではどうしようもないことを嘆き悲しんでも仕方がない。変えることができる変数に集中し、定数項は所与とみなして前に進めばよい。

***

「縁尋機妙」(えじんきみょう:いい縁がまたいい縁を尋ねて発展していく様はまことに妙なるものがある)という言葉や、「慎独」(しんどく:だれも見ていない一人のときでも身を慎む)という言葉などにも出会うことができ、なかなか面白い一冊だと思う。おすすめ!


読書録:『信じ切る力』(栗山英樹)_a0004752_16085645.jpg

by yoshinoriueda | 2024-05-12 16:46 | いろいろ読んで考える! | Trackback | Comments(0)

清涼剤はSilicon Valleyの抜けるような青い空。そして・・・


by yoshinoriueda
カレンダー
S M T W T F S
1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30